第2話 身体検査

若者は次々荷台から下ろされた。


城の庭は広かった。


眼前にはリオダール城が聳え立つ。


『まずは一例になれ!身体検査からだ!』

先程の甲冑の兵は言った。



『身体検査かよ。いい年して。そう思うだろ?思わねえ?』

金髪の男は少年に言った。


『あっ、そう言えば俺はデュマ。お前は?』

金髪の男は言った。


『ローレライだよ。』

少年は言った。


『なんか語呂わりーからライって呼ぶわ。いい?いいよな?!』

デュマは言った。



『そこの金髪!お前だ!』

デュマ兵士に促され、体重計に乗った。

『次は身長だ、行けっ。次、そこのチビ!』

ローレライを指して兵は言った。


『なんだ貴様、目が見えないのか?』

『そうですよ。へへへ。』

ローレライは体重計に乗った。

『なに笑ってやがる。まあいい。爆薬作りにくらい使えるだろ。』


一通り身体検査が終わった。


『お前身長体重いくつ?』

デュマがローレライに訊ねた。


『159の51』

『うわ、ちっさ!子供じゃん!』

『子供だよ、まだ16だもんね。』

『いや微妙だよ子供を自称するには。俺の二個下じゃんか。』

『デュマは身長体重いくつなの?』

『182の70だぜイェー!』

『デュマってガタイいいんだね!それでなんて凄いじゃん!』


『…は?金?どっちかっつーと俺は肌黒いぜ?』


『次!!原色検査!』

忙しなく兵に促される。


『原色?』

デュマはこぼした。


城のちょうど玄関前に集められた若者たち。


『これからお前らの「色」を見る。シアン、マゼンタ、イエローのどれかに分類された奴は城の中に入れ。無職の者は帰っていい。』

その一言を聞き安堵の声を漏らすものがちらほら。


しかしデュマは

『ここまで来て追い返されるのかよ!?』

『デュマは志願したの?』

『あたりめーだよ!俺はリオの兵隊になって召喚獣扱うのが夢なんだ!』

『…大丈夫だよ、ここでデュマはイエローって言われる。』


『最初!金髪の黒んぼ!』

デュマは呼ばれ、兵に乱暴に頭を捕まれ顎上げられた。


『お、おい!おい!なにすんの?!なに!?』

デュマは狼狽える。

『じっとしろ!』

兵はデュマの眼球に小瓶から滴を垂らした。


『あっちぃぃぃ!!!あぁぁぁぁぁあ!!』

デュマは叫ぶ。


『静かに!!目を見せろ!』


『よし!イエロー!』

デュマはヨロつきながら中へ通された。





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