ウナ ―天魚―
どおん、と遠くから、太鼓の音が鳴り響いてくる。
――しゃーん、かっ、どおぉん。
――どおぉん。どおん。
――しゃーん、かっ、どおぉん。
陽光に
恵みの雨をもたらす
いや、疑わないのではない。人々にはもはや、物語の真偽などどうでもいいのだ。街の威信を賭けて飾り立てられる豪奢な
あの日、イェールカの血潮が乾いた大地に沁みた痕から赤い
イェールカは雨を降らせたのだ。
人々はイェールカの
そしてイェールカの骨をおさめた宝珠を社に祀り、年に一度の雨乞い祭りでは輿に乗せて街を巡り、最後に若い娘の歌を捧げさせる。
本当の物語は隠され、美しい物語だけが人前に出される。国一番の歌い手イェールカが命の限りの歌を捧げて龍神イズラの心を動かし雨がもたらされたのだ、と。
あの時、
ここは見捨てられた土地。死すべき土地だった。
だから。
だからわたしは弔った。
――遅かれ早かれ、皆、滅ぶ。
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