閃光
ジェネの怒りに狂った声が僕に聞こえた瞬間。
「はぁぁっ! 【
「なっ……!?」
────シンが魔法を放ったのだ。
「ぐがぁっっつっ!?」
「……ッ!?」
そして瞼の裏からでも分かるほど光を感じる。まさかこの瞬間に目くらましを……!?
「アル、今だ。叩き込め!」
「えっ……!」
声を聞き僕がおそるおそる目を開くと、そこには蹲りのたうち回るジェネの姿があった。きっと光をモロに浴びたのだろう……可哀想に。
「何してる! 早くしろ!」
シンは焦ったように僕に言う。
「で、でも……」
「でもじゃねぇ! コイツはお前を殺そうとしたんだぞ!?」
いや、それはそうなんだけど……だからと言って僕が殺していいわけがないよ。それにこの人、色々勘違いしてるみたいだし……
でもここで逃げたら、また追いかけてきそうだしなぁ……それなら。
「とりあえずシン。縛って話を聞いてみようよ」
「はぁ……? お前はそれでいいのかよ」
「うん」
するとシンはまた大きなため息を吐いた後に
「仕方ねぇ……【ネオ・バインド】」
と唱えて、ジェネを鎖のようなもので縛りつけた。
「グッ……ガアぁっっ!!!!」
ジェネはしばらく暴れ続けたけれど、視力が戻ったのか、鎖を見るなり暴れるのを止めたのだった。
「ん……? あれ、どうしたんだろう」
「あれ、結構レベル高ぇやつだから。ちょっとやそっとじゃ抜け出せねーの」
シンがそう解説してくれた。それを一瞬で理解するジェネさんはすごいかもしれないけれども……
「あの……ジェネさん」
「……」
「すみません。こんなこと、僕だって本当はしたくないんですけど」
「……」
「あの。もしもし?」
「……」
急に動かなくなるのは困るよ。
「アル。一応言っておくが、ずっと縛っておくのは無理だからな」
「ああうん。それは分かってるよ」
当然、時間制限もあると……とりあえず話をしなくちゃな。
僕はなるべく優しい声を作って、ジェネさんに話しかけた。
「あのジェネさん……とりあえず誤解を解きたいんですけど」
「……せよ」
「えっ?」
「早く殺せよっ!! それとも何だ! 死ぬより酷いことする気か!? この悪魔め!!」
「いや、そんなことしないから!」
うーん……相当ビビってるみたいだ。これはどうにか落ち着かせないとな……あ、そうだ。
「じゃあ僕の代わりにシンが喋ってよ」
「ヤダよ、めんどくさい。それにコイツ俺の信者みたいだし何か気色悪い」
「まあそう言わずにさー」
そんな会話をしていると。ジェネがぎっとこっちを睨みつけて……
「お前……! まだシン様を愚弄する気か!?」
「え、まだ信じてなかったの?」
「当然だ……魔剣の正体がシン様など。そんなの有り得るわけが……!」
うん。まぁ信じたくないのは分かるよ……実際僕もそうなったしね。でも実際そうなんだから仕方ないじゃないか。
そんで、シンもこの状況に耐えきれなかったのか、困ったのか分からないけれど、ジェネに話しかけて……
「あー……ジェネだっけ。信じられないだろうけど、本当に俺がシン・クレイトンなんだ」
そう言ったんだ。
「僕は……信じないぞ。証拠も無しに!」
「ンなこと言ってもよぉ……俺が俺だと証明出来そうなモン持ってねーしなぁ」
困っているのか、シンは魔剣をピカピカさせる……ん? そんな機能あったのかお前!
そしてジェネは、このままだと話が進まない事を理解したのか、少しだけ折れてくれた。
「なら……そこまで言うなら。その剣がシン様だとするなら……どうしてシン様が魔剣になったんだ! あれだけ強かったのに!」
確かにそれは僕も気になる……でもシンは話してくれるだろうか。
そう思って、僕は魔剣をチラチラ見ると。
「ああ。それはアルがFラン卒業する時に話すって言ってた気がしたけど……まぁいいか。いつか話すつもりだったしよ」
「え、いいの?」
「ああ……つーか言わねぇとコイツ信じてくれねぇんだろ?」
僕は頷く。
そしてシンは「まぁ全然面白くねぇ話だけどな」と前置きしてから、昔の話を語り始めるのだった。
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