第8話 会社(カンパニー)
帰って街の雰囲気が変わったことに気がついた。旅行に行って帰ってきた時の家がかわった感覚がするぐらいの感じ方だが、確実に変わっていた。明らかに動いている人々が多くなっていたのである。そうして街をまわっていると色々な話が聞こえる。その理由としてやはり日にちが経つにつれて慣れていたというのもあるのだがもう一つの理由が深刻だと思ってしまった。それは彼らが自らをプレイヤーと名乗っているからだ。これはゲームの世界にいるという意識を持っている人が多くなってしまっている証拠である。はじめてのモンスターとの戦闘でお互いが命を大事にしていてここはもはや現実であるという意識をもった僕とスイにとって複雑な心境であった。
そうした雰囲気の中で1ヶ月が経とうとしていた頃、この街ではいくつかの団体が出来ていった。やはり何も分からないこの世界では少数では生きて行けないと思ったのだろう。彼等はその団体を''会社''(カンパニー)
と呼ぶようになっていった。
「この世界にまできて会社ってなんか嫌な感じね」
スイは会社の拠点として購入されたビルを見ていた
「ま、まぁ2本の社畜教育は上手くいったんだな」
と風刺を効かせながら共感した。
"会社"には大きく2種類に分けられる。戦闘系と生産系の能力団体だ。一応、NPC(ホログラムのため触れないが)と思しき者から武器などの売買ができるが、それを個人でする方式が流行りだした。
その2つから少し細く見てみるとこうなる
戦闘系 自給自足型戦闘系(自社のメンバーだけ)
派遣型戦闘系(他の人に社員を派遣する)
生産系 製作系専門生産系
仕入れ専門生産系(買い取り、他会社に売る)
大体の詳細はこうである他にも特殊な物があるが、特殊がゆえ小規模であったり他にしている所が無かったりするので紹介は控えよう。
こうして街は繁栄してきたもののレベルがなかなか上がらない。お互いのレベルはやっと20といった所である。それは2人だけでなくほかも同じでレベル20で上の下といったところだ。まずまずな立ち位置に何とも言えないと思った。
「思ったんだけど、あのキザ男は何レベルなのかしら」
キザ男とは魁夢の事である。
「大体僕達と同じなんじゃないか」
と言ったものの確かに気になる。現に僕達より強いイメージがあるし、戦闘にも初期から慣れていた気がするからだ。彼の事を知らないまま行動していたがそろそろ知っておきたいところだ。
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