第27話 美少女の汗。それは生命の息吹き。

 神聖アナカリス王国の西海岸に位置する街、アートケヒヤ。


 さんさんと照りつける太陽の下、ビーチに響く観光客の声と、涼しげな波の音が聞こえてくる……。


 そんな高級ビーチリゾートの一角。

 とある宿屋の一室には、男女の汗が入り交じった淫靡な匂いが充満している。


 窓を閉め切り、蒸し風呂と化した室内の男女比は一:二。


 言うに及ばず俺――ゼクス・エテルニータと、リベル・ブルスト&レヴィ・ベゼッセンハイトである。


「はぁ、はぁ……ぬふぅ。まだまだ元気だな、お前たち……!」


 朝から続いている〝行為〟のせいで、俺の呼吸は乱れっぱなしだ。


 すでに時刻は昼前である。

 ベッドに寝転がっているのに、なにゆえ吐息を弾ませているのかというと……。


 リベルとレヴィ。

 かわいい弟子と前世の相棒。

 そんな二人の美少女が、半裸の俺にのしかかっているからだ!


「ゼクス……ゼクスぅぅ……。ちゅるっ、ぢゅるるっ……れろれろぉぉ……。あぁ、やっとちゅっちゅできたぁぁ……ぢゅぷぷっ……ぢゅぱっ、ぢゅぱっ。はぁぁ~、ゼクスの味ぃぃ~……」


 俺の右半身を舐め回すレヴィ。


 極端に布が少ない赤の水着を身につけた彼女は、長い舌を存分に使って、俺の右胸や右腕、右脇腹にご執心だ。


「ぢゅるるっ……ちゅっ、んちゅっ。ぢゅぷるるっ……。どう? ゼクス……気持ちいい? はむっ……れろぉぉぉ~。れりゅるるっ、れろろぉぉ~……」


「はぁぁっ、なんて器用な舌遣いだ……! さすが勇者の少女だな……!」


 熱くなったレヴィの舌が、俺の素肌を這い回る。

 汗を味わっているのかと思いきや、くすぐるように舌先でチロチロ舐め回す局面もあり……油断をすれば、少女のような声が出てしまいそうだ。


 レヴィの武器は舌だけではない。

 俺の右脚を左右から挟み込んでいるのは、彼女の財宝――盛大にむっちりとした太めの太ももである。


 レヴィが身動きするたびに、ぷるんっぷるんっと揺れ動く肉ももの感触が、俺の肌を熱くする。

 汗にまみれた肌と肌。

 くっつき、こすれ、ぐちゅぐちゅと音を立て……時とともにいやらしい汗の匂いが高まっていく。


 レヴィの体温を感じ、熱のこもった吐息を感じ、汗の匂いを感じ……。

 当然ながら、俺もまた、感じている。

 何とは言わないが、すこぶる感じて堪らないのだ。


「はぁ、はあっ……。二〇〇〇年間、ず~っと我慢してたんだもん……はぁ、はぁぁぁ……。れろりゅりゅっ……はむぅっ。あぁ、ゼクス美味しっ……おいひぃぃ……。妄想じゃない、本物のゼクスぅぅ……」


