六日目

六日目、彼女は夢の中に来ていなかった。もしかしたら寝ていないのかもしれないし、昨日突然消えたように抜け道があるのかもしれない。

 彼女が残していったこの写真、何故こんなものがあるのかが分からないが、それが分かったらあの悲しそうな顔をした彼女を救えるかもしれない。

 基本的に夢の中では、本当に実在しないものを作るのはほとんど無理だと言っていたし、作っても雑なものならると言っていたので、この写真は綺麗すぎるから作ったものではないだろう。と言う事は、これは実際に撮られた事になる。

 だが俺に記憶はない……その答えを探さないといけない。

 まずは周りの部屋をしっかりと……あれ?おかしくないか?俺はラノベが大好きだから、夢の中でこんなことが起こったら周りのことを色々調べるはずだ。でもこの部屋をしっかりと調べたことがない、彼女の名前すらも知らない。何故このことに今更気づいたのか。


「あいつが何かしていたんだろうな」


 名前すらも聞いていない彼女が認識を阻害するような何かをしていたのだろう。思えば彼女は何でも出来過ぎた、宙に浮くのも、物動かしたり出したりするのも、極め付けは認識阻害のようなものもできる。

 カレーだって作るのに四十分は掛かるはずだが、おんなじ高校生であるはずの彼女は、早く寝るようにしていた俺よりも早くきて作っていたことになる。

 近くに落ちているロッキー限定タクアン味を手に取ると、少し違和感を感じる。写真のものと比べて見ると、決定的な違いに気づく。

 写真のロッキーと実物のロッキーの違い、夢に馴染みすぎている彼女、親友……それ以上に感じてしまう彼女、カレンダーの赤い印。

 雑な推理だがわかったような気がする。こんなことが本当に起こるのかわからないが、夢の中でならあり得ると思う。

 明日になれば彼女が来るような気がして、俺は明日を待った。

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夢の中で笑う君 月天音 @usagi0328komugi

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