桜花は一片の約束
増田朋美
桜花は一片の約束
桜花は一片の約束
今日も、寒い日だった。相変わらず、しぐれるというか、曇ってばかりで、時々弱い雨が降ったりして、なんだかパッとしない天気だなあと思われた。そういう時に限って、いつまでも暖かくならないし、変なものが流行ってしまう原因にもなる。なんだかもしかして、運命的な衰退というか、そういうモノにたどり着いてしまったのではないかと、すごい顔をしていう人まで現れて、さらに事態は変な風に行ってしまいそうだ。
今日もまた、製鉄所では、由紀子が水穂さんの世話をしていた。水穂さんは、相変わらず咳き込んでばかりいる。最近、水穂さん、咳き込んでしまうことが多くなったな、また、体が悪くなったのかしら。何て、由紀子はそう思いながら、水穂さんの背中をたたいたり、さすってやったりした。そして咳き込むのと一緒に吐き出された内容物も、丁寧にタオルでふき取ってやるのだった。
由紀子が、水穂さんに鎮血の薬を飲ませて、布団に横にならせ、しずかに布団の上に横にならせて、かけ布団をかけてやった、ちょうどその時。
「おーい、水穂、いるか!寝てないなら上がるぞ。今日は、大事な話があるから、ぜひ、お前にも聞いてもらいたいと思ってさ。それで、こっちへ来させてもらったのさ。」
と、声高らかに玄関先から声が聞こえてきた。多分、その声の音量と、男性にしては声が高いところから判断すると、広上鱗太郎先生が、訪ねてきたんだろう。折角静かになってくれたところだったのに、なんで広上先生は、こんな時間にやってくるのかなあ、と思いながら、由紀子は、四畳半のふすまを開けた。
「おう、えーと確か、君は由紀子さんだね。最近、また物忘れがひどくて困るなあ。忘れたくないことばっかり覚えていて、人の名前や、団体名は、すぐにころりと忘れちゃう。」
そう言いながら、鱗太郎は、四畳半にやってきた。
「はい、あたしは、今西由紀子。もう、いい加減に覚えてください。いつになったら人の名前を憶えてくれるんですか。」
鱗太郎のそのセリフに呆れて、由紀子は、来ないでほしいという気持ちを抑えながら、そういうことをいった。
「ああ、ああ、すまんすまん。忘れっぽさもどうしようもないな。忘れ物が多くて、いったいどうしたら、思い出せるようになるんだろう?」
そういいながら、鱗太郎は、由紀子を無視して、どんどん四畳半に入ってしまった。水穂さんは、まだ薬が完全に回っていなかったらしく、一寸、うとうとしているだけであり、鱗太郎が入ってくると眠そうに目を覚ました。
「よう、水穂。俺だよ。親友の広上だよ。今日は、お前にどうしても、聞いてほしいことがあって、話に来たんだよ。」
鱗太郎は、水穂さんの枕元にドカッと座った。水穂さんが、何ですかと言いかけたのも無視して、鱗太郎は話し始める。
「実はよ。俺、ちょっとした音楽祭を考えているんだ。あの、今はやっている何とか熱が終焉したらさ、思いっきり、喜びの曲を歌って、応援しようと思っている。俺が今、棒を振っている、アマチュアバンドと、高瀬さんの合唱団方舟を出演させて、ベートーベンの交響曲第九番を歌ってもらうつもりだ。昔の人は、洪水があって、水が引いただけでも、お祭り騒ぎだったんだからな。それでいいと思っているんだ。どうだ、水穂、いいだろう。」
それは、昔と言っても、文明的な生活をしていない、原住民がすることだろうなと由紀子は思ったが、あえて言わないで置いた。
「それでな、その音楽祭で、お前に出演してもらおうと思うわけ。勿論、第九だけでは面白くないからな。お前にさ、ベートーベンの、ピアノ協奏曲第五番をやってもらいたい。だから水穂、お前にも頑張ってもらえないだろうかな。」
鱗太郎の言い方は、ちょっとカッコつけているような言いかたであったが、でも、心の内では、懇願しているんだろうな、という事が読み取れた。でも、偉い人にこうして懇願されてしまうと、由紀子は何だか、広上さんの事が、嫌になってしまうのであった。理由は分からないけど、そう思ってしまうのだった。
「広上先生、何を言っているんですか。水穂さんは、もう体が大変なんです。そんな無理なお願いしないでください。」
由紀子はそういうのであるが、鱗太郎は話をつづけた。
「もちろん、わかってるさ。お前がそういう身分だったっていう事はな。」
「そうじゃないわ。水穂さんの体のことを考えてください。」
由紀子がもう一回、鱗太郎に言うが、鱗太郎は、さらに続ける。
「まあまあ、お嬢さんも、話を聞いてくれよ。水穂が、差別的に扱われていた身分だってことは、俺だって知っているさ。だから、俺はそれを今度の音楽祭で、お客さんにお話しようと思ってるわけ。」
「ちょっと待ってください!何を言っているんですか、そんなひどいこと、水穂さんにやらせて。」
由紀子の体に衝撃が走った。
「だから最後まで聞けよ。水穂が、俺たちの知らないところで、さんざん人種差別を受けて、つらい思いをしているのは確かだし、俺たちは、その苦しみを共感できないことは知ってるさ。でもな、もう時代は変わったんだ。そういう身分差別は撤廃されている。」
「でも、いまだにいろんなところで差別は出ているのは、、解消されないじゃないですか!わざわざ大っぴらにそんなことはいうべきじゃありませんよ!」
鱗太郎の話に由紀子はそういって止めに入ったが、鱗太郎はまだ続けた。
「そうなんだよな。そういう差別はずっと残っているんだ。それに差別されているのは、水穂たちだけじゃない。若い奴だって、学校でいじめられて、自ら死を選ぶ奴も大勢いるじゃないか。俺は、そういうやつらに生きようと思ってもらいたいわけ。だから、お前が、人種差別に耐えて、ピアニストになったという事を話して、こうして、人種差別を乗り越えたってところを見せてやりたいんだよ。そのうえで、お前と一緒に、ベートーベンの協奏曲を弾けば、感動すること間違いなし。どうだ、水穂、俺の計画、どっかおかしなところがあるかな?」
鱗太郎はそういうが、由紀子はどうしてもその気にはなれなかった。そういう差別されてきたとか、いじめられてきたとか、そういう事を売り物にしてしまうのは、余計に偏見を生んでしまうのではないか、と、いう心配があったのだ。それは、水穂さんも同じ気持ちらしい。
「嫌ですよ。僕が身分を大っぴらにしたら、何だこんな奴、偉そうになんて言う人も必ず出るんじゃないですか?」
水穂さんは、弱弱しい口調でそういうことを言った。
「だからあ、そこを狙うんだよ。お前な、もうちょっと自分が持っている演奏技術を考えてみろ。あんなふうにな、世界一むずかしいと言われている、ゴドフスキーの曲を、ぽんぽんぽんぽん弾きこなせるやつはそうはいないじゃないか。いいか、ゴドフスキーを録音して売りに出したピアニストは、世界でもたったの三人だ!四人目が出たという事になれば、すごい注目も浴びるよ。それでお前はまだ、演奏家として成功する事もできるよ!だから、ベートーベン何て軽々だろ!頼むよ、もう一回、一緒に舞台に出てくれよ!」
「嫌です。もう、ゴドフスキーに縛られすぎた日々は送りたくありません。」
水穂さんは、またそういったのだが、
「演奏技術に自信がないの?だったら俺が保証するよ。お前は、ほかのゴドフスキーを録音したピアニストに負けないくらい、演奏技術もちゃんとあるし、音楽性だって、俺よりずっとすごいものがあるよ。もし、お前がゴドフスキーを録音したくなったら、俺がお墨付きで、推薦状を書いてやってもいいぞ!」
鱗太郎は、そう言い返した。
「だけど、僕はもうやりたくありませんよ。ゴドフスキーなんて。あんな大曲をやりこなせるほど、体力もなくなってしまいました。推薦状も何もほしくありません。」
「お前なあ、今ここで一生を終えようとしているようだけど、俺たちはそうはさせないよ。俺たちは、まだ、お前に生きてほしいと思っている。だって、本当にさ、お前の人生は間違いじゃないと思うんだ。そういう特殊な身分であっても、今の時代は、ちゃんと生き抜いていけるようになっていると思うんだ。だから、ここでおしまいにしてしまわないで、もうちょっと頑張ってくれよ。そしてもう一回ピアニストとして、活動してくれよ。きっと、お前の人生に、勇気づけられる若い奴は、いっぱいいると思うよ。頼むよ、水穂。この通り、お願いします!」
「無理なこと言わないでください!広上先生。先生は、偉いから、なんでもすぐに実現できるから、そういうことを言うんでしょうけど、もうちょっと、考えてくれませんか!」
由紀子はそういう鱗太郎に、強く言った。
「ちょっとって何だよ。俺、偉い奴でもなんでもない、ただの棒振りだ。」
鱗太郎はそういうが、
「いいえ、広上先生は、オーケストラの人や、合唱団の人が、みんな先生の言うことは何でも従ってくれるから、望むことは叶うと勘違いされているんです。水穂さんがなんで、ゴドフスキーなんていう難しい作曲家を弾かなければならなかったのか、そこを考えてください。」
と、由紀子はそれを打ち消すように言った。
「だからそれは俺も知っているよ。低い身分であったことを隠すためだろう?だけど、もう時代も変わっているんだし、皆の受け取り方も違うと思うよ。俺は、逆に身分を隠して恐る恐る生きるよりも、大っぴらに公言してしまった方が、いいような気がする。」
「広上先生のことばは、同和問題というのがどういうことなのか、知らないからいえるんです。それでは、水穂さんがかわいそうです。やめてください!」
由紀子にそう言われて鱗太郎は、がっくりと頭を下げた。
「でもさ、水穂。」
鱗太郎は、もう一回そういうことを言う。
「俺は、明るく楽しくハッピーに人生を生きてこられなかったのは、お前だけじゃないと思うよ。」
鱗太郎は、そう語り掛けたが、残念なことに、水穂さんは、もう薬が回ってしまって、布団の中で眠ってしまったのである。
「先生、失礼ですけど、今日はかえっていただけないでしょうか。水穂さん、先ほど発作を起こして、薬でやっと止まったばかりなんです。そういうときは、休ませてあげてください。」
由紀子はそういうが、ふいに隣から聞こえてくる声を見てハッとする。
「どうしたんですか?」
鱗太郎は泣いていた。
「いや、昔だったら、よかったのかな、と思ってなあ。」
と、鱗太郎は、涙を拭きながら言う。
「昔だったらって何ですか?」
「ああ、俺、大学時代、こいつが一生懸命ゴドフスキーを練習しているのを見たけれど、あの時は、何が何でもやってやるって感じで、すごい活力があった。それが、こんな風に病気になると、弱ってしまうモノだろうかな。」
鱗太郎は、そういうことを語り始めた。由紀子は、これを聞いて、彼を追い出そうという気持ちはどこかに飛んでいった。
「俺は、別にこいつをバカにするとか、いじめてやるとか、そういう気持ちがあるわけじゃないんだよ。ただ、俺は、こいつがものすごく演奏技術があって、音楽性だってものすごくあって、それだけは知っているので、こいつにもう一回それを使ってもらえないか、と思っているだけだよ。」
由紀子は黙ってそれを聞いていた。
「俺、一寸調べてみたんだよな。同和地区ってさ、どうなっているんかなって。あの、住井すえさんという人の映画も見たよ。きっと大変苦しんでいたんだと思う。だから俺は、その対策として、水穂にもう一回演奏してもらいたいと思うんだ。」
鱗太郎は、そういうことを言い始めた。このセリフは、由紀子も聞いたことがないセリフだったので、びっくりしてしまう。
「どういうことですか。同和問題の対策として、また表舞台に立たせて演奏をさせるなんて。それでは、人種差別されていた時代に逆戻りじゃないですか!」
由紀子がいきり立っていうと、
「そういう事じゃないんだよ。」
と、鱗太郎はいった。
