猫な彼女の風呂上り

@山氏

猫な彼女と風呂上り

 俺がベッドに腰かけて携帯を眺めていると、咲弥がバスタオルで髪を拭きながら部屋に入ってきた。手にはドライヤーを持っている。

「お風呂あがったー」

「髪乾かしてきなよ……」

「乾かして」

 咲弥は俺にドライヤーを差し出すと、俺の膝の上に腰を下ろそうとする。

「もう……」

 座られる前に俺はドライヤーを受け取って、ケーブルをコンセントに差し込んだ。

「ほら、おいで」

 言いながらベッドに座り直す。咲弥はすぐに俺の膝の上に腰かけてきた。

 俺はドライヤーの電源を入れ、咲弥の髪を手櫛で梳きながら温風を当てていく。

 咲弥は鼻歌を歌いながら、携帯を眺めていた。

 ある程度髪が乾いてきたので、俺はドライヤーを弱める。

 少し癖のついた咲弥の髪を手で梳かしつつ、ドライヤーをかけていった。

「はい、終わったよ」

「ん、ありがと」

 咲弥は一度立ち上がると、俺の方を向いて抱き着いてきた。そのままベッドに押し倒される。

「寝るならちゃんと布団被らないと、この前みたいに風邪ひくよ?」

「んー」

 聞いているのか聞いていないのかわからない返事をしつつ、咲弥は抱きしめる力を少しだけ強める。

 俺はドライヤーを布団の隅に置いて、ため息を吐きながら咲弥を抱きしめた。

「動かすよ?」

「んー」

 俺は咲弥の返事を聞いてから、抱きしめたまま体を起こす。そして掛布団をめくり、咲弥と一緒に布団の中に入った。

「んん、暑い……」

 咲弥は俺に抱き着いたまま、片手で掛布団を退かした。

「だったら離れればいいのに……」

「やだ」

 そういうと、咲弥はさらに強く俺を抱きしめる。俺は咲弥の髪を優しく撫でた。



「……咲弥?」

 少ししてから、俺は咲弥に声をかける。咲弥はすうすうと寝息を立て、俺に抱き着いていた。

 俺は掛布団を掛けなおして、リモコンで電気を消した。

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