第99話 戦闘後

 目前で触手に巻きつかれながら意識を失う少年を目にしながら、ネフィラはふふっと微笑む。


「……少し驚きはしたけど、まぁ大したことなかったわね」


 その呟きに呼応するように、ヴォルデが高らかに笑う。


「ぐふっ、こいつならわしでも余裕であったな!」


 ……まったく、この豚は誰のおかげで力を得たと思っているのかしら。


 と、内心イライラしつつも、ネフィラはヴォルデを放っておくことにし、意識を目前の少年──レフトへと向ける。


「さて、とりあえず殺しはしなかったけど、この坊やはどうしようかしら」


「コレクションに加えてはどうだ!」


「確かにかわいい顔してるし、ギフトも随分と個性的……それもありかしらねぇ」


「ぐふっ、そうすればワシも……」


 と、2人が会話をしていると、ここで今まで口を閉じていたコニアが唐突に声を上げる。


「……お待ちください、ネフィラ様」


「あら、どうしたのコニア」


「あたしは、彼をここに生かして置いておいて、早く逃げた方が良いかと思います」


「……どういうこと?」


 言ってネフィラはギロリと鋭い視線を向ける。その視線を受けながら、コニアは平静を装いながら淡々と声を上げる。


「いくらネフィラ様の魔人形が強力とはいえ、あの数では火竜の一撃には敵わないかと思います。だから、一刻も早くこの場から逃げるべきです」


「持って帰ってはダメなのかしら?」


「そうすれば、きっと激昂して私たちの元へやってきてしまいます。なら、レフトくんの看病をさせて、少しでも時間を掛させ、逃げるべきだと思います」


 ネフィラはコニアのことをじっと見つめた後、うんと頷く。


「……ふーん。ま、彼らと関わりの深いあなたがそう言うのなら、この子は放っておいてさっさと離れましょうか」


「い、いいのか!?」


「せっかくコニアがイヴを連れてきてくれたんだもの。……あなたもこんな坊やよりも、イヴを優先したいでしょう?」


「……ぐふっ、ぐふふっ、確かになぁ!」


「ネフィラ様」


「えぇ、行きましょうか」


 言葉の後、ネフィラが指を鳴らし──瞬間、触手が消え、バタリと地にぶつかるレフトの音が響くのと同時に、コニアたちの姿がフッと消えた。


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切り方を間違えました。

短くなってしまい申し訳ございません。

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