第3話 提案します
門が閉まる。
デュマは場内を見渡し、膝が笑いそうになった。
圧倒された。
延々と続く紅色の絨毯、大理石の床、その床を強く踏み鳴らせば何十倍の音になって返すのかと思わせるような天井。
デュマが戦慄いている間にも、ちらほらと若者は城内へ入ってくる。
そこへローレライの姿。
『ライ!!お前も色があったのか!?』
『うん、僕はマゼンタだってさ。』
ローレライは笑った。
『やったなー!これで俺らリオの兵隊だぜ!』『いや、まだみたいよ?』
『え?』
『その通り!諸君、まずは三原色検査の通過おめでとう。これより体力測定を行う。おお、ちょうど人数は偶数だな。』
デュマの背後には先程の兵たちの上官とおぼしき太った男が立っていた。
確かに出発前には十数名いた若者が、二人を含め六人に減っている。
『早速だ。よし、ついてきなさい。』
太った男は歩きだし、階段を下りた。
皆無言で付いていく。
地下はコンクリートにかこまれたグレー一色だった。
『ここで闘ってもらう!ペアになりなさい。』
『え?』
ローレライ以外の五人は一様に狼狽え、お互いの顔を盗み見た。
『ちょ、もしかして勝った人間だけしか残れないパターンですか?』
一人の若者が言った。
『いや、そうじゃない。同じ負けるにしても負け方、勝つにしても勝ち方がある。それを見せてくれ。』
太った男は笑いながら、なくなりかけている顎を擦った。
『あのー』
そこでローレライが手を上げた。
『なんだね。』
太った男はローレライを促した。
『提案ですけど、勝ち抜き戦にしません?一番強いのはこのデュマ君なんで。』
『なっ!おまっ!!…』
デュマはローレライを睨み絶句した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます