1-1 ゆうりリスタート1
--死んだと思っていた。いや死んだのだろう。
けれど気がつくと意識ははっきりしていて身体はどこも痛いところはなく視界には知らない天井が映る。
起き上がり、部屋一帯を見渡すと女物の服などがいいくつか脱ぎっぱなしになっていたり、開きっぱなしのクローゼットには可愛らしい服がたくさんかかっていた。そして僕が寝ていたベッドの横には小さい机があり、その上には僕が使っているのとは違う携帯が置いてあった。
どうやら女の子の部屋のようだ。
「え?ここどこ?病院なわけないし……ていうか今何時だ?」
机の上にある携帯をつけ、時刻を確認する。
9時40分、4月10日、土曜日。
よかった。会社は休みである。
と安心した時、ん?あれなんか僕の声高くない?
疑問を口にしたその声に僕は驚く。
その声は僕の知っている僕の声ではなく透き通った綺麗なーー女性の声だった。
「え……ええ?ちょ、え?」
ふと自分の身体に違和感を覚え、僕は自分の身体の至るところを触る。まず胸には男には無いはずの豊満な膨らみがあり、そして下腹部にはあるであろう男ならあるはずのものがないーーそんな違和感と女声という事実が僕を襲う。そうなればーー
「え……?女になってるううう!?」
そりゃ、叫ぶよね。うん叫ぶ。
僕がそれはもう大きな声で叫ぶと下からドン!と床を叩く音が聞こえる。
「お姉ちゃん!起きたなら寝ぼけてないで早く降りて来て!!」
これまた高い女の子のーーけれどどこか聞き覚えのあるような声が1階?から聞こえてくる。
お姉ちゃん?え?なに僕のこと?誰?どこかで聞いたことがある声だけど?
考えても仕方がない、そう思い僕は声の方に1階へと降りていく。
「はいはい、今行きますよー」
適当な返事で、少し警戒ながらも聞き覚えのある声に答えて部屋のドアを開けると階段がすぐ前に見えて、その下にいたーー先ほどの声の主はやはり僕の知っている人物だった。
「え?なんでみゆきちがいるの?」
「祐姉、まだ寝ぼけてるの?わたし達の家なんだからわたしがいるのは当たり前でしょ?」
いやいやいや、みゆきちは僕の後輩だよね?どうして一つ屋根の下にいるの?ん?
わたし達の家?
ーーややあって、僕はみゆきちこと
「なるほど、つまり僕はみゆきちの姉で僕の名前は
「うん、そうだよ。でもなんでそんな当たり前のことを今更しかも朝から聞くの?お姉ちゃん今日なんか変だよ?口調もなんだかおかしいし……」
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