「そりゃね、あいつに演奏をさせるっていう事は、前と同じかも知れないよ。でも、今は、違うんだ。今は、俺たちもいるし、蘭もいるし、お嬢さんだって、水穂のこと、すきなんだろ?だから、もう、今は違うじゃないかよ。あいつは、確かに、ピアニストとしてデビューしたころは、本当に支えがなくて、孤独だったという事は認めるよ。というか、あいつは、ほかの音楽やっているやつらと交流しようとか一切しなかったからね。だけど今は昔と違うんだ、俺たちがいるってことをわかってほしいんだ。それを、今度の音楽祭で実感してほしいんだ。お嬢さんもそうじゃないのか?本当は、水穂に、生きてほしいのではないの?」
鱗太郎に言われて、由紀子はハッとした。ああ、そうか。自分も水穂さんには生きていてほしいと切に願っていた。
「あたし、、、。」
由紀子も目に涙をこぼす。
「ほら、正直に言ってみてくれ。本当は、今ここで水穂に逝ってもらいたくなんかない。そうだろう?そう思っているだろう?だからそれを言ってやってくれよ。水穂にさ。周りは冷たかったかも知れないけど、あたしは違うんだって、そう言ってやってくれ。頼む。」
鱗太郎に言われて、由紀子は更に困ってしまった。そんな事、確かに思っていたが、もう実現できないと思っていたのである。
「無理ですよ。だって、沖田先生は、もうての施しようがないって言ってたもの。」
「其れはむかしの医療だったらの話。今の時代は、もっともっといい医療がいろいろあるんだもの。ここまで重度であっても、何とかなると思うよ。今は、肺移植とか言ってさ、他人の肺を貰って、そこで生き延びることもできるんだぞ。それを考えれば大丈夫だよ。だからさ、シッカリした病院に行ってさ、ちゃんと治してもらわないと。」
という鱗太郎に、由紀子は、広上先生、またとんでもないことを忘れているなという事に気が付いた。
でも、さすがに、由紀子も、広上先生に本当の事をいう事は出来なかった。
「だから、お嬢さんも、協力してくれよ。水穂は、まだまだやることはいっぱいあるんだ。ああして苦労してきたことだって、誰か苦しんでいる人の、役に立つことだってあるんだぞ。あるカウンセラーの言葉を借りて言えば、人生に無駄なことなど一つもないよ。だから、俺はそれを、みんなに訴えたいわけ。最近は、平気で自らの命を消してしまう子供が、余りにも多いから。いや、子どもだけじゃないよ。大人も同じだ。そういうこと、命の大切さとか、生き抜くことの大切さ、そういうことをもっともっと、音楽を使って伝えていきたいんだよ。」
由紀子は、そういうことをいくら偉い人が頑張っても、水穂さんのような人に伝わるはずがないと言いたかったが、それをどうしても口にすることはできなかった。自分も心のどこかで、鱗太郎と同じ気持ちがあったからである。
「なあ、俺はこれから、バンドの練習があるんで、ひとまず帰るが、お嬢さん、ぜひ、こいつが目を覚ましたら、俺が今いったことを伝えてもらえないだろうか。水穂に、どうしても音楽界に戻ってきてもらいたいって。お嬢さんは、俺ほど忘れっぽくはないだろうから。よろしく頼むよ。この通り。」
鱗太郎に頭を下げられて、由紀子はその時は、もうどうしようもなくて、
「わかりました。」
と言ってしまうのだった。喜び勇んで帰っていく鱗太郎に、由紀子はどうしたらいいのだろうかと悩む。約束したことだから、言わなければいけない。でも水穂さんは、こんなこと伝えたらもっと傷つく。それでは悲しい。可哀そうだ。ああ、どうしたらいいんだろう。
そんな気持ちが渦巻いて、由紀子はその日一日、不安な思いで過ごしたのであった。
その次の日、由紀子は仕事を終えて、製鉄所へやってきた。ちょうど、玄関から入ると、庭掃きのそうじ道具を片付けていた利用者が、富士川の土手沿いに植えられているカンザクラが今全盛期だという事を話しているのが聞こえてきた。
そうか、もうその季節になったか、と考えて、由紀子はまたハッとした。水穂さんが桜を見ることはできるだろうか。いや、無理だ。だって、帝大さんは、もう手の施しようがないほど悪いといったんだもの。
それに並行して別の気持ちが沸いた。それなら、水穂さんに見せてやりたい!弱ってどこにも行けなくなってしまう前に!
