速すぎる少年

鮭さん

第1話

 パンパカパーン!!パンパカパーン!!パンパカパンパカパンパカパーーン!!


 今日はお祭り、お祭りだ。街のお祭り、お祭りだ、たかしくんはハイ。すごいハイだ。年に一度のお祭りだもの。


「お祭りだ!!お祭りだぜ!!Oh!!祭り!!Oh!!祭り!!お母さんも行こう!!お母さんも行こう!!」


 ハイテンションで、お母さんを誘う。すごい、ハイテンション。


「うーん。お母さん今お洗濯してるからさ。たかしくん一人で行ってきて。お母さんも後から行くからさ。」


 めんどくさそうなお母さん。


「わかったー!!一人で行くねー!!」


 断られても、ハイテンションは止まらない。止まることを知らないハイテンション。


 ガチャーーーッ!!


 たかしくんは一人で行った。ドアを開いて、駆け出した。


 タタタタタタタターッ


 タタタタタタタターッ


 タタタタタタタターッ


 たかしくん、走る!!走る!!走る!!


 タタタタタタタターッ


 タタタタタタタターッ


 タタタタタタタターッ


 たかしくん、走る!!走る!!走る!!走る!!走る!!


 タタタタタタタターッ


 タタタタタタタターッ


 タタタタタタタターッ


 澄んだ夜空を、走る!!走る!!走る!!


 タタタタタタタターッカシ


 タタタタタタタターッカシ


 タタタタタタタターッカシ


 んん!!たかしくんは走っているがしかし、呼ばれている。どこからかたかしを呼ぶ声がする。どこからだ。どこからだ。


 タタタタタタタターッカシ


 タタタタタタタターッカシ


 タタタタタタタターッカシ


 こ、これは足音だ。足音が呼んでいる。そう、足音が呼んでいるようだ。どうしたのだろうか。


「なんだ、足音よ。」


「走れ!!たかし!!」


 激励!!


「おお!!ありがとよ!!走る!!たかし!!走る!!」


 思わぬ激励に、張り切るたかし。


 ズギューーーーーーーーーーーンッ!!


 加速するたかし!!どんどんどんどん早くなる!!


 ズギューーーーーーーーーーーン!!


 走った!!走った!!綺麗な星空の元走る!!走る!!



 ズギューーーーーーーーーーーーーン!!


「きゃあ!!なにあの子!!すごい速いわ!!」


「速すぎ!!速すぎ!!」


「速すぎて危険だわー!!」


 ズギューーーーーーーーーーーーーーン!!


 まだまだ加速していくたかし。ついに、人工衛星ですら追いきれない速さに!!


「す、すごいわーー!!」


「神だ!!神だ!!」


「救世主だ!!救世主だ!!」


 速すぎる少年、たかし。噂は日本中を駆け巡る。陸上のお偉いさんの耳にも噂は勿論届いた。動画を見る、お偉いさん。


「すごい!!すごい速さだ!!すごいーー!!すごいーー!!」


 マラソン代表の高尾さんにも見せる。


「これ、高尾さん的にどうですか?」


「すごい!!すごい速さだ!!すごいーー!!すごいーー!!」


 高尾さんも感動。


「代表の座は譲りますー!!」


 こうして、たかしは、2020年夏、四年に一度の祭り、オリンピックの日本代表に選ばれたのだった。


 よーい!!スタート!!


 タタタタタタタターッカシ


 タタタタタタタターッカシ


 タタタタタタタターッカシ


 ズギューーーーーーーーーーーーンッ!!


 頑張れたかし!!頑張れたかし!!


 完

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速すぎる少年 鮭さん @sakesan

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