1話 打倒流星!?頑張れヤンキー学級委員長!1

星空学園の山奥。そこに5人の高校生が今日も朝の支度を終え、急いで部屋を出ていた。

本日も1番後ろからみんなを追いかけているのは、彼だった。


「やべぇ!寝過ごしたァ!」


流星がゴミ袋を片手に下山している。木々をひらりひらりとジャンプして渡る夢が後ろから近づいてきた。


「あ、流星。おはよー!」


木の間を渡る夢に目をやると、息を切らしながら、おはようと返した。夢は流星の真横に並ぶ様に降りると、軽い足取りと流星に話しかけた。


「珍しいねぇ、星空バスターズの流星様々が、新学期一日目に寝坊だなんて。」


息を切らす流星に、ペットボトルに入れたスムージーを手渡した。


「はぁっ…昨日…オックス、フォードからの…通達でな。新しい…認知症の…特効薬を、作るって…それで、文献さぐって…たら、朝になってた。」


夢はそれを聞くと目を点にし、首を傾げた。


「にんじんしょう?トロッコ焼く?それ新しいコロッケ?」


流星は疲れきっているため、肩を落とした。


「もーそれでいいよ…」


疲れた様子の流星の顔を見るなり、何かを感じた夢は、流星の手に持つゴミ袋を持ち、枝めがけて飛び、宙を舞って木の上を渡る。


「流星ー!あっちまで競走ねー!負けたら今日の夜のお風呂当番代わってねー!」


そう言うとそそくさと去っていった。

流星は夢の後ろ姿をみながら、叫び声をあげた。


「お前!お風呂当番って!めんどくせぇこと押し付けただけだろがァァ!!」


.☆.。.:.+*:゚+・星空バスターズ*..☆.。.:*・°.*・゚ 


ここは国立 名古屋総合高等学校。3年前に設立されたこの学校は、あらゆる分野の秀でた者が集まる学園である。

特進クラスから、就職クラスまで自由な教育を基盤とし、職場体験やインターンシップまで出来る制度がある。

その中でも特進クラスの2-2組。やんちゃな生徒達が特待クラスの2-星組を見ていた。

星組に入る流星をみるなり、1人のヤンキーが地面に星空バスターズのメンバーの顔写真付きの名簿を投げ捨てた。


「おいおい、あいつが有名な世界一天才な高校生流星くんかい?なんだか冴えねぇなぁw」


体の大きい刈り上げの男がメロンパンの食べこぼしを紙に落としていく。


「所詮、陰キャ集団にアイドルが居るだけだろ?w大したことないなぁw」


ヤンキー集団の1番後ろで座っているチームのボス男が、バッドを肩に乗せ、名簿を踏みつけた。


「学園の人気陰キャ集団に、今年も調子乗らせてたまるかよ。どっちが上か、思い知らせてやろうぜ…」


✩。2-星組クラスにて*。✩



星空バスターズ…それはクラスの中でも話題になっていた。それは去年の事。この学校が設立して2年目に現れた、天才5人組…


1人はずば抜けた頭脳を生かし、学級委員長として、クラスの基盤をつくりあげた。

1人はずば抜けた身体能力と技術力でクラスの圧倒的戦力になった。

1人はずば抜けた交渉術と夢への想いで、他の交流を良くしたり、夢の妨害者を迫害した。

1人はずば抜けた美貌で他クラスの男子を骨抜きにし、逆に同学年の士気を上げた。

1人はずば抜けた人気で、クラスを学校の話題の的として、1年間学校の中心核にした。


そんな化け物のような人間たちがこの2年星組に集結したのだ。クラスどころか、この学校全体が騒いでいた。両者、睨み合い、互いに向かい合った。


このクラスに今問題視されているのは…


この星空バスターズの誰が学級委員長にな擦り付けるかだ!!


怪しい笑みを浮かべながら、夢が近づいてきた


「流星…去年はこの夢様と、叶と、希望のクラスによくもまぁ去年はなんども喧嘩ぶっかけてくれやしたねぇ〜旦那ァ」


それを聞いた流星は分厚い本を閉じる


「そっちこそ…俺たちのクラスの行く手を尽く潰しやがって…去年の学校イベントは両クラスの成績は半々だったなぁ…」


希望が手元の記録表を出して答えた。


「うん。文化祭、球技大会、料理会は流星君のクラスが勝ったが、体育祭、マラソン大会、芸術祭ではこちらが勝ってる…」


蛍が叶に近づいた


「確かに…結果としては堂々。だけど、ここまでの策略を立てられる流星が学級委員長に向いてると思うわ。」


流星が蛍の方に顔を振り向いた。


「いやいや蛍さん。俺は頭が良いだけです。やはり、ここは高度な交渉術を持っている叶くんが、クラスをまとめるのに相応しいかと…」


途中まで聞くと、言葉を遮るように叶が入ってきた。


「ははっ、俺はただの口だけの人間だ。やっぱりここはクラスの多数決が1番だろ。」


蛍が鼻で笑った。


「あーら、残念。その戦いなら私が学級委員長を出来たけど…アイドルという職業をもってるからできないなー…あ!学校1の美少年がやっぱり人気だし、人気投票なら、彼がすべきじゃない?」


希望は首を横に降った。


「僕にはなんの技術も持ってないもん。ココはやっぱり、頭は悪くても、技術力のある夢ちゃんがやった方がいいよ!」


夢は駄々を捏ね始めた


「やーだ!!去年私、もーやったもん!!だからやらー!!もーいいじゃん!流星で!!」


「投げやりかよ!

だが、俺は絶対!!今年は折れないぞー…、何があっても、俺は学級委員長をやらない!!」


稲光の走るクラス。険悪なムードが教室を包む。私はそんな彼らの元に行った。


「とりあえずみんな席につこ。それから先生の話を聞けばいいよ」


みんなは私を見ると、さきほどまでの険悪ムードは消えた。


「愛!」


星空バスターズの皆は私を見て、笑った。流星私の元に近寄った。


「愛も俺達のクラスに…?」


私は精一杯の笑顔で首を縦に振った。

流星は私の言葉を聞いて、パッと明るい顔をした。


「じゃあ…これから1年はずっと一緒にいられるな!」


「うん!」


私達は笑い合いながら話していた…それを見たクラスの皆も笑顔に包まれた。ただ1人を覗いては…


「はぁ…つまんねぇなぁ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る