第74話 アルン動乱
88×0.2×4=70.4
40+30=70
よし……魔力は2割まで回復した……いける!
『さて、勇者の血の味を愉――』
「《転移》!!」
『ぬっ?』
くっ、意識が――。
「負けるな!」「自分に勝て!」「強い意志で!」「生きなさい!」
みんなの声援が聴こえた気がした――。
最後の気力を振り絞る!
「《
2秒!!
あの時、どうして2秒だけ残そうと思ったのかわからないけど、今はこの2秒に全てを託す!
「《
グスカを仰向けにし、その上に馬乗りになる。
下へ、重力を応援するように全力で加速する!!
『――空?
「負けるかぁー!!」
黒い翼を生やしたグスカが、静止しようと大きく2度羽ばたく。
しかし、容赦なく増した加速度がそれを許さない!
『
「いけーっ!!」
ドドンッ!!
ボクが《転移》したのは、グスカの居城の真上、およそ100m。
そこから落下した先にあるのは、城の尖塔から伸びる3mほどの突起だ。
それに身体を貫かれ激しくもがくグスカを、ボクは
腹部の傷口から黒い霧を発し、口元をどす黒い血で濡らして
ボクは《
ガンッ!
全力で頭部を打ち抜いた。
可愛い子どもの顔に
でも、ここでボクが負けたら世界は滅ぶんだ! 皆が死んじゃうんだ!
ガンッ! ガンッ! ガンッ!!
涙を我慢する余力はなかった――。
ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ!!
何度も何度も、何度も腕を振り抜いた。
気づいたときには、巨大な魔結晶と魔法書が落ちていた――。
《闇魔法/上級》
メルちゃん、喜ぶかな……。
いや……怒るよね、絶対に。
薄れゆく意識の中、ボクは城の尖塔から転げ落ち、身体を
あれから何時間眠っていただろう。
回復した分の魔力と手持ちのポーションで、骨折した両足と肋骨、左手を治した。
動けるようにはなったけど、身体中がまだ痛む。
そうだ!
スノーとスカイは!?
「スノー、スカイ! お願い、出てきて!」
……
死んじゃうんだ――。
精霊召喚とは違うんだ。もう、君たちには会えないんだね。
また、涙が止まらなくなった。
ボクが殺した。あそこで無理に召喚しなければ良かった。取り返しのつかないことをした。本当にごめん、ごめんなさい、ごめんなさい!!
新たに別の召喚獣を呼び出すことはできるかもしれないけど、今はそんな心境じゃなかった。
日が沈む。
長い1日が終わる。
アルン王都までどのくらいあるのだろう。歩いて行くしかないよね――。
★☆★
地平線の彼方に王都が見えてくるまで、ボクは丸2日間、徹夜で歩き続けた。
そして、召喚から43日目の昼、ぼろぼろのボクはアルン王国の王都に辿り着いた。
王都は、まるで誰も居ないかのように、静寂に満ちていた――。
何があったの?
アルン王都は陥落していた。
建物は見る影もなく、至る所で残骸が燻っている。
みんなは、どこ!?
まさか……まさか、まさか、まさか! まさか!!
疲れ果てた身体を酷使して走る!
居るとしたら、王宮か、ギルドだ!
あっ……!
ボクの目の前には焼け落ちたギルドがあった。冒険者だろうか……たくさんの死体があった。
ボクの大切な仲間たちも……まさか……。
積み上げられたそれらの中には……居なかった。
王宮へ行こう。
王宮は案外すぐに見つけられた。
破壊されたとはいえ、巨大な天蓋のドームが未だにその存在感を放っていたからだ。
きっとみんなは、あそこに避難しているに違いない!
ボクの心の天秤は、期待と恐怖の間をひたすら揺れ動いていた。
王宮の前に立つ。
これは……人間の戦争ではない……魔物の襲撃だ。破壊の質が違う。
人間への憎しみか、破壊への快楽か――。
“徹底的”といえるまでの崩壊に、まるで心臓を鷲掴みされたかのような戦慄が過る。
瓦礫を掻き分けて進む。
死体を掻き分けて捜す。
仲間は、ボクの大切な仲間たちはどこに行った!
誰も居ない……不安が襲う、恐怖が増大する。
ボクはまた間違えたの? 皆で王都に行き、魔物と戦うべきだったの? また取り返しがつかない過ちを繰り返したの? 悲しみに打ちひしがれる。
もう、死にたい――。
「リンネ様?」
「!!」
「リンネ様!!」
王宮の片隅から見慣れた狐耳が跳ね寄る。
「クルンちゃん!! ありがとう!! 生きていてくれて、本当にありがとう!!」
「リンネ様! 大丈夫です! 大丈夫です!
みんな、生きてるです! 無事です!!」
「!! よがだあぁあぁぁぁ~……」
もう、言葉にならないくらい嬉しかった――。
叱られてもいい、殴られてもいい、早く会いたい。みんなに会いたい!! 抱き締めたい!!
ボクはそのまま泣き崩れて、意識を失った――。
★☆★
「リンネ様、目が覚めたです?」
「あっ……ボクは寝ちゃったんだ。ごめん。
えっと……みんなはどこに……居るの?」
「ここに居ないです。移動したです」
王都の瓦礫の上でボクは寝ていたみたい。
徹夜で歩き続けた身体的な疲労と緊張続きだったことによる精神的な消耗――既に限界を超えていた。
もふもふ尻尾枕とお別れしたボクに、クルンちゃんは何があったのかを教えてくれた。
ボクがグスカを討つためにスカイに乗って飛び立つとき、実はみんなは起きていたそうだ。
でも、ボクを引き留めず、信じて行かせてくれた。クルンちゃんの占いで、ボクがグスカを倒すことを知っていたからだ。それでも、皆は不安で震えていたらしい。
他にも占いでわかったことがあった。
それは、これからアルン王都に魔物の大軍が攻め込むこと――。
翌朝、アルン王都に辿り着いたみんなが目にしたのは、壊滅した王都とたくさんの死体だった。
既に魔物の姿はなかった。
レオン皇子と、臨時政権を担う
運よく生き延びた者から聞かされたのは、想像を絶する悪夢だった。
推定500体ものヴァンパイアによる奇襲――既に主力を失っていた王国防衛軍は、なす統べなく蹂躙された。
レオン皇子は彼らの遺志を継ぎ、果敢にも抵抗を続けた。すると、まるで夕陽の光に神の力が宿ったかのように、ヴァンパイアの大軍が突如焼失したそうだ。
生き延びた民を引き連れて、レオン王子は西の副都ニューアルンへと避難して行った。
それを聞いたメルちゃんたちは、レオン皇子を追うようにして西に向かったそうだ。
それがちょうど昨日の話。
クルンちゃんは、ボクが今日王都に到着することを占いで知り、1人で王都に残っていたらしい。
「ヴァンパイアがアルンにも? ボクがもっと早くグスカを倒せていたら、たくさんの人が死なずに済んだのに――」
「リンネ様、違うです。グスカを倒したから皇子は助かったです。たくさんの人が助かったです。間違いないです」
「それでも――」
「リンネ様! レン様から手紙を預かったです」
「レンちゃんから?」
ボクはクルンちゃんから手紙を受け取った。
読むのが怖い。
手紙を持つ手が震える。でも、今すぐ読むべきだと第六感が叫ぶ。震える手を叱りつけ、ボクは勇気を振り絞って手紙を開いた――。
『リンネちゃんへ
言いたいこと、たっくさんあるけど、1番はこれ。
今すぐフリーバレイでのことを誤りたい。あたしの方がバカだった。ごめんなさい!
勇気がなくて、直接言えなくて本当にごめんなさい!!
実は、彼らは既に眷属化が始まっていた。
それで、自らの手で命を絶ちたいと言って自殺しようとしたんだ。あたしは、その意志を尊重したかった。だから回復魔法は必要ないって思った。
でも、間違ってた。彼らは最期に人の優しさに触れる機会を与えられた。それをあたしが奪うところだった!
彼らはきっと天国からリンネちゃんを応援してるよ。あたしたちは、リンネちゃんのすぐ隣から応援できるから幸せだね。みんなリンネちゃんの味方だから、もう悩まないで。一緒に頑張って日本に帰ろうね。
永遠の親友、レンより。』
言葉に表せない感情ってあるよね。
ボクは、何度も何度も、何度も読み返した。レンちゃんの言葉から伝わるのは優しさ、湧き起こるのは勇気――。
何があってもみんなが味方でいてくれる。あんなにケンカしたのに、親友だって言ってくれる。こんなバカなボクを応援してくれる。それだけで十分、ボクは頑張れるよ。
「リンネ様?」
「ごめん、クルンちゃんもボクたちの仲間で親友なんだから、もう様なんて付けないで。同級生だし、“ちゃん”がいいな!」
「わかりましたです! 同じこと、何度もみなさんに言われたです。でも、リンネ様……ちゃんが言うなら直すです。リンネちゃん様はいつも正しいです。クルンは、リンネちゃん様が大好きです」
「この可愛い子は! もぅ、こうしてやるっ!」
「ひゃあ~!!」
ボクは逃げる狐っ娘を捕まえて全身こちょこちょの刑を実行した。
「クルンちゃん、ボクたちはどうすれば良い?」
「ニューアルンでみなさんが待ってるです。でも、不吉です。危ないです。急ぐです」
「行こう!!」
ボクは、静かに瞳を閉じて集中する。
指環を握りしめて作った左の拳を胸に合わせる。指環と魂を重ね合わせるように、スノーとスカイに再び逢いたいと強く願う。
一陣の風がボクたちを撫でるように、魂が共鳴しているかのように吹き抜ける。
左腕を伸ばし、指先を真っ直ぐに突き出す!
「親愛なる竜たちよ! 友として、再び請い願う! ボクに力を貸して!!」
指環から湧き出た光の奔流は、やがて地上と空中に巨大な魔法陣を描き出す。
光が一際大きく煌めいた瞬間、そこから2匹の光り輝くドラゴンが現れた。切断されたはずの首には、赤と青のリボンが結ばれていた――。
「スノー!! スカイ!!」
2匹のドラゴンは甘えるようにボクにすり寄ってくる。綺麗な瞳は、こころなしか潤んでいるようにも見えた。
クルンちゃんが何やらドラゴンたちと話をしている。凄く気になるけど、今ボクにできることは、これだけ――。
「ありがとう! ありがとう!!」
ボクは、強く、強く抱き締めた。
★☆★
ボクとクルンちゃんはスカイに乗って一路ニューアルンを目指した。
ボクの興奮が伝わったかのように、スカイは力強く飛んだ。
ニューアルンまでは馬車で2日の行程だけど、この調子なら5時間も掛からずに到着するだろう。
もしかしたら、メルちゃんたちに途中で追いつけるかもしれない。
『シュルル!』
「リンネちゃん様! 馬車です! 見えたです!」
「ほんとだ! クルンちゃん、様はいらないよ!」
「はいです!」
前方500mほど先に、砂塵を巻き上げながら疾走する見慣れた馬車が見えた。追いついた!
「スカイ、お願いね」
『シュルルルッ!』
わかってると言わんばかりに強く羽ばたいたスカイは、馬車を通り過ぎた街道沿いに着地し、ボクたちを優しく降ろしてくれた。
「ありがとう!! ゆっくり休んでね」
『シュルルッ!』
翼を撫でてあげてから指環に戻す。
みんなに会えると思った途端、凄く緊張してきた。何を話せば良いのかわからないよ。どうしよう――。
馬車はボクたちに気づいたようで、徐々に速度を緩め始めた。
見慣れた馭者さんの笑顔が見える。窓からアユナちゃんが手を振っている。レンちゃんが恥ずかしそうに顔を出したり引っ込めたりしている。
「ただいま!!」
こんな言葉しか思い付かなかった。でも、精一杯の笑顔で言えたよ。
「「「おかえりなさい!!」」」
何でもないやり取りが嬉しかった。
ボクは無意識に走り出していた。
「ごめんなさい!!」
止まった馬車からみんなが飛び出してきた!
誰も何も言わず、泣きながら抱き締め合った。
何を話せば良いのかなんて考える必要無かったね。だって、ボクたちにはもう言葉なんていらないんだから!
みんなが生きているだけで、こんなにも幸せなんだ! 幸せってとても身近なところにあるんだね! 見落としていたよ。
ボクたちは馬車の中でたくさんの話をした。何日間も溜め込んだ話題をみんなが吐き出していった。
くだらない話で笑いあい、辛い話で涙を共有した。勿論、ミルフェちゃんからの親書の話とか、真面目な話もちゃんとしたよ!
ボクはやっぱり、このみんなが大好き。みんなに出会えて本当に良かった!
「レンちゃん、お手紙ありがと。泣いちゃったよ!」
「うへ~! 恥ずかしい! でも、あたしも書きながら泣いてたし」
「うん、鼻水がたくさん付いてた!」
「嘘!?」
「あはは、冗談! でもね、『謝りたい』が『誤りたい』になってた。この人、本当に謝る気あるの!?って、思った!!」
「また~! それも嘘でしょ!!」
「今度は、ホント!! あはははっ!!」
「ごめ~ん! 今謝ったから許して? あはっ!」
「うん! ボクも、ごめ~ん! ふふふっ!」
「リンネちゃん、そんなことよりニューアルンに着いたらまずはお風呂だね!」
「あ、やっぱり臭い!? ご……ごめんなさい……」
2時間後、ボクたちはニューアルンに到着した。
ギルドを訪れてすぐ、全員でお風呂に入った。勿論、馭者さんは別だけど――。
久しぶりのみんなとのお風呂は本当に楽しかった。クルンちゃんってば、耳と尻尾以外は全く人間と同じでつるつるなんだよね。アユナちゃんの羽も洗わせてもらえたし。やっぱり純白じゃないと天使じゃない。堕天使になっちゃう。
次はボクがごしごしと洗われる番だった。グスカと戦う前日に入って以来だから、ヤバいことになっていたかもしれない。
さらさら感を取り戻した髪を、メルちゃんがポニテに結んでくれた。よし、気合いが入った!
「さぁ、レオン皇子に会いに行くよ! クルンちゃんが不吉な占いが出たって言ってるから、気をつけようね」
「「「はいっ!!」」」
★☆★
副都ニューアルンでは暴動が起きていた。
レオン王子が避難させた王都の住民とニューアルン市民間のいざこざが原因だった。グスカに殺された兵士たちへの賠償も無いまま、大量の物資が徴収されたからだ。
「レオンを出せ!」
「役立たずの皇子を捕らえろ!」
「レオンを魔族に引き渡すんだ!」
「俺は、王都の民を魔物から救って凱旋したんだぞ! 俺が剣をかざすと、吸血鬼どもは焼けて灰になったんだ! 俺は神に選ばれた英雄だ!」
市長の屋敷を取り囲む市民たちに、レオン皇子はいかに自分が凄いのかを訴えている。
「あれ? リンネちゃんがグスカを倒したからヴァンパイアがぜ~んぶ消えたんだよね! あのイケメン皇子、私はだいっきらい!!」
イケメン好きのアユナちゃんが珍しくぷりぷり怒っていらっしゃる。
「英雄ならこんな所に居ないで戦え!」
「お前のせいで魔物が攻めてきたんだ!」
「神の加護があるなら今、見せろよ!」
「ぐっ! 次は俺はお前らを助けないからな!!」
レオン皇子ってこんな人だったっけ?
