ゴッドマンモス
いつの間にか、僕らは大勢の仲間達を連れて、道を進んでいた。しかしその一方で敵モンスターの数は増え、傷付く者や倒れてしまう者の人数も同じように増えていたようだ。
クソ……このままじゃ全滅する。早く……早く魔王本体をぶっ潰さないと……!
内心焦りつつも、仲間の士気を下げないように、呼び掛けてながら走っていると。
「おっ……おいあれっ!! まさか『ゴッドマンモス』じゃねぇか!?」
「えっ……あ、うああっ!! 本当だ!!」
大きく動揺した声で誰かが言った。
そしてその直後。唸るような地響きと、耳の張り裂けそうな咆哮が、遥か上空から伝わってきた。
上を見ると、これまで見た事の無いほどの超巨大なマンモス型のモンスターが……暴れ回っていた。
……マズい。あんなのを放っておいたら確実に死人が出る。そんなのは容易に想像が出来た。
しかし……! ここに時間を割いても、また無限にモンスターを召喚されるだけ……! そんなの埒が明かない!でも無視するのは出来ない……!
僕は思わず足を止めてしまう。どうする……一体どうすれば……僕ッ……!
「アル!」
「……えっ?」
ポンポンと僕の肩を叩く人が。振り向くとそこには…………僕の心強い仲間達が立っていた。
「アル、ここは俺様に任せろって!あんなカイブツ、俺の矢でズギャーンと貫いてやるよ!」
「レウス……!」
「だから、お前は早く行け!」
「シン様! こんな奴、僕がやっつけてやりますよ!」
「……フン。言うじゃねぇか」
「だからここは僕に任せて下さい!!」
「団長! 絶対怪我人が溢れ出そうだから、私ここに残りますね! これサボりじゃないですよ!」
「うむ。賢い選択じゃ」
「じゃあ! 頑張ってね団長!」
それらに賛同した他の冒険者達も次々に声を上げて、勇敢にも巨大なマンモスに突っ込むのだった。
「み、みんな……!」
「行くぞ、アル……アイツらを信じよう」
「……うん」
「アイツら大丈夫だ。きっとな」
その言葉を信じて、僕らはマンモスの横を通り過ぎて行ったのだった。
──
そして……遂に辿り着いた。山の山頂付近にある洞窟。ミミルさんによると、ここから強い魔力の反応があるらしい。
つまり……この中に魔王が。街中をめちゃくちゃにした……いや、違う。『僕の人生をめちゃくちゃにした』全ての元凶が、ここに居る。
そんな奴は……絶対に許してはならない。僕が……この手でぶち殺してやる。
覚悟を決めた僕は歯を食いしばり……もう魔剣と呼べる要素の殆ど無い、魔剣を握り締めた。
「お主ら、準備は良いな?」
ミミルさんは言う。僕は全員の顔を見回した。
最強の騎士 シン・クレイトン。
最強の魔法使い ミミル・エンシューナ。
最強のブーメラン使い ピエール。
……そして僕。アル=エルシア。自分で言うのも恥ずかしいけど……最強の魔剣士だ。
今は自称だけどこの戦いで認めてくれるかもしれない……いや、別に認められなくたっていいや。
ただ……僕は。為すべき事をするだけだから。
「行こう! みんな!」
「ああ」
「うむ」
「はい!」
僕らは洞窟に足を踏み入れた。
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