第30話


 俺はゴブリンとウルフへと視線を向ける。

 今もおいしそうに肉を食べていた。

 名前、か。

 

 名前をつけた後に死なれたら……本当に困る。

 それでも、もう二体もかなり強くなった。

 これから先のことを考えると、二体にはこれから仲間になる魔物たちの先輩としてふるまってほしいと思っていた。


 だから、名前をつける。

 ……といっても、いい名前は思いつかない。

 さて、まずはゴブリンからだな。


 一応メスだし、女っぽい名前のほうがいいだろう。

 それでいて、できればゴブリンと分かりやすい名前のほうがいい。

 ゴブ……ゴブ……ゴブリアとか?

 ゴブってつくとどうにも力強い感じがある。ただ、まあゴブリアでいいか。


「ゴブリン……ちょっとこっち来てくれないか?」

「ゴブ?」


 不思議そうな様子でこちらを見たゴブリン。

 ……俺は小さく息を吐く。

 少し、緊張をしていた。

 ……これからは、ゴブリンという目で見ることはできなくなる。


 もしかしたら、失うことになるかもしれない。

 ……それでも、俺はこのゴブリンとともに行動する。

 そう、今決めた。

  

「おまえに名前を与える。……今日からおまえは、ゴブリアだ」

「……」


 そういうとゴブリン――いや、ゴブリアは目を見開いた後、嬉しそうに口元を緩めた。

 そうして、俺の方に飛びついてきたのでひとまず受け止めた。


 ゴブリアを一度落ち着かせながら、ウルフを見る。

 ……ウルフがじっと羨ましそうにゴブリアを見ている。たぶん、嬉しそうなんだろう。

 ゴブリアの喜びようから、きっと魔物たちは名前を付けてもらうことが嬉しいんだと思う。


 俺の思い込みでなければいいんだがな。


「ウルフもこっちにきてくれ」

「……がるる」


 期待するようにこちらを見るウルフ。

 ウルフにも同じく名前を付けるつもりだ。

 ウルフを少しもじって……ルフナ。それでいいだろうな。ウルフもメスだから、女の子っぽい名前を意識した。


「ウルフ、おまえは……ルフナだ。わかったな?」


 そういうと、ウルフ――ルフナはじっとこちらを見てから、俺の前にやってきてぺこりと頭を下げた。

 そんなウルフの頭をなでると、嬉しそうに目を細めてくれている。

 ……よし、これで二体の名づけは終わりだ。


 少し緊張していた俺はそれから二体のステータスを確認する。



 ゴブリア(ゴブリン)

 主:クレスト

 

 力152

 耐久力120

 器用30

 俊敏100

 魔力13

 賢さ35


 ルフナ(ウルフ)

 主:クレスト

 

 力120

 耐久力85

 器用65

 俊敏160

 魔力20

 賢さ80


 ……きちんとステータスの名前にも反映されている。

 それに、名前をあげた瞬間にステータスが跳ね上がった。


 ……どういうことなんだろうか?

 というのも、ここ最近は一緒にポイント稼ぎをしていたのだが、どうにも二体のステータスの伸びが悪いのだ。


 何か原因があるのかもしれないが、理由は分からない。

 もしかしたら種族的なステータスの限界みたいなものがあるのかもしれない。


 そのうち、魔物進化術も使えるようになるのだろうか?

 今はまだ使えないようだが、これは今後に期待だな。

 二体としばらくじゃれあったあと、俺はたまっていたポイントを確認する。


 ストーンロック、ウッドヒュードを倒してポイントは5000溜まっている。

 ……ガチャを回して、俺自身の強化も行わないとな。


 俺はたまっていたポイントを消費し、俺はガチャを回した。

 宝箱は金色に輝いている。

 ……まあ、無難だな。銅色4つ、銀色3つ、金色3、虹色1つか。


 さっそく銅色から確認する。


 力強化 レベル1

 俊敏強化 レベル1

 魔力強化 レベル1

 魔力強化 レベル1


 これはいつもの通りほとんどスルーだ。

 次に、銀色を見る。


 剣術 レベル1

 地図化術 レベル1

 回復術 レベル1


 ん!? ここ最近運が悪かったので、流しそうになったが、回復術という見慣れないものが出てきた。

 というか、銀枠のガチャは普通に当たりのものばかりだった。

 早速、鑑定で回復術を調べてみた。


 回復術

 体力、魔力、傷などあらゆるものの自然回復が早くなる。


 ……なるほどな。思わず注目したくなるような派手な効果はないのかもしれないが、持っていれば便利なスキルであることは間違いないな。

 基本的に新しいスキルが出れば当たりだと思っている。

 ただし、槍術のように使っていない武器術が出た場合はその限りではない。


 俺は次の金枠を見ていく。


 土魔法 レベル1

 火魔法 レベル1

 風魔法 レベル1


 うん、無難に嬉しいスキルたちだな。

 最後は、虹色だ。

 召喚士ガチャに関してはすでにどれも基本的な部分は手に入っているからな。ここまでくるとそこまでの期待感はない。

 

 召喚士 レベル1


 まあ、スキルレベルが上がってくれるから嬉しくはあるな。

 今のところ順調にスキルは集まっている。

 一つに偏るようなことがないのはラッキーだ。


 レベルマックスまであげようとすると、また被りが出てきてしまうかもしれないからな。

 今月もできるのなら、レベルマックスを狙っていきたい。


 俺はスキルレベルをあげていき、ステータス、スキルを確認する。

 ……今日でほぼ一ヵ月が経ったが、その時とは見違えるほどに成長していた。

 ステータスはもちろんだが、今は二体の仲間もできた。


「ゴブリア、ルフナ。今日から新しく仲間の魔物を増やそうと思っている。手伝ってくれるか?」

「ゴブ!」

「がるるっ!」


 ゴブリアとルフナが俺の後ろについてきた。

 それを見てわずかに嬉しく思いながら、俺は森へと歩き出した。


 ……その時だった。

 がさっと、何かが動いた。視線を向けると、そちらには人がいた。


「よぉ、クレスト。ようやく見つけたぜ」


 にやにや、と不気味な笑みを浮かべる俺の兄である次男――アリブレットがそこにいた。



 クレスト


 力156(+7)

 耐久力137(+5)

 器用117(+4)

 俊敏142(+5)

 魔力187(+9)


 力強化 レベル5(あと3つでレベルアップ)

 耐久力強化 レベル4

 器用強化 レベル4(あと3つでレベルアップ)

 俊敏強化 レベル4(あと2つでレベルアップ)

 魔力強化 レベル5


 剣術 レベル3(あと1つでレベルアップ)

 短剣術 レベル2(あと1つでレベルアップ)

 槍術 レベル2

 採掘術 レベル2

 釣り術 レベル2

 開墾術 レベル2

 格闘術 レベル2

 鍛冶術 レベル2

 料理術 レベル2

 仕立て術 レベル2

 飼育術 レベル1

 地図化術 レベル2(あと1つでレベルアップ)

 採取術 レベル1

 感知術 レベル2

 建築術 レベル1

 魔物進化術 レベル1 回復術 レベル1


 土魔法 レベル4

 火魔法 レベル4(あと3つでレベルアップ)

 水魔法 レベル3(あと2つでレベルアップ)

 風魔法 レベル3(あと2つでレベルアップ)

 光魔法 レベル2

 付与魔法 レベル2


 鑑定 レベル3(MAX)

 栽培 レベル3(MAX)

 薬師 レベル3(MAX)

 召喚士 レベル2

 魔物指南 レベル2

 魔物使役 レベル2


 余りスキル

 薬師 レベル1

 鑑定 レベル1


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