第14話 肉湯術その③
デュマは一気に間合いを詰める。
得意の低空からの体制だ。
狙いは肩。
デュマは脇差しを梅尊の右肩に入れようとする。
『遅い。』
脇差しが既に梅尊の着衣に触れていたにも関わらず梅尊の棒のひと振りのスピードが勝り、デュマは吹っ飛ばされた。
ゆうに5メートルは転がった。
起き上がるも、デュマの右額は赤黒く腫れ上がっている。
(あの棒やべーぞ…)
『これは「天鋳《てんちゅう》」と言ってね。面が六角になったただ重いだけの棒なんだが中々どうして。その重さ45キロ。これを振れるのは僕だけかな。時に君、これで薙ぎ払われて死ななかったのも気を失わなかったのも君が初だよ。楽しめそうだ。』
そう言うと今度は梅尊が駆け寄った。
『むんっ』
天鋳を振り下ろす。
デュマは避け床はひしゃげた。
『うらぁぁあ!』
デュマは腹を狙い横薙ぎに切りつける。
が、着物を裂いただけだった。
『惜しい!』
梅尊はデュマの顎を蹴りあげる。
その蹴りのあまりの威力にデュマは一回転し床に打ち付けられた。
(どうしよう…、やばい…兵長のデブとは比べ物になんねえ…)
デュマは片ひざ立ちになる。
『デュマ!!』
ローレライは声をあげた。
『色を意識するんだ。君のイエローを。毛穴から噴き出させる感覚だ!』
(くそ、なに言ってんのかわかんねえ…。)
『相談はおわりかな?』
梅尊は天鋳をデュマの頭上に振り下ろす。
デュマは間一髪右腕で防ぐ。
が、耳障りな音と共に右前腕の骨が砕けた。
『あぁぁぁぁぁぁぁ!!』
『悪手だね。利き手を盾にするのは。』
『ん…ぐ!!』
一瞬の隙を突いてデュマ脇差しを持ち替え梅尊の右腿に脇差しを刺した。
梅尊は一瞬だけ苦悶をみえた。
『ぬん!』
梅尊は天鋳の柄でデュマの腹を突き、デュマは後方に飛んだ。
『デュマ!!』
『…はぁ……はぁ…一手返したぜ。』
デュマはうつ伏せのまま言う。。
『一手ねえ。』
梅尊は腿に刺さった脇差しを抜く。
血が溢れ、着物を染めていく。
梅尊は経を唱える。
左人差し指と中指が青く光っている。
その二本指を傷口に添えた。
なんと出血が止まった。
『悪いね。これが綾光寺の
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