第2話 彼と私

 和真と私は、幼稚園の頃からの幼馴染でお互いに仲良しこよしっていう感じだった。家族ぐるみでも仲が良く、旅行にも一緒に行くほど。


 小学校にあがってからも、私たちは仲が良くて。でも、お互いに"恋愛"というものはなかった。私自身運動が好きだから、よく和真がいる男子グループに混ざって遊んだりもした。

 だが、高学年になってからはみんなひとつ大人になるから少しずつ異性に対して恋愛感情をもったり意識し合う。中には、男女交際をしている人までいた。


 そんなとき私は、クラスの女子から呼び出された。


「美玖ちゃんって、小林のこと好きなんでしょ?」

「えっ好きじゃないよ。なんで?」

「だって美玖ちゃん、いっつも小林たちと遊んでるから。もしかして、小林に近づきたいのかなって」

「そんなわけないじゃん」

「本当?」

「うん。本当だよ」


 このとき、まさか"あの人"が陰でこのことをきいていたとは───。




 中学に入ってからも、女子からの妬みによる嫌がらせがあった。

 なんなら、小学校の頃よりエスカレートしていた。

 上靴を隠されたり、教科書を隠されたり。嫌がらせというか、もはやいじめだ。でも、その時にすぐに駆け付けてくれたり気にかけてくれるのは、和真だった。


 同じクラスになった二年の時も、教室で掃除していたときにみんなの机を移動させるときに私の机だけが残っていた。自分のが残っているのは、しんどくて辛かったけど誰かがやってくれるのを待っていた。


 すると、一緒に掃除をしていた男子が


「おーい、誰かの机が残ってるぞー。誰かやってやれよー」


 そんなことを言って笑っている。私は、逃げ出したくなった。泣きそうになったけどそれもどうせ笑われるから頑張って耐えた。

 そのとき、廊下でごみ拾いをしていた和真が黙って教室に入ってきて、私の机を運んでくれた。


「大丈夫か?」

「うん。ありがとう」


 廊下に戻るときに和真は男子に


「馬鹿な事してんじゃねえぞ? 次また同じ事したら、お前らの机も同じことしてやるからな」


 男子は硬直していた。



自分を守ってくれたんだって思ったら、嬉しい気持ちでいっぱいになった。



この時から私は、彼のことを少しずつ好きになっていったんだ。




 

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BETTER 櫻葉ゆう @arayu_0123

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