第3話 勇者(後編)

 というわけで後編だよ。今回は勇者くんの持ってる聖剣の力のお披露目だ!剣士くんなんか興奮し過ぎて何も言えない状態になってるぞ!

「最初はこれかな、『モード:フェザー』!」

 あ、最初にそれやります?聖剣がでかくなった一番の原因。聖剣の刀身が変形し、まるで天使の羽のようになるよ。もちろんそれだけじゃあない。

「この形態は出来ることが3つあるんだ。まず一つ目!『エンジェルフェザー』!」

 勇者くんの背中に羽が生えて空高く飛び上がる!これやってる時の勇者くんは結構楽しそうだよね。作った者としては嬉しい限りです。

 でもそうやって飛んでるせいで街では天使が出たってうわさになってるんですよ?

「ねぇ、あれって…」

「ですよね、あのうわさの」

 ほら、武闘家ちゃんと魔法使いちゃんが小声で話してるよ。気づけ勇者くん。

 あともう剣士くんは人形か何かなの?もうずっと口ぽかーんだよ?

「そんで、二つ目!『ショットフェザー』!」

 羽のようになった刀身から一つ一つの羽根が射出され、周辺の木々を切り倒す。いわゆるロマン。このモードにはこんな感じでロマンを詰め込んでるよ。

「そんで三つ目!『コントロールフェザー』!」

 射出された羽根が意思を持ったように動き出す。そして1本の木を一瞬で薪にした。精密な動きとシャープな切れ味、製作者である僕も惚れ惚れしちゃうよ。

「よし、フェザーはこんなもんだな。次は『モード:バスター』!」

 あ、次はそれなんですね。また刀身が変形して、次は大きな砲身になるよ。なんなの?勇者くんはダイナミックなものが大好きなの?

「この形態だと色んな弾が撃てるんだ。」

 ああ、なんかこれからやる事が見えてきたよ。ネタで付けたあの弾を使うんじゃあ無いだろうね。

「これ以上は時間がかかるし、これで最後にしておこうか。盛大に締めるよ!『バレットファイアワークス』!」

 ああ、やりやがったよ。打ち上げたそれは色とりどりの花火となって次々と花開く。攻撃力はほとんど無いしもう完全にネタなんだけど。あの時の僕は何を考えてたんだろう。

 まあこれで今日は終わるみたいだし、魔法使いちゃん達も目を輝かせて見てるからよしとしますか。もう寝よう。

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