第2尾。俺の体エビになってんだけどどうしてくれるんですか
「あの野郎今度あったらぜってぇブッ飛ばす。……つかさっきから身体中が痛え……俺の身体こんなに硬かったか?」
まさか没シュート形式で落とされると思ってなかったであろう主人公。さすがBBA。発想の斜め後ろ一歩下がって四歩右に進んでくるりんぱした前を行く。
さて昭和のド●フ臭いのはともかく、ボリボリと頭をかく主人公。
身体の異変に気付いたのは僅か3秒後のことである。
「んぅ?」
「なんだこれ? 赤い…鋏?」
それは赤く夕焼けよりも紅い紅蓮の赤と黄ばんだ白のツートン。
それはそれは大きくゴツゴツした可愛らしい鋏が2つ。
「な゛ん゛じゃごり゛ゃあ゛あ゛あ゛!?」
余りの出来事に困惑して全ての発音が濁点になってしまった。
そんな動揺も束の間。地面が鳴り響く程の振動が彼を警戒させた。
「あ? 地震か?」
「まさか敵か!? 嘘だろ? 初っ端から難易度高すぎだろ……いやどう戦えばいいんだ!? ……鋏を使えってことか? えーっとなんか持ち物とかは」
自分の姿が変わろうが今はどうでもいい。
探せ、手段を――。
生きるために。
生きることが最優先だ――。
……ヴィーン、ヴィーン、ヴィーン、ヴィーン。
……スマホだった。しかもとびきりでかいバイブ音の奴。
「ス゛マ゛ホ゛の゛着信バイブがよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!! しかもBBAかよ!! 音でかすぎだろ!!」
彼は余りの惨状に思わずスマホぶん投げた。
投げた先には岩。大きな鼠色の岩。さすがにスマホでも岩に当たってしまえば一溜りもない。
「あっ……やべ」
と思った瞬間。
……岩にクレーターができた。
「スマホ硬丈夫すぎんだろ!! Gs●ockも青ざめるわ!!」
地面が沈む程の硬さ。落としてしまっても大丈夫。爺shock。電撃機能でおじいちゃんの肩を生き返らせます。49800円(税込)
君も一家に1台どうだろうか?
「はっ!とりあえずBBAからの電話出なきゃ!! アイツがスマホなんて持たすくらいだ。なんか重要な事なんだろ」
『はあぃごめすよぅん! あ・な・た♡』
「ぶえああア゛ッ」
余りのキモさに彼の口から黄色い閃光が天に向かって放たれた。
「キモイ声出すんじゃねぇ!! 全身の水分抜け出すとこだったわ!!」
『あ、あッらそうかい。……ブッブッフォ……腹痛ッ……フッ。』
「笑うな!! んでなんの要件だ?唯人の事をからかいに電話かけた訳じゃないんだろ。」
『あぁそうだったそうだった。とりあえず通話料高いからさっさと要件だけ言うよ。1回しか言わないからよく聞くんだよ!』
通話料気にするくらいならからかうのやめたらどうだ。と彼は言いたくなったが、長くなりそうなので気持ちを抑えた。
『まずアンタの姿についてだ。基本的に転生するには魂と空の身体がいるんだけどね。』
「でそれが何かあったのか?」
『…アンタの身体、アタシの昨日食べた伊勢海老の出汁柄にしちゃった!!てへぺろッ』
「てへぺろじゃねえええだろおおがああ!!!」
彼はスマホをメンコみたいに叩きつけた。スマホが沈んだ。(2回目)
『いやぁまさかゴミ出し用と転生用の袋間違えちゃうなんて……ねぇ?』
「ねぇ?じゃねえだろ!! どうやったらゴミと間違えるんだよ!? 人様の体はゴミ同然かよ!? ふざけんのもいい加減にしろよ!!」
『許してとは言えないよ。こればっかりは私のミスだ。すまないね。お詫びにとは言っては気が済まないかもしれないが、二足歩行にして、鋏付けて能力値と耐久力上げといたよ』
「…そうか。姿の事について突っ込みたい事は沢山あるが、今はいい。何せこっちに来たばっかりで色々と把握出来てない。それよりも今は能力について聞きたい。」
端末越しにBBAは自信に満ちた顔でニヤリと笑う。
『能力はね。少し使い方は難しいけどね。私の中で1番強いのをつけといたよ!』
「すまないが早く教えてくれ婆さん。ここ森のど真ん中だから何が起きてもおかしくないんだ。いつ魔物に遭遇してもいいように、なるべく早く頼む。」
とりあえず起こってしまった事は仕方がない。
どれだけ取り返しのつかない事が起きてしまっても、どんなに硬いものが砕けてしまっても、
この世は前を向いて泳ぎ続けるしかない。
止まってしまえば死んでしまう。
マグロのように。
……もがけ。もがき続けろ。海斗。
空から降る日の光を目指して。
そして今現在彼の身体は今、天界ゴミ処理場で燃やされている。そして彼の身体はまた別で活躍する事になるが、それはまた別の話。
さて今回の話はここまで。彼は果たしてどんな能力を手に入れるのか?
見た目は(ある意味)一級品。
果たして能力も一級品なのか……?
……to be a continued
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます