…4ノ月03ノ日…


…4ノ月03ノ日…

 今日、ほんの少しだけ、お父さんが目を覚ました。

 すんごく弱々しくて、思い出の中のカッコいいお父さんの姿とは、全然違ったけど。


 何をするにも、絞り出すようだった。

 しゃべるのも、水を飲むのも、手を上げる事だって、いっぱいいっぱいで、そんな姿を見ているだけで泣きそうになった。

 でも堪えた。

 また眠ってしまったお父さん。

 その瞬間まで、だんだんと力を失っていくような、眠りに吸い込まれているようになっていくお父さんを見ていたから、頑張って涙を目の奥に押し込んだ。


 お父さんは言った。

 ごめんって、自分の事はいいから、お前らは好きに生きろって。

 まるで自分がどういう状態なのかを知っているかのように、私とお母さんに言った。


 無理だ。

 無理に決まってる。

 私もお母さんも、お父さんの事を捨てて生きて行けるはずがない。

 できるはずがない。


 でもお父さんの言った事を、私は守るよ。

 自由に生きる。

 私は、自分がしたい事をする。


 だから。


 待っていて。


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