第1尾。没シュートで転生て新しいよね

それは目を覚ますというか、何というか我に返るという方が近い感じがした。




「ここは……店?」




『あらおきたのかい。スナック・ワダツミへいらっしゃい』




……長いテーブル席に紫の椅子が5つ。そして目の前に60代のBBA。




…紫のアフロにヒョウ柄のシャツ。どこにでもいる大阪のBBA。




金の角が2つ生えている事を除いて。




『まだアンタ若いのにねぇ…。大変だね。私の名前ワダツミ。ゴメス・ワダツミっていうの。んで、何しに来たのかいアンタ?』




「あっ……えっと……そのっ……ここって?」




『そう言えば言ってなかったね。ここはいわゆる世界の狭間と呼ばれる場所さ。

なんというか、世界の境目っていうもんなのかね。アンタら人間の魂の波止場。高速道路のPAって思ってくれたらわかりやすいかい?』




「なるほどわかりやすい……ってか魂ってさりげなく言ったよな?今ボソッと魂言ったよな!? 俺死んだの? え? 脳みそ処理しきれてないんだけど!?」




『ギャーギャー騒ぐんじゃないよ!! 水でも飲んで落ち着きな』




ゴンッ!と置かれたコップの衝撃で机にヒビが入り、クレーターが出来た。




「ヒッ」




『男がうじうじしてんじゃないよみっともない。担当直入に言うけど、アンタどうやら今さっき死んだようだね。今メニュー表に死因が書いてあったよ』






「いやメニュー表になんてもん書いてんだよ!! 人の死因とか書くなよプライバシーの侵害だろぉがBBA!!」




『ごちゃごちゃうっさいんだよ青二才が!! だから22にもなって童貞なんだよ!』




「童貞言うなや!! 悪くないやろ!!」




『へぇ……。アンタそういう趣味があったのかい。気持ち悪いねぇ』




メニュー表を見ながらニヤニヤ笑うワダツミ。




「うっせえ! 人の性癖にいちいち難癖つけんな!! 寄越せ。その表を寄越せBBA!!」












……2時間後






「はぁ……はぁ……やるじゃねぇかBBA……」




『あんたもなかなかなもんだったよ。人間にしてはやるね。アンタも。』




2人は固い握手を交わした。


……2人に妙な絆が芽生えた瞬間である。


相手はBBAと言えども神。当然人間の彼が勝てるはずもなく、彼の顔には無数のたんこぶが出来上がっており、顔が女性の胸の様に腫れ上がっている。




『んでアンタどうするのかい…?』




「どうするって?」




『何アレさ。アレ……アレだよアレ』




「アレってなんだよ」




『んーと……転生だよ転生』




「へ?」




『何って転生だよ。上の決まりでね、アンタ若いし理不尽な死に方したから、もっぺんチャンスをやるってことさ』




「え? 嘘ッ!? 俺やり直せんの?」




『って言ってもアンタの世界じゃ生き返らせれないけどねぇ。まぁただ特典があるだけマシな方だよ』




「……特典って?」




『USBメモリ8GB』




「要らねえぇぇぇぇッ!! てかどこで使うんだよ!! 異世界ってファンタジーだろうが!!

そんな電子機器どこで使うんだよ!!」


『何って……んなもんケツにでも刺しときな!』


「んなもん付けたら痔になるわ!!! データどころか赤い見せられない絵面が流出してまうだろうが!!」


『嘘嘘。冗談冗談。まったく若いモンは冗談通じないの多いねぇ』




「ガチトーンで言うからだろクソBBA!!」




『あー……んでどうするんだい?このまま天国に行くかやり直すかどっちなんだい!?』




「やり直してみるよ。ありがとな。婆さん。なんか俺行ける気がする!!」




『そうかい。男ならシャキッとしなシャキッと。んで特典なんだけどどうするんだい?』




「あぁそんなのいいよ。適当に付けといてくれていい。自給自足出来りゃいいし俺はひっそり暮らしてくから。」




『じゃ私のとっておき付けといてやるからね。向こうで確認しときな!!』




「おうよ!!」




『上から迎えが来るからそこで立って待っときな』




「おう。ここでいいのか?」



ほんわかした空気になりつつあるその時





……突如BBAがニヤリと笑った。




『かかったね馬鹿! 残念だったね!!』




「は?」




床がパカっと開くと、綺麗に落ちていった。


……まるで落とし穴にハマった純粋な少年のように。




「このクソBBAあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛がああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」




『馬鹿め!! 私はまだ60だよ!! ガハハハハ!』




……彼の目には最後までBBAのゲス顔が焼き付いていたという。














……to be a continued


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