第27話


 今日俺が調べたかったことはミツベアーと戦えるかどうか……もう一つある。

 ウルフとゴブリンが魔物を倒した場合、ポイントがもらえるのかどうかだ。


 それを検証するために二体を鍛えたといっても過言ではない。

 俺はファングシープたちがいた地帯を調査していく。海側へと行くと、森が終わり岩肌、崖を見ることもできた。

 釣り竿でも使えばいい魚でも釣れるかもしれないな。


 この辺りは何もいないか?

 ウルフはどうやらあんまり潮の臭いが好きじゃないようで鼻をきゅっとしめている。

 そして、早く帰らない? といった目でこちらを見てくる。


 ……まあ、この辺りは魔物もいなそうだしな。

 しばらくそのあたりを歩いていく。

 魔物はいないが、色々と見慣れない植物もある。


 ただ、食べられるものはなさそうだった。景色を楽しむような感じでウルフ、ゴブリンと移動していく。

 ……もう少しウルフが大きければ、俺もゴブリンみたいにウルフに乗って旅できるようになるのだが。

 さらに北の辺りの地図を埋めていたときだった。


 感知術に魔物の反応があった。ウルフも臭いでわかった様だ。近くに魔物がいる。それは分かったが……どこか分からない。

 俺が周囲を見ていたときだった。

 ウルフがある方を見て唸った。


「……木に化けた魔物か」


 ウルフのおかげで気づいた。そいつは完璧な木となっていた。

 俺は鑑定を使って正体を暴くことができた。


 ウッドヒュードという魔物だ。

 よくよく見ると、葉などが少し変なので分からないでもないが……この辺りの捜索をするときは気をつけないとだな。


「……ウルフ、ゴブリン戦ってみてもらえるか?」

「ゴブ!」

「がるる」


 二体が納得してくれたようで、ウッドヒュードへと接近する。

 ゴブリンがハンマーを叩きつけると、めきめきとウッドヒュードの木にヒビが入った。

 ウルフが噛みつくが、しかし中々ウッドヒュードは頑丈なようだ。

 

 腕のような幹をしならせてゴブリンを殴り飛ばした。

 ゴブリン、ウルフよりもステータスは高い魔物のようだ。しかし、ゴブリンは腰に下げているポーチからポーションを取り出して飲む。

 ウルフも体にポーチを付け、一つだけならポーションが飲めるような位置に設置してある。


 ある程度長期戦になるだろう。俺はガチャ画面を開き、ポイントが入るかどうかを見守っていた。

 ……頼むから、二体に倒してほしい。俺が手を貸してしまうと、ポイントが入る条件が断定できなくなるからな。

 ゴブリン、ウルフの戦いはそれから5分ほど続いたが……何とか倒してくれた。


 倒れたウッドヒュードの身体をゴブリンが踏みつけて、ハンマーを掲げている。ウルフは俺のほうにやってきてお座りをしたので、顎の下を撫でてやる。


 ……そしてポイントは、増えた。

 200ポイントだった。ポイントはもうちょっと多くても良いと思ったが、とりあえずこれで一つ検証できたな。

 俺が仲間にした魔物がまだポイントを獲得できる魔物を倒した場合、ちゃんと入るようだ。

 これなら、新規の魔物を俺が一人で淡々と狩る必要がなくなる。


 効率は随分とあがるだろう。

 問題があるとすれば、ゴブリン、ウルフが強くなりすぎてしまう可能性くらいだな。

 さらにその地域を探索していく。


 俺も戦いに加わり、三人でウッドヒュードを倒していく。

 ……さすがに、問題ないな。ウッドヒュードのステータスはたぶん130程度なんだと思う。

 訓練のおかげで俺もだいぶ成長したので、まったく問題なかった。


 ウッドヒュードを探しながら、別の魔物を探していると……また感知術が反応した。

 ウッドヒュードではない。ウルフがある一点へと視線を向けた。

 ……今度は石か。ごつごつとした石に俺が石を投げつけると、動き出した。


 ストーンロックという魔物らしい。

 ごつごつとした岩から、足と手のようなものが生えてこちらを見てくる。

 ……滅茶苦茶堅そうだな。俺は早速、先ほどから試していた連携技を行う。


 ストーンロックがこちらを睨み、腰を落とした。何か仕掛けてくると思ったが、それより先に召喚を行う。

 場所はストーンロックの背後。そこに、ゴブリンを召喚する。

 召喚が完了すると、ゴブリンがストーンロックの背後に現れる。連続で使いまくることはできないが、先制攻撃程度ならかなり有効だ。


 ゴブリンがハンマーを振り下ろすと、そこでストーンロックは背後を取られたことに気づいたようだ。

 ゴブリンの一撃が当たる。しかし、ストーンロックはそれを受けきった。

 ……さすがに見た目の通り頑丈な魔物だな。ゴブリンが距離をとると、ストーンロックの口から石礫が飛んだ。

 

 ゴブリンは直撃し、痛そうな顔である。ウルフに、ゴブリンの回収を任せながら、俺は水魔法を準備する。

 レベル3になった魔法は、攻撃魔法としても使える程度はあった。

 俺は水魔法を放ち、ストーンロックの身体へとぶつけた。ストーンロックの身体がよろめく。……魔法が効くようだ。

 こっちを向いたストーンロックの攻撃を避けながら、次の水魔法を準備する。ゴブリンとウルフがこちらの様子をうかがっている。


 ストーンロックに連続で魔法を当てると、ストーンロックが動かなくなった。

 ……こんなところか。

 ふう。何とか倒せたな。入ったポイントは200だ。……200の次は来ないのだろうか? 期待はずっとしているんだけどな。


 ストーンロックはちょっと厄介だな。近接攻撃だと中々ダメージは与えにくいようだ。

 俺が撃てる魔法だとそこまで一撃は強くないからな。魔力が高いのでどうにかなっているかもしれないが……。

 とりあえず、武器の見直しとかもしないといけないな。


 まあ、それは拠点に戻ったときにすればいいだろう。

 先ほどの戦闘でゴブリンは随分と攻撃を受けてしまった。ただ、もうポーションで治療済みのようだ。

 ……死んでほしくはないが、こういう初めての魔物との戦いで様子見として戦える存在ができたのは嬉しい限りだ。


 これまで、初見の魔物に何度か驚かされたからな。

 ストーンロックの身体から、アイアン魔鉱石がいくつか見つかった。

 ……こいつ、アイアン魔鉱石を生み出せるのだろうか? それとも単に餌として食べているのか?


 これまでそのあたりに転がっているアイアン魔鉱石くらいしか手に入れる手段はなかったが、ストーンロックが体内で作れるとなれば話は変わってくるんだが。

 他にも倒してみて、確かめないとだな。

 

「ゴブリン、ウルフ……この辺りの魔物はどうだ?」

「ゴブっ」

「がるるっ」


 二体ともやる気の炎を目に宿らせる。

 ……よし、魔物に気おされているということはなさそうだ。

 ここで狩りを続けていれば、二体のステータスも上がってくるだろう。


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