第10話 日本《ニホン》へ

『……行け。このガキおまえの言うことが本当ならよもや軍服も来ていないお前らに構う者はいなかろう。』

太った男は生気なく言った。


『ありがとう、おじさん。』

ローレライは言った。


『…カージェスだ。』


『ありがとう、カージェスさん。行こう、デュマ。』


ローレライは合掌し、詠唱した。


喉元の刻印が光り、ヘイルが眼前に現れた。


『終わったのか?…乗れ。』

ヘイルは言い、二人はその背に飛び乗った。


飛び立つヘイルをカージェスは無言で見送った。


『愚かなり。』

眼下に広がる戦禍を見渡しヘイルは呟いた。


『たっけー…』

デュマはヘイルの背にしがみついている。


『あれ?高所恐怖症?』


『…るせー。てかニホンでヘイルこいつの倅の墓行ったら、そのあとどーすんだよ?』


『仲間を集めるよ。これから。』


『へー、大変だな。』


『デュマだけじゃ心許ないからね。』


『おい!なんで俺カウントされてんの!?』


『なーに言ってんの。ヘイル奪取にまで手ぇ貸しといて!君は過去では魔法使いの一人をやっつけた人間界のエースなんだからね!』


『お前前世も見えんのかよ!?ははぁ…俺が魔法使いをねぇ、てか前世にも魔法使いいたのか。』


『うん、前世にも前前世にも、僕らが倒さなきゃ来世にもいるよ。』


『お前、俺が仲間になるの分かってたんだよな?』


『勿論。』


『なら、改まった挨拶とかいらねーよな!よしいくぞ日本へー!!』

デュマは片手はしがみついたままガッツポーズした。


『はははははは!臆病デュマ!』











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