第1話 打倒流星!?頑張れヤンキー学級委員長3

あらすじ


学級委員長を巡る(押し付け合い)戦いのさ中。星空バスターズを悪く思うヤンキー黒崎が学級委員長を立候補する。星空バスターズはそれをそししようと、全員で反対をした…黒崎は何故学級委員長に立候補するのか…そしてなぜ彼はヤンキーになる道を選んだのか…?



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学校に終業のチャイムが鳴り響き、生徒たちは帰路へと着いた。

黒崎は、星空バスターズのことを思い出し、壁を殴って腹を立てていた。


「くそ!何が星空バスターズだよ!ただの陰キャ集団のくせに…!」


黒崎が歩いていると、路地裏から声が聞こえた。眼鏡をかけた頭の良さそうな医者が女の人に向かってにやにやと話しかけている。


「なぁ?いい話だろ?君が僕の女になれば、お金で何不自由なく過ごせるし、君のだーいすきな彼の借金だって返してあげよう。手切れ金としてなぁ…どーだ?」


女性の太ももに手を当てる男。女性は涙を流しながら今にも崩れそうだ。


「確かに彼は800万の奨学金がある。けど私は彼が好きなんです。共に支えたいと思ってる…」


「いやいや、嘘だねぇ…だって君は現に僕と付き合う事を少しでも考えてしまった」


男がそう耳打ちすると、女性は震えて言葉が出なくなってしまった。黒崎はそんな光景を見て、男の前に立ち、拳で壁にヒビを入れた。


「…目障りだ…消えろ」


男は少し怯むも、制服を見て、引きつった笑いを見せた。


「君、名古屋総合高等学校の生徒さんでしょ?こんな所で暴力沙汰なんて起こしていいの?」


しかしそんな言葉を聞いた黒崎は、目の色を変えてその男を睨み付け、叫んだ。


「どーでもいいんだよ!んなこたぁ!!」


ゆっくり歩み寄る黒崎に、男は体制を崩し、地面に転げ落ちると、慌ててどこかへ逃げ去った。

女性は笑みを浮かべ、


「ありがとう」


というと、黒崎は振り返らずにその場を後にした。

自分の家のアパートに着くと、嫌な匂いがした。自分の家のドアノブを開けると、異臭が部屋から放たれ、ムワッとした生ぬるい空気が黒崎の体を撫でまわし、部屋の中へと引きずり込んだ。

中に入ると、小さな女の子が泣きながら、黒崎の元へと走ってきた。


「お兄ちゃん…!パパが!」


白衣を着た長髪の男がのらりくらりと妹の元へと足を運んできた。黒崎の父は黒崎を見るなり、ニヤリと笑った。


「おかえり。僕の愛する涼太…」


黒崎の背筋がゾッとした。名を呼ぶ彼の目は座っており、手には注射器をもっていた。黒崎は妹を抱きしめ、父を睨みつけ声を震わせながら彼に言った。


「父さん!こんなこと、もうやめてくれよ!由美だって嫌がってるだろ!?」


抱きしめられた妹は泣き崩れ、兄の胸ぐらを強く握った。父親は先程までの甘い言葉遣いが消え、叫び散らす。


「うるさぃ!!お前みたいな無能に何がわかる!俺は毎日ゆみのために新薬を作り、研究を重ねて、ようやく出来たんだ!由美の心の病を治す薬を!それなのにお前はなんだ!?国立の進学校に入れてやったのに不良になりさがったあげく、俺を否定するだけ否定して…母さんは毎日朝も昼も夜も働いているって言うのに、お前は夜遊びばかり…医者になりたいとお前が小さい頃から言っていたから、期待してやったのに、お前には失望した!」


黒崎の父はそこまてま言うと、手に持つ精神科薬を黒崎に打とうと、近づいてきた。


「なぁ…知ってるか?常人に精神薬を使うと、どーなるのか…」


注射器の針が黒崎に刺されようとした


「やめてぇ!!」


妹の叫び声と共に、家の扉が開かれた。


「児童相談所の者です!」


黒崎の父は児相の女性に目をやると、口をポカリと開けたまま、動かなくなった。児相の女性の後ろから1人の男子が出てきた。流星だ。


「お前…!」


女性は鼻を抑え、部屋に足を踏み入れた。


「通報があり訪問にきましたが、ここまで酷いとは…」


流星は黒崎の元まで足を運ぶと、目を細くして相手を見つめ、児相の女性に話し始めた。


「これは、緊急性を感じます。一時的に保護する方がいいと考えられます。」


その言葉を聞いた黒崎の父が立ち上がった。


「はぁ!?子どものくせに生意気な…!一体何を根拠に」


その言葉を聞いた流星は淡々とした態度で答える。


「ご自身が1番理解しているのではありませんか?精神科の医師でありながら、健常者に精神科薬を投与させようとしたこと。」


ぐっと唇を噛み、黒崎の父は流星を睨んだ。


「しかもその精神科薬は、市販のものでなく、ご自身で作られたんですよね?一体…何を入れていたんですか?内容によっては、警察を呼ぶ必要もありそうですがね…」


黒崎の父は後ろに後退りした。流星が黒崎と妹の目の前に立った。


「行くぞ。」


黒崎は流星に車へと案内された。車の中には別の女性が運転席におり、山道へと車は走り始めた。


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山の中に着くと、そこには社会福祉法人 星空学園と書かれた大きな施設が建っていた。車の扉が開くと、優しそうなお姉さん達が、黒崎の妹に駆け寄った。


「遠い所から疲れたでしょ?ご飯出来てあるから、一緒に食べに行こ?」


妹はお姉さん達を見ると、少し怖がる様子があったが、目線の位置まで腰を下げ、妹に笑いかけた。


「大丈夫だよ。ここには沢山楽しいことが待ってるからね。」


そう言うとお姉さんは、手を伸ばしてくれた。妹は頷き、車から降りた。黒崎も降りようとしたが、流星が声をかけた。


「黒崎。お前の部屋は別の寮だ。」


そう言うと、車のドアがしまり、車はさらに山奥へと走り出した。黒崎はソワソワとした様子で、流星に問う。


「なぁ、妹とは会えるのか?」


流星は少しして、口を開いた。


「詳しい話は、施設長がするから、そこで聞いてくれ。」


山奥を登る車から、光が指す。

そこには空いっぱいに星が光、ツリーハウスを照らしていた。ツリーハウスには暖かな光と、賑やかな声が漏れていた。


「入るぞ。」


流星が声をかけると、ゆっくりと扉が開かれた。そこにはあの星空バスターズの4人が揃ってトランプをしていた。

まず大きな声を出してカードを場に出すのは、夢だ。


「いっくぜぇえ!私のターン!!場に3を出す!!」


カードを裏向けにして勢いよくトランプの束の上に置いた。すると、3人全員が


「ダウト!」


とカードを指さし、希望がひっくり返すと、そこにはハートのエースが出てきた。夢は頭を抱えて叫ぶ。


「あぁ!!なんでバレたの!?」


トランプの束を回収すると、蛍がははっと笑いながら、夢に話しかける。


「だって夢は絶対最後の方にカードが残ってなくて、負けるタイプだもーん」


叶は場に最後のカードを出した。


「それに嘘つく時わかりやすいしな。4。」


希望がダウトといって、カードをめくると、4が出てき、手持ちに加えながら話した。


「本当になんでも出来るのに、こーゆー頭脳系のゲーム苦手だね」


それを見ていた黒崎が後ろから声をかけた。


「なんで、お前ら…全員ここに?」


それを聞いた4人は振り返った。夢は目を輝かせて黒崎の元まで行った。


「うっあっはぁー!!新人くんのお出ましだァ!皆ー、祝勝パーティだー!いやっほぉ!!」


そう言って大きくてをあげ、金のドレスに早着替えすると、リボン状に結んだ髪の毛の垂れた部分を振り回し、黒崎の腹部にまきつけ、ひっぱった。


「ほーんじつの主役はー…くーろさきくーんでぇえっす!!」


どこからか持ち出したマイクでそう言うと、マイクを投げ捨て、目にも止まらぬ早さで彼の肩に「本日の主役」というタスキと、冠をのせた。そして、椅子に座らせると、テーブルまで押した。


「さぁー本日のゆーめ様が作ります、フルコースのメニューを、ご紹介致しまーっす!」


夢が手を叩くと、叶がテーブルに白い布をしき、メニュー表を見せて、料理の説明に入った。


「本日のメニューです。前菜はスーパーの特売で買った、アボカドとサーモンのサラダ。スープは冷蔵庫に残っていた、貝類をじっくり煮込んで作った貝類のスープ。肉料理は昨日、夢が狩ってきたイノシシの肉を柔らかく煮込み、作った猪肉の角煮(洋風バージョン)。ソルベには、うちの庭で育てたゆずで仕上げました。ゆずのソルベでございます。ロースト、甘味、果物等はどれも流星が特売で買いすぎたリンゴを消費する為に作られた、シェフシークレット料理となっております。パンやジュースのおかわりはご自由にお申し付けください。」


