仲間、招集

 走っている途中……この場にそぐわない、ド派手な衣装を着ている高身長の男を発見した。


 ……僕はこの人を知っている。そう直感した僕は、その人の名を叫んだのだった。


「おーい、ピエールさん!」

「……あっ! アルさん!」


 声を聞いて振り返ったその男は、やはりブーメラン使いのピエールさんであった。


 そして僕に気が付いたピエールさんは、走りにくそうな革靴を履いたまま僕の元へと駆けて来る。


「ええと……どうしてその格好?」

「実は、遠くでピエロの営業をしていて……街に帰って来たらこんな事になってて。これは参ったね」


 照れくさそうにピエールさんは、自分の頭を撫でた……というかこの人まだピエロもやっていたんだね。てっきり冒険者一筋になってたと思ってたよ。


 いや、そんな事よりも……ピエールさんがここに居てくれたのはかなりラッキーだ。


 ピエールさんのブーメラン技があれば、きっと大きな戦力になる筈だし……僕と何回もクエストを一緒に受けたんだ。連携は他の人よりは、絶対にやりやすいだろう。


 そう考えた僕は仲間に引き込もうと、ピエールさんにこうやってお願いをした。


「ピエールさん、僕と一緒に来てくれませんか! 魔王討伐を手伝って欲しいんです!」

「えっ……え? ま、魔王? そっ……そんなスケールのデカい事が起こっていると言うのかい?」


 するとピエールさんは、若干引きつった顔をしながらそう答えた……しまった、ビビらせ過ぎてしまったか。


 それなら違う方向でっ……!


「ピエールさん、魔王討伐ですよ! これは絶対に報酬デカいです! こんなチャンスを逃すなんて、ピエールさんらしくないですよ!」

「……」

「マジです! 億万長者も夢じゃないです!!」


 すると、ピエールさんは一瞬だけ考えるポーズを取った……かと思ったら。


「フッ……力を貸そうじゃないか!」


 そう言って、意気揚々と僕の目の前に拳を突き上げた。


「よし! なら早速行きましょう!」

「ははっ、任せたまえ!」

「……この人、詐欺とか簡単に引っかかりそうだなぁ……」

「え?」

「いや、何でもないです」


 ──


 それからピエールさんも連れて走っていると……次第にモンスターと戦う冒険者の姿を見る機会が増えてきた。


 その中には見知った顔も幾つか発見出来た。僕らはそれに加勢しつつ、仲間になってくれるよう、声を掛けた。


「レウス! 僕も手伝うぞ!」

「おっ、アル! 久しぶりだな!」

「ああ! コイツらをやっつけたら、僕と一緒に来てくれないか!」

「おうよ! 俺様がいりゃ百人力よ!」


 そんな会話をしている間……僕の正面ではシンとジェネさんもやり取りをしていた。


「おいおい……『ロイヤルソード』の団長が、こんな雑魚モンスターに苦戦してるなんてなぁ……俺は悲しいぜ?」

「えっ……し、し、シン様ぁ!? もしや生き返ったのですか!?」

「うっせぇ。説明は後でしてやるから……とっとと片付けてこっちを手伝え、ジェネ」

「はっ……はい!! 」


 それと同じタイミングで、ミミルさんとノノさんもやり取りをしていたみたいだ。


「あっ、団長ー!! どこほっつき歩いてたんですか! こっちはすごーく大変なんですよ!」

「はぁ、ウチだって頑張っておるわい……とにかくウチに手を貸すんじゃ。全て終わったら何か褒美やるから……」

「はーい! 仰せのままにー!」


 そしてそれらの後、周辺のモンスターは冒険者らによって、全て討伐された。


 それを確認した僕は、全員を先導するように前の方に出で、こう叫んだ。


「よし、みんな行くぞっ!!」


「「「「おおーーーっ!!!!!」」」」

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