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「いいえ、最推しはリヒト殿下ですわ。しかし、アレクシスとレアさまの切ない関係性がもうドストライクで、生前のわたくしは二次創作の中でお二人を幸せにすることに心血を注いでいたのです。あとはヤークートの主従で、その……BがLする妄想を……」
「へぇ」
マリナが少しだけ表情を緩めて、ひどく懐かしそうに目を細める。
「でも、気持ちわかります。基本的にこのゲームって設定がよすぎるんですよね。とくにアレクシスルートは乙女心をぶち抜いてくれると言うか……。アレクシス×レア過激派の同人作家さんもかなり多かったイメージです。薄い本にも良作が多くて……」
「わかっていただけますか? そう、そうなんですよね」
「私も最推しはリヒト殿下でしたけど、そのCP推しのとある同人作家さんを追いかけていましたね。とにかく、その方が紡ぐお話が好きで、好きで、たまらなくて」
「まぁ! そうなんですの?」
「ええ。その方、リヒト殿下も好きだったみたいで、たまにリヒト殿下とヒロインの本も出していて、それがもう私的バイブルで……!」
「サークル名とか覚えてらっしゃいまして? 続編制作発表までの期間ですが、わたくし、同CPで活動されていた方は間違いなくチェックしていましたので、もしかしたら共通の知人がいたかもしれませんわね」
「あ、サークル名『
「ッ……!」
瞬間、頭の中が真っ白になる。自分の耳で聞いたものが信じられず、レティーツィアはポカンとして口を開けた。
「リ、『LYS』の夜猫……?」
「あ、やっぱりご存じですか? かなり有名でしたもんね」
――聞き間違いではないのか。
レティーツィアは急速に赤く熱くなってゆく顔を両手で覆って、下を向いた。
「っ……わ、わたくしです……」
「え……?」
「りゅ、『LYS』の夜猫は、私です……」
「えええっ!?」
マリナが大声で叫んで、勢いよく立ち上がる。
「ほ、本当に夜猫さん!?」
「はい……」
両手で顔を覆ったまま「このゲーム関連で出した薄い本は全部で三十二冊、タイトルもすべて言えますわ……」と小さな声で言う。
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