第17話


 ……西側の探索にいったが、いた魔物はウルフ、スライムくらいだった。

 今の拠点はかなり安定している。

 庭には畑があり、周囲には色々な魔物がいて色々な肉を楽しむことができる。


 この拠点を手放すのはもう少し考えてからにしたいと思い、俺はここで狩りを続けることにした。

 しかし、ガチャも回したい。

 

 良いスキルとか関係なく、あのガチャを回しているときのカジノにいるような感覚が好きなのだ。

 俺の楽しみは食事とガチャくらいしかない。

 ガチャをしない生活などありえないのだ。


 だから、俺は今すぐにポイントを稼ぐためミツベアーと戦うことを決めた。

 ……苦戦はするが、勝てない相手ではない。慎重に確実に……それを意識し、ミツベアーを狩り続けた。


 感知術が地味に有能だった。

 ミツベアーの位置をおおよそ把握できた。……二対一、という状況を絶対に防ぐことができたので良かった。

 万が一二体に襲われたら、まず俺は死んでいただろうからな……。


 5体過ぎたあたりで、ミツベアー相手に接近されても戦えるようになった。

 10体過ぎたあたりで、斬撃に頼る必要がなくなってきた。


 15体を過ぎたところでミツベアーがポイントになった。

 



 4月28日、夜。

 ようやく、ミツベアーを25体狩り、ポイントを5000まで溜めた。

 ……だいぶ苦戦したが、それでも今なら正面からやりあえるくらいにステータスも成長した。

 ……ミツベアーと戦い続けるという選択をして分かったことがある。


 強敵との戦いは、ポイント的な観点での効率自体は悪いかもしれないが……基本ステータスをあげるという部分では非常に効率が良かった。

 特にミツベアー15体程度までの戦いでは、ギリギリの戦いが多かった。

 ポーションだって結構消費していたからな。


 まあそのおかげで、ステータスはかなりあがった。

 ……それらは、まあガチャの後にでも確認しようか。

 

 俺はガチャ画面を開きながら、少し迷っていた。

 実は、回すかどうか迷っていた。


 ……というのも、もうすぐ4月が終わる。

 ずっと考えていた一つの疑問がある。


 ……まず、新しいガチャがあるのか。

 今回のガチャタイトルを改めて確認しよう。


 『四月開催記念ガチャ! これでキミも薬師デビュー!? 三点ピックアップガチャ開催!』というのだ。

 ……いや、ほんと、鑑定の儀のあとはこのタイトルが煽りにしか見えなくて神を本気で恨んでいたものだ。

 

 この四月開催記念ガチャという部分だ。

 ……五月もガチャはあるのかどうか、という部分だ。

 

 ガチャがあるというのなら、ポイントをためておいたほうがいいかもしれない。

 五月のガチャはもっといいスキルがピックアップされている可能性もあるからな。

 

 ただ……ガチャはこれっきりで一切そういったものはない可能性もある。

 今後の展開が読めないのだ。

 

 ガチャを回すかどうか迷っているもう一つの理由はピックアップについてだ。

 次は三分の二でスキルがかぶってしまうだろう。

 被りがあるのか? まずそこが疑問の一つ目だ。ないなら、あと一回は絶対ガチャを回そうと思っているが……。


 五月にガチャは来るのかどうか。

 しばらく、それについて考えていた。

 かれこれ一時間近くは悩んでいただろう。


 現状、この周辺で新しい魔物がいないのも理由の一つだ。ミツベアーがいた北から先に行けば、また別の魔物もいるかもしれないが……。


 うーん、どうしよう……。

 5000ポイント溜めるのは決して簡単なことじゃない。

 銀、金でどんなスキルが手に入るのか分かれば、この悩みも減るんだよな。


 今俺が欲しいのは、家を造れるようなスキルだ。

 だから、それらのスキルが入っているのなら、絶対に回す。

 ただ、逆に……例えば、そういったスキルは虹枠になっているのだとしたら?


 今後に備えて、ポイントは残しておいたほうがいいだろう。

 この下界はとても広い。だが、魔物が無限にいるわけではないだろう。

 どこかで、ガチャが回せなくなるときが来るだろう。今だってわりと、ポイント稼ぐのが大変になっているんだからな。


 ……そうして俺は色々と考えた結果。

 ガチャを回すことに決めた。


 だって回していいのでたとき嬉しいし。


 理由はそれだけだった。

 俺はガチャ画面を開き、十一回ガチャをタッチした。


 まずは……演出は……金色。

 よし、昇格は来なかった。今はもうピックアップは狙っていない。

 他のスキルが出ることを期待している。


 銅色が4つ、銀色が3つ、金色が3つ、虹色が1つ、か。まあ平均的なガチャだな。

 個人的に一番嬉しいかもしれない。


 ……まずは銅色からだな。


 器用強化 レベル1

 耐久力強化 レベル1

 器用強化 レベル1

 魔力強化 レベル1


 ま、銅色は別になんでもいいんだ。次からが大事になってくる。

 次は……銀色だ。


 槍術 レベル1 

 開墾術 レベル1

 建築術 レベル1


 槍術は必要ない! 開墾術は……まあ、いいかな。

 それよりなにより、俺は一番最後のスキルに狂喜乱舞した。

 ついに来たぞ!! 建築術だ!


 これで家とか作れるようになるかもしれない!

 建築術を鑑定する。


 建築術

 家、家具などの製作を行うことができる。


 や、やった! これで俺の暮らしも大きく変わるだろう!

 喜んでいたが、まだガチャは残っている。


 金色は3つか。

 この調子でいいものが出てくれればいいんだが!


 火魔法 レベル1

 光魔法 レベル1

 水魔法 レベル1


 ま、まあこんなものだよな。

 新しいスキルに期待していたが、この辺りは仕方ない。

 ……次のガチャが、結構大事だ。


 最後の虹色……。果たして、ピックアップにかぶりはあるのかどうか。

 それが確認できるかもしれない。

 もちろん俺としてはかぶってなんて欲しくない。だって、無駄になるからな……。

 そして最後の虹色を確認した。


 薬師 レベル1


 ……うぇ、被りあるのかよ……。



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