第3話 呪われた二人の幸せ

あの日から王子様は本当に毎日私に会いに来てくれました。

私はそれがとてもとても嬉しくて毎日幸せです。

王子様は私の知らない外の世界のことを沢山教えてくれました。王子様は自分の国で見ている事だから君の国にあるものとは違うけどと、言っていたけれど私は少しでも外のことが知れてとても嬉しいです。

ある日王子様が絵を描いてきてくれました。


「これ…僕の部屋から見える景色なんだけど…」

王子様が取り出した紙には、私がずっと見たかったお花の絵が描いてありました。


「これは…お花、ですね!!」

「うん。そうだよ。でもごめんね…僕、花には詳しくなくて…」

「いいえ!大丈夫です!私お花の本は沢山読みました!!」

「ほんと?僕のその絵でもわかるかな…」

「はい!わかります!大丈夫です!もし、良かったら…一緒に…見ませんか…?」

「ほんと?じゃあ僕も君と一緒に花の勉強しようかな」

王子様はそう言って微笑んでくれました。私は王子様の笑顔が大好きです。とっても素敵で暖かくて…見ているととっても癒される笑顔です。


その日、王子様が持ってきてくれた絵がきっかけで次の日も王子様は絵を描いてきてくれました。

言葉だけじゃなくて絵があるほうがわかりやすい。王子様はそう言っていました。王子様はとっても優しい方です。こんな私に優しくしてくれるのは王子様だけです。



ですが、ある日のこと。

その日はどれほど待っても王子様は来ませんでした。私はとても心配でした。寂しさよりも、もしかしたら王子様がなにかとても危ないことに巻き込まれてしまっていたり、具合が悪くなってしまったのでは…と。

とてもとても心配で、その日は眠れませんでした。


次の日。

全く眠らなかったので頭がくらくらしていました。そして気がついたら朝起きたはずなのに私はまたベットの上にいたのです。



あれ…?私はどうしてベットの上に…。朝起きた記憶はあるのにそれ以降が全く思い出せません…。

私は一体…。

するとドアが開きました。

ドアの向こうには、なんと!王子様がいたのです!!



「よかった!目を覚ましてくれて…」

「王子様…?どうして…」

「あっ、ごめん。勝手に入ってきちゃって…君の返事がなかったから心配で…」

「心配をおかけしてしまってごめんなさい…昨日、王子様がいらしゃらなかったので何かあったのではと心配で、眠れなくて…」

「そうだったの?!僕の方こそごめん。本当は行こうと思ったんだけど絵が完成しなくて…毎日会いに来るって言ったのに…ほんとにごめん」

「いえ。王子様が元気なら私はそれでいいです」


彼女はそう言って微笑んでくれた。約束破ってしかも心配までかけさせたのに、彼女は僕が元気なら、とその一言で僕を許してくれた。なんて優しくていい子なんだ…。



彼女といる日々が続けば続くほど彼女の傍にいればいる程、彼女を守りたくなる。何があっても必ず彼女だけは守らないと…。そんな考えそして言葉が浮かんでくる。気がつくと僕の頭の中は彼女でいっぱいになっていた。

僕はどうせ死なない。僕は自分の呪いを彼女の為ならいくらでも利用しよう、と考えた。僕だってこんな呪いのかかった自分に生まれたかったわけじゃない。なら、この呪いをいくらでも利用して、彼女を守る。死なないなら、彼女が死ぬまで彼女を守り続けることが出来る。大切な人が僕より先にいなくなるのはもう経験してる。そんなことよりも、彼女を1人にしてまた、寂しい思いをさせてしまう方が僕は嫌だ。だから、僕は何があっても彼女の傍にいるし彼女を守り続ける。たとえ、父を敵に回したとしても。

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