第3話 病を断つヒントをもらう


「ばかばかしい! 伝説の剣を使えるのは、勇者であるこのオレだけだ!」

「やってみなければわかないでしょう!」

 その口論を聞いていた魔法使いが、たまりかねたように口を挟んだ。

「伝説の剣は、サクンタラ神の賜ったものです。サクンタラ神に、許可をもらわねば」

「許可なんてもらえるものか。神は都合良く現れ、用が済んだらさっさと立ち去る、おまえのような魔法使いとは違う」

 カイエルは厳しい口調で言った。

 リープは、剣を小さな手で持った。ネズミが大きな剣を持つそのさまをみて、カイエルはおおっぴらに笑い転げていた。


サクンタラ神の石像は、長い髪が波打ち目は大きく、彫りの深い頬や高い鼻が印象的な神々しいものだった。サクンタラ神は、ネズミがやってくるのを認識したらしく、石像に光が宿った。

(わたしはサクンタラ。あなたがたが、困っていることは知っています)

 リープの頭の中に、声がとどろいた。圧倒的な迫力に、ネズミは一瞬、剣を取り落としそうになった。

「サクンタラ神……。どうか、お慈悲をもって、アンジェラ姫の病気を癒やしてください」

 リープは、かろうじて念じた。

(勇者カイエルのいうように、わたしは魔法使いではありません)

 サクンタラ神は、重々しく答えた。

(しかし、病を癒やそうというその気持に免じて、病を治すヒントをあげましょう)

「それは、なんでしょうか」

(最高の夏至祭をするのです)

 サクンタラ神は、光り輝き始めた。

(病は気から。わたしの役をしたい、とアンジェラが心から願うなら、病は身体から抜け出てしまいます)

「ありがとうございます!」

 リープは、元気よく、姫の部屋へもどっていった。


 

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