第19話 おっぱいのない街
「どでけぇ……」
根本から見上げる
この巨大樹木は
みな、そこで果実を採ったり動物を狩ってたりする。
中には畑作をしたり養殖をしたりしてるヤツもいるらしい。
さらには、オモチと呼ばれる魔力結晶を食し『魔物』と化した恐れるべき怪物すらも糧としている。
一応、外でも農業は行われているが、生産力は高くないとのことだ。
まさに
――キュイがこれの化身って言われても……ピンとこないよなぁ~。
オモチの生産や環境への干渉。
魔法で契約もしたし、魔物を操ってるのも見た。
ゴブメンはともかく、キュイが嘘を吐くなんて思ってもいない。
それでも俺にとっては妹分みないなもんで、その子がそんなとんでもない存在って言われても意識しずらい。
「と、あんまりゆっくりって訳にもいかないんだっけ」
俺は
目指す街はすぐ近く。
隣接はしてないけど、遠いというほどの距離でもない。
いわゆるソコソコの間隔。
街の周囲には低いながらも柵が立てられていた。
けど、特に門番がいる訳でもなかった。
そもそも
泥棒くらいはいるかもだけど、専業の盗賊なんてのはいなそうだ。
その気になれば柵だって簡単に越えられるし。
街の中央へと延びた石畳を物見雄山気分で歩いていく。
両端には木造の家が並んでて、ところどころに店が混じってるけど……どうにも活気がない。
それは街全体に言えることで、なんだか
――なんでだ?
俺が街に降りたのには理由がある。
そのチャンスがあれば積極的に補充していくつもりだけど、本命は別にある。
ここしばらく、めっきり
その理由を確かめに来たのだ。
そうなれば当然みんな困るだろう。
実際、街には思った以上に活気がない。
こんなにも閑散としてると、疫病でも流行ったんじゃないかと不安になる。
でも、そういう気配もまたない。
街はそれなりには清潔だし、取り残されたような人々たちに病巣の気配はなさそうだ。
「お兄さん、見ない顔ねぇ」
薄暗い小道からちょっと濃いめの化粧をした妙齢のお姉様が声をかけてきた。
露出度の高い服を着て足下はヒールのついたサンダル。
胸への栄養価が若干不足してるのが残念だけど、口元に添えられた黒子が妙に色っぽい。
「ちょっとあたしとイイコトしてかない?」
「よろこんで」
即座に解答し、相手の両手をしっかり握り締める。
巨乳は強力なステータスであっても、人間の価値はそれだけじゃ決められないんだ。
それにほら、ずっと不自由な日が続いてるから、ここでちょっぴり羽目を外した方が健康的なんじゃないかなって。
金もゴブメンから預かってるし、元々は
――大人の階段の~ぼる~、僕はこれからシンデレラさ~♪
脳内BGMに後押しされ、小道の奥へとスキップを踏む。
でも、そんな俺を背後からの質問が引き留めた。
「イイコト、てなに?」
「幸せを運んでもらうのさ、大人の……ねぅぇあっ!?」
そこまで口にして気づく。
相手の声に聞き覚えがある。
むしろ、こんな澄んだ声を出す相手なんかひとりしか知らない。
恐る恐る視点をおろすと、そこには「大人の、幸せ?」と、小首を傾げる小さな子がいた。
ボロい外套で全身を隠してるけどそれはキュイで間違いない。
フードの隙間からのぞける髪は茶に変えてある。
どうやったのかは知らないけど、彼女なりに考えて変装してきたんだろう。
「あの……いつものお面は?」
「置いて、きた」
マジか。マジでこの子、ひとりで
「あたしにも……」
そうお姉様に頼もうとするキュイを脇に抱えると、俺は急いで食堂へとかけこんだ。
背後から「
だってほら、俺、
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