第7話 朝のお約束

 朝。

 気がつけば目が覚めていた。


(朝か……)


 見渡せば、馴染みの無い部屋に、馴染みのある品物の数々。


(ほんとうに、帰ってきたんだな)


 ゆっちゃんのところに帰って来たことを実感する。


 とりあえず、顔を洗おうと、洗面所に出向いたのだが、そこには。


「え、みっくん?」


 タオル一枚で覆われただけの、ゆっちゃんの姿。

 ゆっちゃんの胸は大きくはないけど、張りがあって、まだ幼さの残る

 彼女の顔立ちと相まって、不思議な色っぽさがある。

 って、そうじゃない。


「ゆっちゃん。な、なんで」

「な、なんでって、それは朝シャンで……」


 初耳だが、女の子だとそういうこともあるんだろう。

 と、その前に謝らないと。


「ご、ごめん。覗くとかそういうつもりじゃなくて」

「それはわかってるから。そ、その早く出てって!」


 あわてて、洗面所の扉を閉める。


(びっくりした……)


 それにしても、こんなお約束を俺が経験するとは。

 しばらく、あの姿が焼き付いて離れそうにない。


 昨日はあんなに落ち着いた一日だったというのに、

 やっぱり俺は思春期の男だったらしい。


 そんなことを実感した、朝の一幕だった。

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