ランクアップだ!
それで意外? な才能を発揮したピエールさんのブーメラン練習を見届けていたら……その時は突然訪れたのだった。
「アル! モンスターの反応だ!」
「ん、やっと現れた?」
「ああ……でもこの反応は絶対ゴブリンじゃねぇ……多分クマだなこりゃ」
「え、またぁ!?」
確か1番最初に討伐クエスト受けた時もクマだったよな……何で僕はこんなにクマと縁があるんだよ。
「……で、どうすんの?」
シンはいつものようにいやらしく笑う……でも人形だから、そんなにイラッとはしないな。
「そりゃ行くしかないじゃんか! クエスト内容違うけど、クマ倒したらきっとランクアップ認めてくれるはずだよ!」
「それは知らんけど。じゃあ行くぜ?」
言ってシンは剣に入る。
「【
──
数十分後。巨大クマを討伐した僕らは、また草原に戻って来ていた。
「余裕だったね」
「まぁほぼ俺の力だけどな」
「それ言ったらおしまいだよ」
そんな会話をしつつピエールさんの元へ向かうと。
「……フッ。【
……新技を生み出していた。ブーメランはさっきまでの勢いとは全く違っていて、これをまともに喰らったら相当なダメージを受けそうだ。
そしてピエールさんは、スピードを落とさずに戻って来たブーメランをパシっとキャッチする。
「すっ……すごい!」
思わず声を上げた僕にピエールさんは気がついたらしく、顔を上げて不思議そうな顔をする。
「ん、アルボーイ。何処に行っていたのかい? ボクはもう目をつぶってでも、キャッチ出来る程には極めたぞ」
「早すぎですよ……! やっぱり才能あるじゃないですか!」
「フフ、もっと褒めても良いのだよ?」
「はい! それじゃあもう終わったんで帰りましょうか!」
「……え、なに、もう終わったの?」
──
ギルドに戻ってきた僕は、受付のお姉さんにクエスト用紙と切り取ったクマの耳を渡す。
それを受け取って、一通り確認したお姉さんは僕らを見て……ニコッと微笑んだ。
「はい! 『ジャイアントベア』の討伐を確認致しました! よって御二方のランクは『Eランク』となります! おめでとうございます!」
「はっ……はい! ありがとうございます!」
そっからお姉さんは、ランクが上がって出来るようになった事を色々と説明してくれたけど、僕はランクが上がった事実が嬉しすぎて、殆ど頭に入ってこなかった。
そして説明が終わると、お姉さんはクエストの報酬と冒険者カードを僕に渡す。
僕はそれらを受け取り……後ろで待っていたピエールさんに飛びついた。
「やったぁー!! Eランクになりましたよピエールさん! やりましたね!」
「いやボク何もしてないけど……お、おめでとう?」
「ピエールさんがいてくれたから、何とかなったんですよ!」
そして僕は受け取った袋から、お金を取り出す。
「それじゃあ報酬……半分あげます!」
「え、本当にいいのかい?」
「はい! 今回は僕が勝手に倒しちゃったけど……今度はしっかり2人でクエスト受けましょうね! きっと戦力になると思いますから!」
「……」
そう言うとピエールさんは、一瞬報酬を受け取るのを躊躇ったのだが……
「うん……そうだな!」
僕の顔を見て自信を持てたのか、僕の手のひらから報酬を取って、大事そうに握りしめるのだった。
「アルボーイ……いや、アルさん。ありがとう。君の足を引っ張らないように頑張るよ」
「へへ、頼りにしてますよ!」
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