由紀子は、決断は速かった。急いで四畳半のふすまを開けて、布団に寝ていた水穂さんをゆすって起こす。まだ、夕方なので、さほど暗くはない。何をするんですかという水穂さんに、由紀子は、いいからだまってて!と言い、彼を華岡さん手製の手押し車に乗せる。そして、李商社たちが由紀子さんどこに行くんですかと言っているのも聞こえないまま、大急ぎで車を押して、製鉄所を出て行った。
富士川の土手はすぐ近くだった。それも由紀子は知っていた。しばらく川沿いを走っていると、利用者が言った通り、道の両脇にカンザクラが大量に植えられているところに来た。まだ、明るい時間なので、数人の観光客もいた。風に乗って、花びらがハラハラと落ちていく光景が、なんともはかなさを感じさせる。
「水穂さん。」
由紀子はただただ驚いている水穂さんの顔をじっと見つめた。
「どう、きれいでしょう?カンザクラ。今年も咲いたのよ。」
「そうですか、、、。」
水穂さんは、前方の桜の木を見つめた。
「よかったね。今年も、桜が見れて、、、。」
そのあとに何か文章があったはずだったが、由紀子はそれが言えなかった。その理由は分からないけれど、それが実現してしまったら、本当に悲しいことだったからだったのかもしれない。代わりに、涙がぽろぽろと出てしまうのであった。由紀子は、それを拭くこともしないまま、一生懸命、昨日鱗太郎に言われたことを、言おうと思ったのであるが、どうしてもそれを出すことができないでいた。だって、水穂さんが音楽業界に戻ったら、また人種差別をされるかもしれない、それに、私のそばから離れて行ってしまうのでは?由紀子は、昨日の感情とは裏腹に、そういう事を考えていたのである。
でも、広上先生と約束したことだ。言わなければならない。最近は、約束というモノがずいぶん軽んじられる時代になった。約束を平気で守らないというか、破棄されても平気でいる人がずいぶん増えているような気がする。それは、いけないのか、それとも、見直さなければならないのか、よくわからないけど、由紀子は、約束を破ることはしたくなかった。それなのに、先ほど述べたような感情も現れてきて、由紀子はとても苦しかったのである。
「水穂さん。」
由紀子は、そう言った。
「広上先生との約束、守ろう。」
由紀子はやっとそれだけ、それだけいう事が出来た。水穂さんは、それをわかってくれたのか、理解してくれたのかは不明だが、一言、小さな声で、
「ありがとう。」
といった。
と、いう事は私の話、分かってくれたのだろうか?それでは、水穂さん、わかってくれたの?と由紀子がいおうとすると、前方から桜の花びらが飛んできた。ちょうど、夕日が富士川向こうの蒲原山に沈んでいくところだった。ああ、この桜の花びらのような、はかない約束をしてしまったかな?と由紀子は思った。
桜花は一片の約束 増田朋美 @masubuchi4996
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