第29話
ストーンロック、ウッドヒュードを倒しながら、そのエリアを探索していく。
そうして、しばらく歩いていた時だった。
……あった。
俺の鑑定があるものを見つけた。
それはストーンロックよりもさらに進んだところだった。
小麦
鑑定によって小麦を発見する。
小麦が並ぶ場所を発見したのだ。
俺も小麦は数えるほどしか見たことがなかったが、記憶にある小麦よりもずいぶんと大きい。
……ただ、小麦はこのままでは食べられないな。
脱穀、製粉とやるべき過程が色々ある。
……小麦を見つけたことは嬉しいが、アレは滅茶苦茶大変だからな。
脱穀は手作業、製粉も同じくだ。
生活のためには仕方ないと思うが、かといってあまりそれに時間をかけていてもな……。
色々調べながら、俺は料理術をまずは見た。
料理術にも、素材を用意すれば料理を短縮して作るというスキルがあるからな。
それで小麦の脱穀、製粉などすべて自動でやれるようだ。
ただ、以前肉を食べたときにも分かったが、自力でやったほうがよりおいしいものが出来上がる。
……一度、食べ比べたいため、やってみたほうがいいだろう。
ゴブリンに脱穀などを任せてしまうのも一つの策だが……他に何かないだろうか。
脱穀、製粉を楽にするためのものがないか……それを調べていると、鍛冶術に面白いものがあった。
脱穀機と呼ばれるものがあった。製粉に関しても石臼などがある。
……ひとまず、すぐに作れるのはこの足ふみ脱穀機というものだ。
木材とアイアン魔鉱石を用意すればできるようだ。……石臼も石を用意すれば作れるな。これは、川の近くにあった石を探せばできそうだ。
……とりあえず、小麦の種を回収し、俺たちは魔物狩りを続けていった。
魔物を狩った俺たちは、その日かえってすぐに小麦を植える。
栽培スキルのおかげで、植え方などは分かる。
三日か。三日後まではのんびりと生活しようか。
〇
小麦が回収できるようになった。
早速小麦を回収し、また耕して土を復活させてから、小麦を植えていく。
さて、ここからが本番だ。
小麦を使って、脱穀、製粉を行っていくことにした。
この辺りは……料理術のおかげで知識が浮かんでくる。
脱穀、製粉に関しては脱穀機、石臼を使えば問題なくできた。
多少脱穀機に関しては色々な種類があるのでどれがいいのか迷ったが、結局この足ふみ脱穀機が現在ある素材の中だと一番良かった。
そうして粉にまでした小麦を……ひとまずはパンにしようと考えた。
他にも色々とあるが、俺はパンが食べたかった。料理術を駆使してパンを作っていく。
……パンを作るためにはイースト菌というものが必要なんだそうだ。
だから、それも事前に用意してある。それが必要だと分かった段階で、お湯とともに果物をつけておいた。
俺もどうやるのか分からなかったが、料理術のおかげで失敗することなくできた。
グレープンのエキスと組み合わせ、パンを作製。その後、しばらく寝かせておくと、生地がふっくらと膨らんだ。
あとはこれを焼けばいい。
パンを焼くための石窯も造り、俺はパンを焼いていった。
特に形などにはこだわらず、パンを焼いていく。
窯でパンを焼いたことなんてないが、料理術のおかげか俺は一流のパン焼き職人のようにパンを焼くことができた。
パンがしっかりと焼けたところで、取り出す。
おお、うまそうにこんがり焼けているな。
パンを取り出した俺は、それを半分にちぎる。ふっくらと中まで焼けている。
「ゴブ!」
「がるるっ!」
ゴブリンとウルフも食べたそうにこちらを見てきた。
こいつらは本当に雑食だな。
二体に食べさせる分を用意し、それぞれに渡した。
それから口にパンを運んだ。
ほのかにグレープンの匂いが香る。グレープンのエキスを混ぜたからだろう。
これからも、新しい果物が手に入ったらそれと組み合わせて作るのもいいかもしれない。
とりあえず、パンは非常においしかった。
俺はそれに満足していたが、まだやるべきことがある。
次は料理術ですべての過程を省略して、パンを作る。
……そうすると、やはり味は数段落ちてしまう。
それでもまあ、うまい。うまいが……物足りない!
そう感じてしまう。
どこまで省略すれば味に大きな変化がでないか? 次の検証はそこに映る。
まず小麦のほうだ。脱穀、製粉などはすべて済ませる。
そして、グレープンのエキスを混ぜてパンをこねて、焼いてみる。
そして出来上がったものは……まあ、最初に食べたものとほとんど変わらないか?
それじゃあ、グレープンのエキスは料理術で……。そんなこんなで色々と試行錯誤したところ……まあ、三つ程度の過程なら飛ばしてしまってもそこまで味に変化がないことが分かってきた。
俺としては、脱穀、製粉に関しては時間も機材も必要なのでそれを省略したい。
あと一つは……その日の気分で良い気がしてきた。
グレープンからイースト菌を回収するには、時間がかかる。他のものもそうだが、三日程度だ。
ただ、エキスに関しては保存もある程度できるようだし、毎日念入りに何かをしなければならないわけでもない。
なので、この過程も料理術に任せる必要はなさそうだ。
まあ、俺的には脱穀、製粉は無視していいんじゃないか? という結論に至った。
……ああ、せっかくやる気出して機材を鍛冶術で作ったのにもったいない。
けどまあ、それが満足できる程度で一番のおいしいラインだった。
とりあえず新しくパンが作れるようになったので、俺は非常に満足していた。
……これからは他にも色々と作りたいものがある。
例えば、パン作りにもそうだが、牛乳が必要になる。牛乳は牛から回収できる。
だから、それを回収するためにブレイドカウを仲間にしたい。
あとは蜂蜜。蜂蜜なら蜂が詳しいだろう。ちょっと怖いが、ポイズンビーを仲間にしたい気持ちもある。
……仲間の魔物を増やし、それで色々と回収できるものも出てくるだろう。
サハギンあたりが仲間になれば、海の探索もできるようになるかもしれない。
とりあえず、明日からは仲間の魔物を増やすことも考えるか。
……新しく仲間ができるのなら――この二体にはそのしつけ役をお願いしたい気持ちもある。
……名前、そろそろつけようかな。
おいしそうにパンを食べている二体を見て、俺は小さく息を吐いた。
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