第4話 水槽に流れる綺麗な時間

できなかったな


年末の大掃除今年も


断捨離レベルでやりたかったんだけど


わたしのお部屋に定住しているモノたちが


何か後ろめたくて 悲しくて


どうしてなのかな?


だって彼女ら確かにモノたちだけどただの


要るものと要らないものたち 選別作業


だってわたしを見詰めてるんだもん


気のせいなんかじゃないんだもん


みんな自分たちの思い出まとって


わたしの目の前にずんってしっかり正座して


わたしをじっと見詰めてるんだもん


言ってるみたい まるで


「わたしは要らない子なの?」


「わたしと過ごした時間を捨てちゃうの?」


「わたしとの思い出せない思い出に


あっさり目を背けちゃうの?」


なかったことにしてしまうの?


「わたし居なかったことにされちゃうの?」


「モノは涙を流さないと思ってるの?」


わたし今年厄年で


神社にお参りしたけど 新年早々


何の保証もあるわけないし


てかわたしホントは信じてないし


ただ毎日だらだら習慣で尋ねてみる占いか


めげたときの


ディズニーの映画とお部屋の鏡みたい


モチベ上げて自分チェックして


とかしてただ何となくもやもやするから


本当の理由なんてわからない


あるのかないのかわからないモノやコト


ふと思う


いつからだったんだろう?


ひとりわたしのお部屋でわたしの可愛い聖域


毎朝服を選んで身に着ける悩みを悩む幸せな


ひととき バタバタしながら頭ぐるぐるどきどき


服を脱ぐときの気恥ずかしさがぬぐえない


ふと思う


色んな感触が肌に触れて どうしようもなく


いつからかな?


でも 何かそんなちっぽけな日常の点景が


わたしの肌を撫でる 生地の手触り肌まとい


わたしを一瞬吹き抜ける風がとても心地良く


超恥ずかしいけど 何かドキドキワクワク


どうして?


その刹那


そうすると少しだけ素敵な女の子になれてる


そんな 気がするの


出来なかった 大掃除


捨てれなかった思い出たちと


もう少し一緒に暮らしてみようかな


もう少し だけ








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