…4ノ月03ノ日…
…4ノ月03ノ日…
今日、ほんの少しだけ、お父さんが目を覚ました。
すんごく弱々しくて、思い出の中のカッコいいお父さんの姿とは、全然違ったけど。
何をするにも、絞り出すようだった。
しゃべるのも、水を飲むのも、手を上げる事だって、いっぱいいっぱいで、そんな姿を見ているだけで泣きそうになった。
でも堪えた。
また眠ってしまったお父さん。
その瞬間まで、だんだんと力を失っていくような、眠りに吸い込まれているようになっていくお父さんを見ていたから、頑張って涙を目の奥に押し込んだ。
お父さんは言った。
ごめんって、自分の事はいいから、お前らは好きに生きろって。
まるで自分がどういう状態なのかを知っているかのように、私とお母さんに言った。
無理だ。
無理に決まってる。
私もお母さんも、お父さんの事を捨てて生きて行けるはずがない。
できるはずがない。
でもお父さんの言った事を、私は守るよ。
自由に生きる。
私は、自分がしたい事をする。
だから。
待っていて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます