最終話 俺はお前の彼女! そしてお前の兄だ!
「ま〜さと! おっはよ〜!」
「ああ…… おはよう」
優花と会うと昨日のキスが鮮明に蘇ってくる。そして昨日の最後のあの言葉が………
「放課後…… 屋上で待ってるからね💕」
「…………」
俺はその日の授業がまったく頭に入らなかった。それどころか、ついつい優花の方に目がいってしまう。そして優花が微笑みかけてくると慌てて目をそらす。
(はぁ〜 なんか前と立場が逆だなぁ……)
前までは優花が俺に言いよってきていた。俺は心底うんざりしていた。でもまだ捨てきれない恋心があったのかもしれない。俺は知らぬ間にいつしか優花を意識していた。口ではああ言ってても、からかわれる毎日を楽しんでいたのかもしれない。そして今日の放課後。その日常は終わりを告げるのだろうか? それとも………
(くっそ〜 ドキドキ💓が止まんねえな)
もう一度振られたら? 嫌われたら? 学校中の話題になったら? なんて不安が俺の頭を横切っていく。
(でも…… 始めたのは俺だ! 終わりも俺じゃなきゃだめだろ!」
俺は決心して、放課後1人屋上に向かった。
◾️◆◇
「ふふふ。来てくれたんだ? てっきり帰っちゃうかと思ったよ」
「そ、そんなわけないだろ? 俺は約束は守るしな」
「へへへ。やっぱり私の好きな将人はさすがだね❤️」
好きなか。それについては言いたいことがたくさんある。じゃあなぜ俺を振ったんだ? しかもなんで俺にくっついてくる? なぜデートに誘ったんだ? 俺の頭の中で疑問が回る。
「優花。俺はお前に聞きたいことがたくさんある……!」
「ふふふ。そうだね。じゃあ一つ。一つだけ答えてあげる」
「一つ………」
俺の中で質問は決まっていた。
「お前は…… 俺のことが好きか?」
「……………」
沈黙が続く。風の音しか聞こえない。でも俺は答えを求めて待ち続けた。そして優花が口を開いた。
「私は…… 好きだよ💕 将人。あの時も。もっと前からも」
「そうか………」
俺は嬉しいのだろうか? それとも悲しいのだろうか? なんとも言えない気持ちが心の中を渦巻いていく。
「ごめんね🙏 あの時は振っちゃって。私…… 自分に自信がなかったの。でもずっと後悔してた……」
優花の目から涙がこぼれ落ちる。
「でもね。これだけは確か。私は将人が好き💕 この事実だけは本当のこと。だから…… ごめんね。この前振ったこと。許してもらおうなんて思ってないけど。私は将人のこと…… 大好き❤だから!」
「…………」
自然と俺の目からも涙がこぼれ落ちる。そうか。俺は何1人で思いつめてたんだ。優花だってこんなにも………
「将人…… 私と。私と付き合ってくれませんか?」
「………よろこんで!」
お互いの気持ちが伝わらなかったからこうなってしまった。俺は思う。やはり相手の気持ちを知るのは大事なことだ。
「ふふふ。私たち。ついに恋人同士になっちゃったね❤️」
「ん? 何かおかしいか?」
「そんなことないよ。大好きだよ。将人💕」
もう1度キスをする。この前とは違う。お互いの愛情が溢れ出ているキスだ。あま〜い味がする。これがほんとの恋なのかなぁ?
「そういえば私も聞きたいことが……」
「ん? なんだ?」
「この前、妹ちゃんとデートしたらしいね?」
「え⁉︎ ま、まあ…… い、一緒に出かけただけだ」
な、なんで知ってるんだ⁉︎
「ぶっちゃけ…… 私と妹ちゃん。どっちがよかった?」
「え、え〜っと…… それは……」
◾️◆◇
「ただいま〜!」
いつも通りの家の中。そして、いつも通りの返事をしない妹。いつも通りの日常だ。でも俺の何かが少し変わったような気がする。
「あっ! お兄ちゃん! おかえりなさい」
「ただいま!」
俺は妹を見つけると、上機嫌にあいさつをする。
「テンション高いけど、何かあったの?」
「ん? 気になるか?」
「べ、別に…… そ、そんな気にならないけど? で、でもお兄ちゃんが聞いてほしいなら。どうしても聞いてほしいなら聞こうかなぁって」
「ふふ。そうか……」
相変わらず素直になれない妹だ。
「実は俺…… 優花と付き合うことになりました!」
「……え⁉︎ え〜⁉︎」
◾️◆◇
「ゆ、優花さんってこの前振られたんじゃ……」
「まあ、色々あってこうなったんだよ」
「も、もしかしてキのつく言葉のやつも……?」
「ま、まあ…… 恥ずいけど……」
「そ、そう…… よ、よかったんじゃない?」
晴美がすごい落胆してる。
「お、おい晴美…… 何落ち込んでるんだ?」
「お、落ち込んでなんかないし? お、お兄ちゃんが他の誰かと付き合ったって私には関係ないし? か、勘違いしないでよね」
「はは……… そうか?」
こりゃあ…… あれだな。俺が付き合って嫉妬してるってやつか?
(お、お兄ちゃんが…… 私のお兄ちゃんが…… 付き合ったなんて…… )
「晴美…… 一つ言っておくことはある」
「な、何よ?」
「それはだな……」
◾️◆◇
学校の屋上………
「ぶっちゃけ…… 私と妹ちゃん。どっちがよかった?」
「え、え〜っと…… それは……」
中々答えにくいが……
「ぶっちゃけ。ぶっちゃけ言うと…… デートは晴美の勝ちかもしれない」
「へぇ〜………」
お、怒っちゃったかなぁ?
「怒ってるか?」
「別に? むしろ私も努力しようと思う。将人に見合う彼女になるためにね❤️」
「そ、そうか……」
◾️◆◇
「そういうことだ。俺は優花の彼氏だ。だがそれ以前に晴美の兄でもある。それを忘れないでほしい……」
沈黙が続く。そして……
「な、何よ! お、お兄ちゃんぶっちゃって! デートは私の方がよかった? そ、そんなのどうでもいいし? む、むしろ慰めにもならないからね! お兄ちゃんのバーカ!」
と言って自分の部屋に走っていってしまった。
「はぁ〜 これは嫌われたかなぁ?」
◾️◆◇
妹の部屋………
「何よ? 晴美の兄でもある。とかお兄ちゃんぶっちゃって! せっかくこの私が出かけてやったのに…… もう! お兄ちゃんのバカ!」
そしてベッドに寝ころぶ。
「ほんとに…… バ〜カ❤️」
(ふん。優花だか誰だか知らないけど。お兄ちゃんは絶対渡さない! 振り向かせてみせるんだから!)
【あとがき】と【お知らせ】
これで最終話です。皆さんどうでしたか? 面白かったという方はぜひ評価やレビューを書いてほしいです!
この後も祭りに行ったり、旅行に行ったりと…… 中には3人で出かけるシーンもあるのですが。この物語はまたの機会にさせてもらいましょう。
この小説に人気が出始めたら続きを書かせていただきます! 皆さん、どうぞよろしくお願いします!
たとえば可愛い妹と好きな幼馴染みにアプローチされたら……… GOD9999 @GOD9999
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