よそゆき用

「ちょっと見て。似合うかな」

香織はくるりと回ってみせた。

白いワンピースが太陽の光に照らされて、輝いて見えた。

「似合っているよ」

「結構高かったんだ」

バイト代が入ったから、よそゆき用に買ったんだという。僕とのデートのためか。そう思うと嬉しかった。


そして、月日が流れ、僕たちは結婚した。


電話が鳴っている。

「こんな時間に誰よ」

夕食どきの電話に妻は不機嫌な声を出した。

妻が電話に出る。

「あっらー、ようこー。久しぶりー。元気だったー」

妻の声が急に高くなった。


よそゆき用は、わかりやすい。

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