第4話 「疑問」

距離的に随分と歩いた様に思えるのだが?


あれからもう何時間、歩き回っただろうかと考えながらぼんやりと電気店の中でテレビを眺めていた。


どれだけ歩いても疲れないし、とっくにお昼は過ぎているのに空腹も感じないのは僕が死んでいるからなのかなぁ?

まるで他人事みたいに考えてる自分が可笑しく思えた。


今日は2019年の4月15日だとテレビを観てて知った・・・とは言っても記憶の無い僕にはそれが自分にとってどんな日なのかもわからないのでただ「ふ~ん・・・」で終わりだった。


考えてみれば何も自分の姿を映し出す物が無いので自分の顔さえもわからない・・・

どんな顔だったかも全く思い出せないのだ。


再度、財布の中身も丹念に調べてみたがお金以外はレシートや割引カードやスタンプカードで身分を証明する手掛かりになる物は何も無かった!


カード類を手掛かりにお店を廻ってみてわかったことは僕にとってこの街は初めて訪れる街ではないということだけだった。


それだけでも十分な収穫ではあるのだがこれで手掛かりが無くなったという失望感の方が大きくて途方に暮れていた。


人混みのする場所を歩いてみたが行き交う人々は皆んな僕をすり抜け通り過ぎて行く・・・

そこで単純な疑問が浮かんだ!?


何故、今朝は僕にぶつかった人がいたのか?


霊感が強いとか、そういうことなのだろうか?


疑問を確かめるかの様に人混みのする場所を選び何度も何度も繰り返し歩き回ってみたのだが誰にもぶつからなかった。


特別な霊感の持ち主は世間に

多くは存在しないのだと思えばそれが答えなのだろうが何となく納得ができずにテレビに映し出された映画が面白くて夢中で時間を潰し、終わった後もぼんやりと眺めていた。


今は退屈な番組に変わっている・・・その時だった!


「やっとみつけたよ!」


背後から両手でポンポンと力強く肩を叩かれて振り向いた。


見覚えが無いんですけど

一体・・・貴方は誰!?

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