ヴェローナに操られて西の勇者をしていた頃の方がまだマシな気がする。
「リンネさん、とにかく皇子にミルフェ王女からの親書を渡しましょう!」
ボクたちは暴徒に成り済まして屋敷に近づき、そのまま侵入することに成功した。途中、怪しまれないようにレオン皇子の悪口を大声で叫んだのはご愛嬌。
屋敷に入ると、使用人を捕まえて事情を説明し、市長を交えて皇子との話し合いの機会を得た。
「ミルフィール王女が国王か。それにしてもだ、このタイミングで同盟などしてみろ。俺が自力で何もできないと、民に暴露するようなものだ」
「なら、先にこの状況を何とかすればいいでしょ!」
「俺が得た神の力を見せられれば良いのだがな、まだ上手く使いこなせないのだ!」
いや、さっきあんたの側近から聞いたけど、ヴァンパイアが攻めてきてからずっと王宮内を逃げ回ってたそうじゃないの。この人、ダメだ――。
「良い案を思いついたぞ! 紙とペンを貸せ!」
「え?」
「英雄たる俺がミルフェ新国王を妻に迎えてロンダルシア帝国を作る! レオン皇帝の誕生だ。それから、お前たちは全て側室に迎えてやる。勇者が英雄の子を産むんだ、これで世界は安泰だな!!」
レオンはミルフェちゃんのお兄さんより危ないね。メルちゃん、メイスの素振りは外でお願い!
「話にならないわ。レオン、あなた自身の目でこの国を、世界を見てよ! 人々がどれだけ苦しんでいるのか。ボクは、貴方がミルフェちゃんに相応しいなんて全く思わない!」
「勇者リンネ! たとえ命の恩人だとしても、侮辱は許さないぞ!」
「いいえ。何度でも言う。あなたには世界どころか、この国も救えない! それを知っているからこそ、誰も貴方には従わないの!」
「俺は神に――」
「違います! それはリンネさんが魔人グスカを倒したから、眷属たるヴァンパイアが焼失したのです。アルンを救うため、リンネさんはたった1人で魔人の居城に向かった! 貴方にはそれができますか? 皇子とて、勇者リンネを侮辱することは許しませんよ!!」
「魔人を、1人で倒しただと?」
怒ってるアイちゃん、迫力凄い。
その時、ドタバタと数名が部屋に駆け込んできた。
「皇子! 市民が屋敷に雪崩れ込んできます。私も市長として、これ以上は貴方を庇いだてできません」
市長に命じられた衛兵が、即座にレオン王子を捕縛する。これはもう、革命だよね!?
「市長さん、待ってください! ボクに、市民と話をする機会をください!」
また考えなしに言っちゃった! 誰か、バトンタッチ!
って、全員目を背けること無いじゃん! もぅ、わかりましたよっ!!
★☆★
「市民のみなさん! ボクは、フリージア王国から来ました、勇者リンネです!!」
勇者という単語で場が静まり返る。大丈夫、さっき一緒に皇子を罵ってた姿は見られてない。
「アルン王国を苦しめた魔人グスカは、ボクが倒しました!!」
全員が唖然としている。そりゃ、こんな小娘が魔人を倒したなんて、誰も信じないよね。
ならば見せてやろう。魔力を練る、練る……練る!!
「天を翔ける雷の竜!《
半径20mもの巨雷が町の外に落ちる!
闇が切り裂かれるほどの途轍も無い光量と爆風が、遠く離れたここにも届く!
「ボクはこの力を、世界を救うために惜しみません! でも、こんな力では、絶対に世界を救うことはできません!」
場に動揺が走る。
「でも! みんなが手を取り合って1つになれば、奇跡を起こせます! 繋いだ手の数だけ力が湧くのです! だから、今こそ東西両国がまとまり、協力するときです! そして、平和な、幸せな世界を作り上げましょう! さぁ、手を繋いで、新しい時代を始めましょう!」
精一杯の笑顔と可愛いポーズで言い切る!
すると、ボクの左右に仲間たちが集まり、力強く手を繋いでくれた!
大歓声が徐々に1つに纏まっていく。
広場に集まった市民が互いに手を繋ぎ合い、世界を救うぞ、新時代を切り開くぞという力強い大合唱が鳴り響く!!
はっきり言って、強力な魔法なんかより、綺麗に飾りつけた言葉なんかより、美少女の笑顔の方が効果があるんだよ。
うん、実は知っていた――。
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