sny 夢々
f
1. gwiazda 星
星が死ぬ夢を見た。
真昼のように明るかった。死んだ星は太陽のように激しい光を放ち、僕の目を潰した。
これでなにもかもおしまいだ、と思った。
僕は目を覚ました。
まだ眼球がちかちかする。狭いベッドの上で寝返りを打つと、スプリングが呻くのが聞こえた。
僕は潰れた枕に顔を押しつけた。
星が死ぬのは本当のことだった。まだ数ヶ月は先になるけれど。今年の冬、《死神座》の一等星の寿命がくるらしい。誰でも見つけられる、砂時計型の星座。その心臓の部分にある赤い星が死ぬ。
大昔の予言によると、それとともに《世界の終焉》が訪れる。でも誰も信じてはいない。
子どもの頃、星が好きだった僕と弟はたくさんの図鑑を調べ、いろいろな星座の挿絵を眺めた。《死神座》の姿はまちまちだった──青ざめた老人、大釜を持った骸骨、美しい女。しかしどの絵も、心臓の部分にあの星がかかるように描かれていたのを覚えている。
あの星が死ぬことは何年も前から予測されていて、僕たち──つまり、僕と弟はその日が来るのを楽しみにしていた。星が死ぬなんて滅多に起こることではない。世界の終焉という不吉な予言もあるけれど、それだって珍しいことだ。《終焉》っていったいどんなものだろう、と僕たちは何度も話し合った。
大雨が降って洪水が起こるなら、傘をさして二人で船に乗ればいい、と弟は言った。長ぐつと雨がっぱを着て、おやつにビスケットを持って。それより、と僕は言った、うんと高い塔を建てて、てっぺんから水びたしの世界を眺めようよ。世界が一つの水たまりになるんだよ。きっとすごくきれいだ。
地面が割れて炎が吹き出したらどうする?そうしたら気球に乗って空に行こう、と弟は言った。その考えは僕も気に入った。煙も上ってこないくらいうんと高いところに行こう。地上は火の海だけど、僕たちは雲の海を泳ぐんだ……。
だが、弟が星の死や《終焉》を経験する日は来ない。
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