第3話 君とのデート 鈴茄sibe

 今日は、とてもドキドキする日になると言い切れる。どうしてかというと、一昨日に陸から、したいことがあるから空けといてと言われた。それも二人でどこかに行くということだ。つまり、で、デートってことになるのかなと勝手に思い込んでいる。

「どれ着ていこうかな。」

着ていく服を悩んだり、髪型をどんな風にするか迷ったりしていた。ようやく決まったところで、インターホンがなった。

「鈴茄~」

「今行く!」

そう言って階段を駆け下りた。

「お待たせ!……どうかな?」

「……うん。……いいと思う。」

もう少し反応してほしかったと心の中で言った。陸の後をついていくと遊園地に着いた。

「ここ?」

「うん。俺がお金を払うから。」

「えっ、大丈夫だよ。お金もってきてるし。」

「俺に払わせて。これは、俺のわがままなんだし。」

わがまま?よくわからないけど、言葉に甘えさせてもらおう。それより…

「なんかいつもの陸より優しいような…?」

「えっ。」

あっ、声に出てた。話題を変えないと。

「ね、ねぇ、ここでなにがしたいの?」

「それは…後でのお楽しみにしといて。」

「?うん。」

その後、久しぶりの遊園地を楽しんだ。

「もう、五時だ。」

腕時計を見て時間を確認した。ここは、六時で閉まるから、あと遊具一回しか乗れない。

「あと一個どこ乗る?」

「あれ。」

陸が指を差したのは、観覧車。私がよけていたので一回も乗っていない。密室に二人なんて恥ずかしくて無理だから。

「ほ、他のにしない?」

「…なに、いやなの?。」

「だって、みっ…。な、なんでもない。」

陸の口がニヤッとしているのは…き、気のせいだよね。

「よし、行こう。」

「やだー。恥ず…、と、とにかく無理ー。」

結局、乗ることになった。とにかくずっと外を見ていたら…

「鈴茄。」

「な、なに」

陸の方を向かないように返事をした。

「俺、鈴茄のことが好き。」

「えっ!」

思わず振り向いたら、

「見ないで。恥ずいから。」

と反対側を向かされたけど、私にははっきり見えた。陸が耳まで真っ赤になっているところを。珍しくてさらに驚いた。

「で、返事は。好きじゃなくても、受け止めるから言っていいよ。」

まるで、振られると思っているみたいで、面白かった。…けど、本題は伝えるところ。恥ずかしい気持ちを押し殺して、声を出す。

「わ、私も……す、好き……だよ?」

やっと出せた声もすごく小さかった。聞こえた…かな?

「えっ!」

もう恥ずかしくて顔が見れない。そんな時、陸がすごいことを言ってきた。

「もう一回言って。」

「…べ、別に嫌いじゃなくはない…し。」

もう素直に言えなくなった。

「そっか…。分かった。」

「だから、嫌いじゃないって!」

「好きでもないんだろ?もういいよ。」

「…す、好きだって言ってるじゃん。」

勘違いしてるみたいだからわかってほしかった。私も、陸が好きだって。いつの間にか涙が溢れていた。

「私は、素直に言えないの!大好きなのに伝えられなかったの!」

涙と共におもいがあふれてきた。恥ずかしいという気持ちよりも、誤解して欲しくない気持ちの方が大きかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る