第5話 《《見える》》
その日の夕、ローレライ、デュマ、そして筋肉質の男(ユアダと言うらしい)はディナーに通された。
と言っても王や幹部たちがつくテーブルではなく給仕係や下級兵士たちが使う食堂だったが。
『すっげ!見てみろよ!こんな分厚い肉見たことねーよ!なぁ?ライ。』
『うん、いい匂いだね。』
『あ、わり、お前見えねえのか。』
二人の向かいに座るユアダは黙々と食事を口に運んでいる。
デュマもステーキにフォークを突き刺し、ナイフは使わず丸かぶりした。
『なぁ、一つ聞いていいか?』
デュマは隣に座るローレライに訊ねた。
『なあに?』
ローレライは盲目とは思えない手つきで器用に肉を切り分けている。
『お前俺の色が金色とか言ったじゃん?検査する前に。』
『うん、実際はイエローだったね。ごめんね。』
『いや、それはいいんだけど…お前超能力者?』
『…ええ?!』
ローレライは手を止め、デュマに向き直り笑った。
『いやいやだってさ、そうとしか思えねーよ、これから何があるかとかどうなるかとか分かってるっぽいこと次々言うじゃん!』
デュマは肉を租借しながら喋るので唾や残渣物が飛び散った。
『分かるんじゃなくて見えるだけ。』
ローレライはパンをちぎってバターを塗った。
『見える?』
『うん、頭に映像が流れ込むの。』
『それで俺の色当てたのか?』
『うん。デュマの瞳が金色っぽく変わるのは見えたんだけど、正直検査の兵士がイエローだって読み上げるところは飛ばして見ちゃったから「あ、デュマは金色なんだな」って。早とちりしちゃったの、ごめんね。』
『いや、謝ることじゃねーけどさ………でもそれってすごくね!?なぁ、あんたも思うだろ?!』
デュマはユアダに話しかけた。
『…』
ユアダは無視して食べ続けている。
デュマは構わず続けた。
『じゃあお前と俺が組んだら最強じゃね!?未来予知と、最強の兵士!あっはっはっは!』
『僕が「一番強い」って言ったの信じてくれたの?』
デュマは意地悪く笑った。
『そうゆうわけじゃねーけどよ!』
『でもデュマは最強になれることは間違いないよ。歴史が証明してるから。だから会いに来たんだから。』
『会いに来た?……歴史?なに言ってんのお前?』
その時ユアダが突然立ち上がった。
『ごめん、敵が来る。』
ローレライはデュマの手を引いた。
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