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「ちなみに、アレクシス×レア本が十五冊、ヤークートの主従BL本が十冊、リヒト殿下単独本が二冊、リヒト殿下×ヒロインで三冊、全キャラの現代学園パロ本が二冊ですわ」
うち、十八禁本は二十冊だ。
ちなみに、最後に出したのは、『恋の久遠』というリヒト殿下×ヒロイン本だ。
「…………」
言葉もないといった様子で、マリナがヘナヘナと力なく椅子に崩れ落ちる。
「た、たしかに、『LYS』の夜猫さんは、続編発売前に事故で亡くなられてたはず……。ツイッターに遺族の方が訃報ツイートを上げられていて……。」
「そ、そうなんですか?」
「続編発売後にもクラスタの間で話題になったんですよ。なぜ夜猫さんがいないんだって。続編シナリオもすごくよかったので、夜猫さん解釈のアレクシス×レアが見たいって」
「そ、それは、ありがたいことですわ……」
もう顔から火が出そうだ。
「あれ……? そういえば、夜猫さんって夢展開が地雷だったはずじゃ……」
「ええ、そうですわ。ですからわたくし、最初はなんとかしてリヒト殿下とあなたの仲を進展させようとしていましたのよ。……上手くいきませんでしたけれど」
「えっ!? そ、そうだったんですか!?」
マリナが愕然とした表情で、大きな目をさらに大きくする。
「ええ。勘当されることだけは避けたかったので、円満な婚約解消を目指していましたの。いまさら言っても仕方ないことですけれど」
「そんな……」
頷くと、マリナがひどくショックを受けた様子で顔を両手で覆った。
「知ってたら……絶対に傷つけたりしなかったのに……」
「……わたくしも、一人で解決しようとしなければよかったと思いますわ」
そうすれば、また違った未来があったのかもしれない。
そう思うけれど――しかし、そんなものは結果論でしかない。前世の記憶があることや、ここが乙女ゲームの世界であることなど、誰に相談できると言うのだろう。下手をしたら、正気を疑われてしまいかねない。
そのうえリヒトとマリナをくっつけようというのに、その相談をマリナ本人にするなど、普通に考えてできるはずもない。
だから、やっぱり今さらだ。
どう足掻いたところで、この結果は避けられないものだったのだと思う。
「っ……もっと周りを見ていたら……レティーツィアさまも転生者であることに……私の攻略を応援していることに……気づいていたら……」
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