そうして叶がお辞儀すると、蛍にスポットライトが当たる。


「こんばんは。黒崎くん。今日はあなたの為の特別ワンマンライブを行います。最後まで楽しんで言ってください☆」


曲がどこからか流れ、蛍が勝手に踊り出す。

引きつった顔でその光景を見る黒崎の隣に、美しい着物をきた美少年が隣に座った。その姿はまるで江戸時代の花魁を思わせるような、美しく、華やかな見た目をしている。


「白ぶどう飲む?」


顔を赤くすると、グラスを傾けようとするが、首を振り立ち上がった。


「そうじゃなくて!お前らがなんでここにいるんだって聞いてんだ!」


流星が後ろから歩いてきて答えた。


「決まってるだろ…ここにいる3人はお前と同じく、虐待を受けて施設に入った子どもたちだよ。」


黒崎は黙って周りを見つめた…

お前と同じく虐待を受けた。その言葉を聞いて、黒崎は過去の自分のことを思い出した。

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読んでいただきありがとうございました^^*

次回!黒崎の過去が…と書きましたが、前フリの流星たちの会話が長く、更に叶の長ゼリフを見て、今回はここまでと区切らせて頂きました。


さて、黒崎くんの話ですが、彼の家庭での虐待(?)シーンについての補足も兼ねて、お話させていただきます。

皆さん黒崎の父が言った言葉を覚えているでしょうか?

「精神科の薬を常人に打つとどうなるか」これを見て、気になった方も多いと思います。まず、健常者精神疾患の患者さんに関係なく、精神科薬は劇薬が多いです。

これは私が施設職員をやっていた頃の話ですが、パニックを起こしてしまう人に服用する薬や、うつ患者の薬を処方された時に医師から言われた言葉です。(薬自体がどれも危ないのですが)


皆さんは様感様々な感情をもっていますよね?悲しみや怒り、はたまた嬉しいとか楽しいとか。そんな感情を上手く表現出来ないという状態が精神病なのです。

例えば、友達に殴られた!

普通の人ならその時怒りますよね?怒らなくても、イラッときますよね。

でも、精神病を持つ人は、怒りたくても、怒れないんです。

つまり、ずっと良いよ。と許すしか出来ない状態にあります。人によっては、ずっと固まってしまう人もいます。いやでも嫌とも言えません。そんな状態がずっと続いて、イライラした状況が溜まるだけっと言う状態が続き、ある日突然パニックになったり、わーっと泣いてしまったり、最悪引きこもってしまいます。


うつの人なら、仕事の失敗や、上司から言われたきつい言葉がずっと心の中で渦巻いているといった状態にあります。そして心がめいってしまい、引きこもったり、あるいは残念な結果となってしまうこともあります。


逆に殴られたから腹が立ってボコボコにするまで殴りつけたって人や、きつく言われたから、イラついてボロカスに言った。自分の気持ちが抑えられず、自分を止められない。こーゆー方も精神病の人の特徴です。


そんなイライラを抑える。うつで落ちた気持ちを楽にする。自分の感情を抑えるために精神薬を飲みます。


では、感情を抑えるためには、どこを制御すればいいのか。


脳ですよね。今まで書いた"感情"ということばを"脳"に変えてみてください。

感情を抑えるためには飲む薬=脳を抑えるために薬を飲むということになりますよね。

ということは、脳を薬でコントロールするということにもなります。


抗うつ剤1つで、気持ちが楽になる。(種類によって作用が異なりますが、不安感や落ち込みを緩和する。興味や楽しみくなる感情を元に戻す等)つまり気分が上がる代わりに、目眩、体の痺れ、視力調整への障害、低血圧などの症状が出ます。


もし健常者にこれを飲ませるとどーなるでしょうか?気持ちが落ち込んでもないのに、薬で更に気持ちが高ぶってしまいます。だけど目眩や体が痺れ初め。低血圧になっていき、視界調整が出来にくくなっていきます。


そんな恐れのある物です。ここに例を上げたのは抗うつ剤の1つの例ですが、ものによっては、命に関わる物もあります。本来なら、黒崎父の様な行為は誤薬といって、あってはならない行為です。最悪、緊急搬送という事も有り得ます。この小説を見て、少しでも多くの人が、薬の恐ろしさを知っていただければ、幸いです。


メッセージ性のない小説ですが、暇つぶしにみていただけると嬉しいです。

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