第20話 加藤の気持ち

 関わるなって言われて私はそれが無理だって言ったけど。


 二人にも関わるなって言われていて。


 私の願いは誰とも重なっていなくて。


 私は、あんなつらい思いをしたくない。


 だけど……もう話さないって、そんなの嫌だよ。


 わがままだってわかってる。


 だけど。


 私と緑川くんは教室に入る。


 それぞれ席に着くと近寄ってきたものがいた。


「瑠香」


 加藤……。


「ちょっと話があるんだけど」


「いやだよ。何が目的?」


「相変わらず瑠香は強いなぁ。大丈夫だよ、もう瑠香で遊ぶのはやめたから。それに……、強い信念のある騎士がそばに仕えているしね」


 ちらっとこちらを見ている緑川くんを見つめる。


「じゃあ、もう私は用済みってことでしょ? つなぎ役をしてほしかったりするわけ? 私友達いないけど」


「大丈夫、それは知っているから」


 デコピンされた。


「伊月のこと」


 私ははっと思わず加藤と目を合わせてしまった。


「知りたいでしょ? 伊月がどうしてああなっちゃったか」


 知りたい。だけど、加藤を信頼しているわけではない。


 本当にそのことを言ってくれるとは思えない。


「それを言って、あなたは何の得になるの?」


「いや? 特に何も。ただ、ちょっと面白くなるかなぁって」


 肩をすくめる。


 その瞳を見るけど、本当に何を考えているのか、わからない。


「どうする?」


「わ、わたしは……、」


 緑川くんを見ると、軽く頷く。


 私の選択を応援してくれそうな、目。


「知りたい」


 加藤がニヤッと笑った。



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