第5話 「新展開」
30代ぐらいだろうか?
大きな声で元気よく挨拶されたわりには華奢な体格に見えた
まぁ僕がどう見えるかは僕自身にもわからないのだが彼の場合は病弱!?
そんな表現がピッタリの印象だがその笑顔には優しさがあった。
「すみませんが僕は貴方が誰なのかわからないんですけど・・・」
僕が着てる服装から考えて明らかに年上であろうと思い丁寧な聞き方をしてみた。
彼は少し考えた様な素振りを一瞬、見せた後に
「君の様に死んでる人を初めて見たんで思わず嬉しくて・・・ごめん!
驚かせて悪かったね」と素直に謝罪してくれた。
やはり僕の方が彼の言葉からして年下なんだなと思いながら
「僕も初めてでとても嬉しいです!」
死んだ者同士が嬉しいって挨拶するのも変な話だが正直言って何だか安堵感があった。
これで孤独からは取り敢えず開放されたのだ!
「君の体を人がすり抜けて行くのが見えたんでもしかしたらと思って肩を叩いてみたんだけど触れて良かったよ!」
彼は嬉しそうに身振り手振りで話した後に
「驚かすつもりは本当になかったんだ」
顔の前で手を合わせる・・・
謝っているのだろうが拝まれている様にも見えるのはきっと僕が死者であると自覚しているからだろう。
なんか複雑な心境になる・・・
「ん!?」
心の中で声を出す!
僕はここに座り長い時間、テレビを観ていた・・・
歩き回っていたのはずっと前のことなのにいつから僕を見ていたと言うのだ?
僕が座っている場所は人が往来する場所ではないのだから・・・。
それに一瞬だけ答えを探すかの様な間があった。
「貴方はいつから霊となりこの世界におられるのですか?」
疑問を抱いた自分を気付かれまいと僕は慌てて彼に質問した!
「僕らが見てる世界がどんな世界なのかはわからないが今日が10日目になるよ・・・それで君はいつからここに?」
逆に質問を受けた。
「僕は今朝、目が覚めたらこの世界に・・・」
これまでの経緯を話す必要もないと思いワザと曖昧な感じで答えた。
「そうかぁ じゃあ神殿から送られて来た訳じゃないのかぁ」
「神殿・・・!?」
「何ですかそれは?」
立ち上がりながら続けて僕は彼に聞いた!
もしかして天国みたいなところ!?
僕と違う状況に彼の話を詳しく聞いてみたくなったのだ。
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