第3話 検証の続き
自身の力に希望を抱いた所で、そのテンションのまま検証を続ける事とした。
とは言っても、今出来る事は少ない。
出来る事としては、実体化する植物と消費魔力量の関係、実体化できる数に限りがあるか、同時に数種類もしくは同種ならば複数本実体化できるか、実体化した植物を図鑑に戻す事は可能か、実体化した薬草は自然のものと同等の能力があるのか確認する事位か。
勿論、調べようと思えば他にも調べられる事はあるが、現状有しておくべき知識としてはこの辺りで十分なように思う。
という事で一つずつ検証していく。
……まずは、実体化する植物と消費魔力量の関係について調べようか。となるととりあえず魔力量の変化を確認できるように──
「ステータス」
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レフト・アルストリア 10歳
Lv 1
体力 13/13
魔力 124/124
【ギフト】
・植物図鑑
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これが僕のステータスだ。
前世の知識と比べると、表示内容が非常に少ないが、これがこの世界のデフォルト。もう少し詳しいステータスが知りたければ、『鑑定』というギフトを有している人間の力を借りなければならなくなる。
まぁ、今は魔力量だけがわかれば良いので、別にこれで問題ないが。
因みに、レベルは魔物を討伐する事で上がり、レベルが上がれば能力値も向上する。
ここら辺は前世の知識にある、ファンタジー物の通りだ。
さて、余談はこの辺で早速検証スタートである。
まず植物図鑑を召喚する。
……ここまでで魔力の消費はなし……っと。
次にペラペラとページをめくり、適当な雑草を実体化する。
すると、左手に雑草が出現し……同時に、ステータス上の魔力の数値が1減少した。
「うん、予想通り」
これを数種類の雑草で試していく。
選んでは実体化、選んでは実体化を繰り返していくが、結果は変わらずどの植物も消費魔力が1であった。
……なる程、特に効用のない雑草や花は消費が1だけか。なら、薬草は──
僕はページをペラペラとめくり、下級薬草を実体化する。
するとステータスの魔力値が今までと違い2減少した。
「うん、やっぱり効果によって消費魔力量が変わるんだ」
当たり前か。……もし全植物の消費魔力が1なら、希少な植物を大量に実体化できてしまう。……いや、下級とは言え薬草がたったの消費魔力2で実体化できるだけでも十分おかしいのだけど。
とりあえず植物の種類によって、消費魔力量に違いがある事は判明した。より詳しい関係については今後登録した植物の種類が増えてから確認すれば良いだろう。
次は実体化できる数に限りはあるかについてか。
これに関しては、魔力量の関係から限界があるのかどうか解明するには至らなかった。
ただ、薬草をひたすら実体化したが、別段限界量があるようには思えなかった事から、仮に限りがあったとしても、決して少なくはない事がわかった。
勿論、神恵草や能力の実のような希少な物に関しては限界個数が少ない事も十分考えられるが。
同時に数種類もしくは同種ならば複数本実体化できるかについては、現状不可能であった。
未だ図鑑の扱いになれていないからか、それとも1種類1本しか同時に実体化できないという誓約があるのか。
どちらにせよ、数種類選択して同時に実体化したり、同種類の植物を同時に複数本実体化したりはできなかった。
次に実体化した植物を図鑑に戻す事は可能か……だが、これに関しては一切方法が思い浮かばない事から現状不可能であると言える。
ただ、植物図鑑のレベルが上がり、できる事が増えれば、もしかすると可能かもしれない為、今後次第といったところか。
最後に実体化した薬草は自然の薬草と同等の能力があるかについてだが、これは現状では判断が難しい。
というのも薬草という名を冠していながら、薬草のみでは殆ど回復効果が見込めず、他の材料と合わせて初めて体力を回復する事が可能になる。……だからこそ、今回の検証に薬草は非常に不向きなのである。
……薬草以外ならばもう少し調べやすいものもあるのだが。
ここまで考えた所で、ふと思ってしまう。
……うーん、やっぱり街に行きたいなぁ……と。
現状僕が1人行動が許されているのは、屋敷周辺だけで、街に行こうと思えば必ず誰かしら大人の付き添いが必要になる。
かと言って、誰かと共に行こうにも皆忙しく、中々街へ繰り出すことができない。
街へ行けば色々な事が出来る。単純に有用な植物を買ったり、実体化したは良いがどうする事もできずこのままでは枯れてしまう薬草を売りに行く事も出来るのだ。
だからこそ、街に行きたいのだが……まぁまだ10歳。親の気持ちを考えれば仕方がない事ではあるとも思うが、やはり今後のギフトの成長を考えると、早い内に行動範囲を増やしておきたかった。
……とりあえずお父様もお母様も僕のギフトがあまり有用で無いと思っていると思うし、さっき判明した植物図鑑の可能性を報告しよう。……そしてそのついでに、街へ1人で行く許可を貰えるか、聞いてみよう。
僕はそう考えると、部屋を出て、両親の元へと向かった。
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