第3尾。美味しくなる秘訣。それは感謝の心。

『あんたの能力はね美味加速デリシャス・ブースト


美味加速デリシャス・ブースト?」


どんな能力なのかと思えば、何か名前からしてとんでもないガラクタを押し付けられた思った主人公。


だがそんな現実から逃げ、ひょっとすると強いんじゃね的な淡い期待を胸に抱き、BBAの話を聞く。


『この能力は使う人によって質を大きく変える。そしての能力さ。』


「熟成型?」


『要はレベリングしろってことさ。そして今のアンタの能力。それはレンジでチンで美味しくなる能力さ!!』



……淡い期待は打ち砕かれた。それはもう粉々に。期待のきの字の原型を留めてない程に。


彼は理解出来なかった。頭がファミコン程の容量しかない彼の頭は処理しきるまでに3分の時間を要した。


「クソッタレええ!!! 何がレンジでチンで美味しくなるだああ゛あ゛あ!!俺はコンビニの肉まんかよお゛お゛お゛!!」


彼はスマホを空高くぶん投げた。そしてスマホが空を舞う中、スマホめがけて鋏から波動砲を打った。


……それでも傷一つつかない爺Shock。さすが爺Shock。神の生んだ産物である。


『どうしたんだい!! まだ話は終わってないよ!! 聞きな!!』


「どうしたもこうしたもないだろヴが!! こちとら糞の役にも立たないガラクタ押し付けられて、騒がずには居られるかってんだ!!」


「俺は肉まんですかそうですか!! そんな肉まん能力早くクーリングオフして能力リセマラでもしてやるよクソBBA!」


『いい加減に……しなああ゛あ゛あ゛!! 耳越しで叫ぶんじゃないよ!! 話は最後まで聞くもんだよ!!』


さすがにうるさすぎたのか切れたクソBBA。彼に突如彼に落雷が落ちた。


――5分後


『話を聞くのかい? 聞かないのかい? ……返事は?』


「はい。聞きます……ずびませんでしだ。」


黒焦げになった主人公。そんな彼を差し置いてBBAは淡々と語る。



『いいかい? 美味しくなると言っても美味しくなるわけじゃない。これは美味しく調理されればするほどアンタは強くなる。そんな能力さ。』


「……つまりどういう事だよ?」


『つまりあんたの使える魔法。体質。アイテムや地形。色んなものを活かして自分で自分を調理するのさ。例えばアンタが熱湯の中に入れば熱湯の能力が一時的に使えるようになる。ついでに体温上昇して血行も良くなり代謝も上がる』


「なるほどな……」


『ただこの能力には致命的な欠点が一つあるのさ。自分で自分を料理するって事は自分で自分の体を傷つける事になる。いいかい? 決してやりすぎたような事はするんじゃないよ。』


「わかった。心得とくよ」


『そして二つ目。仲間と戦うとアンタは強くなる。仲間と食べる飯程美味しいだろ? つまりそういう事さ。仲間に料理してもらうってのも戦略の一つだから覚えとくんだよ!!』


『そして3つ。これで最後だ。これが1番大事だ。当たり前だけどね。食材への感謝の心。食材を作ってくれた人への感謝の心。料理を作ってくれた人への感謝の心。消して忘れるんじゃないよ!! いいね?』


「あぁ…怒鳴り散らして悪かった。婆さん。」


『私も悪かったよ。話す順序が悪かったよ。

話は以上だ。アンタの必要なポーション。アイテムは一通り持たせてあるよ。魔法の呪文とかもちゃんと頭の中にぶち込んどいたからね?忘れるんじゃないよ!!』


「あぁ……。ありがとな。ばあ――じゃないな。ワダツミさん。行ってきます!!」


『行ってらっしゃい!! 海斗! 何か詰まる事があったらすぐ連絡するんだよ!! スナックに戻って来たら承知しないからね!!』





彼の本当の冒険が今始まる!!






……to be a continued

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る