牛乳

牛乳を飲んでると、ふと同じ大学の女性を思い出した。


宅飲みしてるときに彼女が悩みを打ち明けてきた。それは「自分の過去を説明するのに時間がかかってしまい辛い」というものだった。というのも彼女の両親は韓国人、しかし生まれ育ったのは日本という過去を持っていたからだった。彼女の中では「日本人」か「韓国人」かという考え方はなく、だからこそ人に説明するときには、他の人がかかるであろう時間の何倍もかかるらしい。


俺は机の上にある牛乳を近づけた。

多分だけど、これを「牛乳」っていうのは簡単だと思う。でも、違う考え方をすればこれを、机の上にある紙製の入れ物に入った飲み物で、豊潤な香りと滑らかな舌触りが特徴的。って説明することもできると思うんだ。自然と俺らは周りのものにラベルをつけることで簡単にものを説明しようとするけど、それって一方で悲しいことだとも思うんだよね。「〇〇(女性の名前)」は説明は大変かもしれないけど、過去に向き合ってきちんと話してるから俺は尊敬してるよ。


あのときの言葉が彼女が納得するものだったかは恥ずかしくて聞けないけれど、目の前の人を助ける仕事を始める彼女を見て、素晴らしい女性になるんだろうなと思っています。


ポーランドの牛乳の入れ物はプラスティック製です。

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