第16話 『ロール』

三人は膝をつき合わせて座っている。


『……で、そのロールってのはつまり「配役」?』

デュマが訊ねた。


『そうだ。それが配役だ。魔法使いがこの世を作った時の記号だ。』

梅尊は煎餅を齧っている。


『魔法使いが?なら誰にでもあるんじゃないか?配役は。』

デュマも負けじと煎餅を頬張る。


『いや、ない。配役が付いているのは創設期のメンバーなんだ。魔法使いが世界を作った当時のね。』


『え!?じゃあ俺もそうなの?!』


『そうだよー。ははは!』

ローレライは細かく砕いて煎餅を食べている。


『ちなみに君のロール名教えたげよか?』

ローレライが言う。

『うん!教えて!うん!』


玩具の兵隊トイソルジャー


『ぶぁっっはっはっはっはっはっは!』

梅尊が唾と食べかすを撒き散らして笑う。


『玩具の兵隊で子供が遊ぶじゃない?いろんな設定つけたりして。玩具の兵隊ってなんにでもなれるんだよ!君の力は、!』



『なんだそれ!?すげーの?おれ。って言うか創設期とかもうよくわかんねーや。俺らは何回も生まれ変わってんの?』



『そうだ。その「生まれ変わり」の感覚はロールを持つものならある奴はある。私はこの彼のように。』

梅尊はローレライを指差した。


『時に君は、その目は?』


『うん、千里眼せんりがん。』


『なんと。……なるほどなるほど。なんと言う巡り合わせだ。』


梅尊はおもむろに立ち上がる。


『どしたんすかぁ?』

デュマはまだ煎餅を口一杯に頬張っている。



『墓参りだったね?』





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