 太めの太ももが俺の右脚にしっとりと絡みつき、二人の汗がぐちゃぐちゃにブレンドされる。


 シングルベッドが軋みを上げる。

 喘ぐようにギシギシ軋む。


「はぁっ、あぁん……あぁぁゼクスさぁん……。ぺろっ、れろぉぉ……」


 そして俺の左半身には、リベルが覆い被さっている。


 この子も同じく過激な水着姿だ。

 色は純白。

 模様は水玉。

 もちろん全身汗だくだ。


「んっ、んっ……。ゼクスさん、ゼクスさぁん……んっ、んっ、んっ……」


 さっきから、リベルは熱に浮かされたように腰を振っている。「んっ、んっ、んっ」の悩ましい声に合わせて、俺の太ももを恥骨のあたりでノックしているのだ。


「ゼクスさんっ……汗っ、ぬるぬるで……。はぁんっ、あぁぁ……。わたし、はぁっ、匂いっ……好きれすっ……スンスンっ、スンスンスンっ」


 リベルの腰振りリズムは、決して単調ではない。

 ときおり円を描くようにくねらせながら、上半身を――大迫力の豊満たわわを、俺の脇腹にたぷんっ、たぷんっと擦りつけてくるのである。


「んんっ……ゼクスさぁん……。わたし、もっと……。ゼクスさんのことぉ……も、もっともっと感じたいですよぉぉ……」


 たっぷりの汗で額に張りついた前髪を、リベルがスッとかき上げる。

 その拍子に、深い谷間に溜まった汗が、俺の脇腹につぅ――と零れた。


 リベルはすかさず胸を押しつけ、甘い声音をねっとりと洩らしながら、自らの汗を俺の身体に染み込ませようとする。


「れろっ、れろぉぉ……。はぁぁ、あぁぁ……ゼクスさん、おぃひぃれしゅ……。んんっ、ちゅぷっ、ぢゅるるっ……」


 リベルの小さな舌が、俺の左胸を這い回る。

 暑さと興奮のせいか、あどけない顔は淫らに上気しており、一心不乱のぺろぺろ攻勢を展開中だ。


「はぁ、ぁんっ……れろぉぉっ、ゼクスぅぅ~」


「ゼクスさぁん……ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」


 むせ返るほどの室温だが、湿気の源は美少女たちの汗である。


 俺は深呼吸を繰り返した。

 レヴィとリベルが分泌させた生命の息吹を、腹の底から感じ取るのだ。


「はぁ、はぁ……。実に良い……良いぞ!」


 右手でレヴィの赤髪を、左手でリベルの栗毛を同時に撫でた。

 汗で湿った二人の髪に指を通し、彼女たちへの親愛と感謝を伝える。


「んんっ……ゼクスのナデナデ、しゅきぃぃ……」


「はぅぅぅ……。わたし、もぅとろけちゃいましゅよぉぉ……」


 レヴィとリベルは嬉しそうに目を細め、一層ぺろぺろに精を出す。


 改めて、この二人には感謝が必要だ。


 なぜなら、一見すると卑猥に映ってしまう可能性があるこの行為は――、


「レヴィ。リベル。俺の鍛錬に付き合ってくれてありがとう……をぉぉっ! リベル、そこだ! そこを入念にぺろぺろするんだ! ……ぬぅぅっ!」


 この危機的状況を打破できる、新たな魔法を生み出すための鍛錬なのだから!




 ――時は半月前に遡る。


 勇者の世界樹を枯らした犯人にされてしまった俺たちは、転移魔法によって王都から退却を図った。


 行き着いたのは王国の北端――国境の街・シュロッツ。

 魔導鉱石の採掘が盛んな鉱山街である。


「ふぅ……。ひとまず捕縛は免れたか」


 袖で汗を拭おうとしたが…………重い。


「はぁぁ~ん……ゼクスと会えたぁ……。二〇〇〇年、待っててよかったぁ~♪」


 それもそのはず。


 勇者の世界樹が消滅すると同時に現れた〝勇者の少女〟、レヴィ・ベゼッセンハイトが、俺の右腕にしがみついているからだ。


「うぅぅ……。わたしもぎゅ~ってしたいですっ!」


 今度は左腕が重くなる。

 リベルが左腕に抱きついてきたのだ。


 とはいえ。

 左右の腕に感じる、この極上の柔らかさはどうだろう――。


 たぷたぷ。

 ふにふに。


 たゆたゆ。

 むちむち。


 なるほど……。

 重量感ではリベルに分があるが、ハリについてはレヴィがやや上か。


 両手に花。

 両腕に乳。


 二人がかりのふわふわ母性が、俺の心に深い安らぎをもたらしてくれた。



 乳が、思考を整理する。



「――憲兵隊と王立魔法騎士団は、すぐに俺たちを追いかけてくる。いずれファナティコ魔法学院も追っ手を差し向けてくるだろう。勇者の世界樹を枯らした大罪人を捕縛するという大義名分を掲げてな」


 目の前で、王都のシンボルにして聖域が消滅してしまった――。

 その事実を彼らが受け入れるのは難しいだろう。

 名も無き民の一声で、あれだけの騒動が勃発したのが何よりの証拠だ。


 ひとたび振り上げた拳は、誰かに落とさなければ収まらない。


「そ、そんな、ひどいですっ! だってあれは……!」


「そうよそうよ! 私たちが罪に問われるなんておかしいわ!」


 こちらの両腕に抱きついたまま、リベルとレヴィが憤慨する。


 まったくだ、と肩をすくめつつ、俺は二人に提案した。


「少し、場所を移そうか」


 それから三人で近くの酒場に入り、状況の整理や、レヴィの話を聞く時間を取ることとなった。


 二人の乳を感じながら話し合えば、必ずや妙案が浮かぶだろう。


 俺たちに着せられた濡れ衣を晴らし、王都の混乱を収めるための方法が……!!


 たぷたぷ。

 ふにふに。


 たゆたゆ。

 むちむち。


 重量感のリベルに、ハリ感のレヴィ。

 二人の柔らかさを等量にエンジョイしながら酒場に入店し、ギョッとした顔の美人マスターに注文する。


「――ミルクを。たっぷりのミルクをぉぉ……ぬふぅ!」

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