第4話氷の女王とお風呂
雫が家に居候することになってから3時間。
雫は今お風呂に入っている。
雫にお風呂に入る前に聞いたのだが、雫は今までの生活をご飯、寝床はその場しのぎ、洗濯はコインランドリー、お風呂は銭湯でという今どきの女子高生からは想像出来ない生活をしていたらしい。
しかし別に臭いとかそんなこともなかったので女の子ってすげぇーと思う黒兎だった。
「月影くんお風呂いただいたわ」
「おう。俺もはいるぅっ!?」
「何かしら」
「あの…その下着で出てこられても…」
あろう事か雫は下着姿で出てきたのだ。
「あら、ごめんなさい下着は2セットしかなくて」
「そういう事じゃなくて下着出てくるなって言ってんだ!」
なんか風呂上がりの火照った体で下着姿の美少女を見るには、男子高校生に対して刺激が強かった。
「あら、それじゃ寝巻きを貸していただけるかしら」
「え?」
「着替えは、下着2セットとタオル、制服しか持っていなくって」
淡々と雫は答える。そうだった。こいつ家出少女だったわ。
「男物しかねぇぞ」
「それでいいわ」
「冬矢。私服持ってんのか?」
「持ってないわ」
「でしょうね」
「明日、私服とか下着とか買いに行かねぇとな寝巻きも」
「どうして?」
「どうしてってずっと俺の服着るのもやだろ」
「私は別にいいけれど」
「俺が困るんだ」
自分の服を美少女が着るなんてなんかちょと
やらしいわ。
今日は金曜日なので明日は運良く土曜日だ。
明日は雫と日用品を買いに行くことになった。
「それじゃ今日は俺の寝巻き着とけ」
「感謝するわ」
感謝と言っているが相変わらずの無愛想で心のこもってない言葉だ。
黒兎は風呂場に向かう。今日1日でとても周りの環境が変わってしまった。そして雫が風呂に入っている時に父から連絡があり、雫の事を受け入れてくれるらしい。これであと1年だけこの環境に耐えれば黒兎にはいつも通りの平穏が戻ってくる。
脱衣場で黒兎はため息をはく。そうだ、同居してたらこんなこともあるんだ。雫の脱いだ下着を見てしまった。黒兎は動揺はしたものの、さっきのである程度耐性はついていた。が!
気になるのは男の性!少し下着に触れたら…
ガラガラガラ
脱衣場の扉か開く。
ブラをつまんだ俺と雫の目が合う。
終わった。
「髪を乾かしに来たのだけれど…」
「冬矢さん…あの…これはですね」
「さすがにその、私でも脱いだばかりの下着でひとり遊びされるのは、恥ずかしいのだけれど」
「いやそんなつもりじゃ…っていうか下着で男の前に出るのは平気なのかよ」
「月影くんがそんなことをしないと言うから安心していたのだけれど」
「それは…その…はい。すいませんでしたー!」
黒兎は全力で謝った。自分で変なことはしないと言ったのに下着を触ってしまった。これは普通にあかんヤツや。しかも雫は俺のことを信用してくれていたのに…
「まぁ、私はいいのだけどね。泊めさせてもらってるし、月影くんが望むのなら、私は逆らえないわ」
わざとらしく身をくねくねとねじり、色っぽく言ってくるのだがなにせ氷の女王なので、ほとんど感情がこもってない。しかし恥ずかしいのは本当のことらしい。
黒兎は「分かったから!そんな事しないって誓うから!お風呂はいってくる!」
風呂場に逃げるように入り、風呂場で脱いで入浴を始めた。
あいつの入った風呂なんだよななんて考えたら少し身体が熱くなってきた。いかんいかんと煩悩を払拭したが、やっぱりちょっと気になった。
今日のお風呂は色んな意味で火照っていたので、のぼせるのがとても早かった。
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