第1話 遅れてきた入学生
やっと会える……ずっと会いたかった……自分を変えてくれた女の子。触れ合った時間は短いけれど、心の全てに彼女が居た……
会いたい
今すぐ会いたい
一緒にいたい
たぶん、この思いを伝える事はできないけど……
最後にキミの笑った顔が見たい………雪音
◆
四月も中頃に差し掛かった頃、教室の前の廊下に俺は立っていた。ドキドキバクバクと心臓が破裂しそうな程緊張していただろう。
(やっと彼女に会える……緊張しない訳がなに)
(どうやって話そうか……どんな姿になってるだろう……)
頭の中では、色々とシュミレーションして彼女との再会に備えて考えていた。
「……でも、雪音にとっては」
一方教室内では、既に何組かのグループができている。同じ中学出身同士、席が近い同士、女子達の集まり、男子達の……
そんな中、私の周りにいるのは前者の方の集まりだろう。中学が一緒で高校も一緒というならまぁ普通だろう……
だが、小学校から同じクラスの奴が私を含めて四人も一緒って、今年で何年目だ?
「絶対!何か仕組まれてるだろッ!?」
「雪音どうしたいきなり?」
「あらあら、頭でも打ちましたか?」
「……咲葉それは違う、雪音は元々おかしい……フフ」
「誰がおかしいだ!!こんちくしょぉぉ」
心配してるのか面白がっているよのよく分からない事を言ってるのが、私の腐れ縁というか所謂幼馴染の女三人衆だ!
「一人でも厄介なのにー!どうしてまたお前達と一緒なんだ!」
「雪音は駄々っ子ねぇ?どうしたんでちゅかー?なでなでしてあげましょうかー?」
やけに私を子供扱いする女は雉ノ
雉ノ宮財閥のご令嬢でお金持ち!頭がいい!顔がいい!スタイルがいい!……だが腹黒い!最後さえなければ完璧美少女なんだか、正直今の性格の方が私は好みだ!……ムカつくけど!
誰にでもペコペコするような奴、私はあまり好きじゃないし、なよなよした奴も好ましくないかな……
正直言うと、この三人は……まぁなんというか弄ってくるのはムカつくけど居たら落ち着く的な。
後の二人は……まぁ説明めんどいし後でいっか!
キーンコーンカーンコーン
チャイムと共に担任の先生が入ってきた。
「は〜い!皆さんおはよ〜!」
おはようございまーーす!!!と元気な返事をしているのは男子共だ。
「相変わらずおっぱいでけぇ……」
私はそんな事を心の中で思っていた。
「フフ……雪音は貧乳」
どうやら声に出していたらしい。
キッ!っと隣を睨んだら顔を埋めてクスクス笑ってやがる。人のコンプレックスを笑ってるこいつも幼馴染一人猿飛ソラだ。ムカついたが今は先生の話を聞こう。
「入っていいわよ〜」
ん?そういえば、今日は家庭の事情で来られなかったクラスメイトが来るんだったか?
ガラガラと入ってきたのは……なんというか……良く言えば、食べるのが大好きなんだなってわかる体型の所謂ぽっちゃり系だ。
そして右目が隠れるような流した感じの黒髪の男の子。身長は……うーん私と同じか少し高いくらいかかな?ちなみに私は百六十センチ。
まぁ外見的特徴はぼっちゃりしてる所かな。ただ……私は少し違和感を覚えた。
なんというか……アンバランスな感じなのだ。詳しくは分からないが、体は大きいのに顔は小さい。左右のバランスが悪い?そんな感じで彼を見つめていると、彼と目が合った。
じぃぃっとお互い見つめていた時間はそんなに長くは無かったと思う。
だけど次の瞬間には目を疑った……
彼がいきなり……泣き出したのだ
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